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掌編集「散ってこそ、花」

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耽美、汚泥、清らかなるもの
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#幻想

リバースムーン(掌編・月)

リバースムーン(掌編・月)

 波打ち際に丸い花がぼんやりと咲いていた。重い両手をぶらさげて、僕はとぼとぼと近づいた。
 途中何度も足を取られながら砂の上を進むと、ちりめんのような花弁がたった四枚重なっただけの白い花だった。
 花を見ているとどういうわけかぼろぼろと涙がこぼれてきた。夜の闇に見えにくかったが、花のまわりにはいくつかのうつむく蕾があるのに気がついた。
 自分の肉体では感じることができなかったが、花弁がかすかに揺れ

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