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香織(Kaori)
2018年3月6日 23:26
波打ち際に丸い花がぼんやりと咲いていた。重い両手をぶらさげて、僕はとぼとぼと近づいた。 途中何度も足を取られながら砂の上を進むと、ちりめんのような花弁がたった四枚重なっただけの白い花だった。 花を見ているとどういうわけかぼろぼろと涙がこぼれてきた。夜の闇に見えにくかったが、花のまわりにはいくつかのうつむく蕾があるのに気がついた。 自分の肉体では感じることができなかったが、花弁がかすかに揺れ