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IGPI流 DXのリアル・ノウハウ

冨山和彦さんの「経営分析のリアル・ノウハウ」は私のバイブル。業界・事業構造分析を身につけるために何度読んだかわからない名著。カネボウ・JALの企業再生の修羅場をくぐった冨山さんの「DX」のリアル・ノウハウとあって、丸善でこの本を発見するなり迷わず手に取った。やっぱり、期待を裏切らない。間違いなく今年ベストな本だった。

「デジタルトランスフォーメーション」という言葉はバズワードのようで何度聞いてもしっくり来なかったし、言葉や周囲に踊らされず、地に足ついた活動をしたいと思っていた私にとっては、「既存業務の磨き込み」を後押ししてくれるこの本に勇気づけられた。

夏休みにこの本に出会えて、本当に良かった。来週からも前向きに業務に取り組めそうな気がしている。
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(以下、まとめ)

DX(デジタルトランスフォーメーション):「デジタル」で「変わる」がキーワード

デジタルなくして、変化に対応するのは不可能:新しい働き方、生き方、稼ぎ方を常に追求していける存在でなければ、会社としての持続性はない。

デジタルという武器の活用によって事業環境の変化はより一層予想しない水準と速度で起こる
→デジタルへのリテラシーを自分なりに有していることは変化を受け入れるための必須条件。デジタルと向き合うことはこれからの時代を生きていくためのライフワーク

DXは業務や実現したいことの最適なオペレーションやアウトプットは何かを明確にすることが前提。真のDXの実現は長い道のり。デジタルという武器を味方に、マラソンのごとく、へこたれずに走り続ける必要がある。デジタル技術の進歩にもついていく必要がある。

DXの神髄:基本的に「既存領域」において発揮。無駄の排除、効率化の可能性を全社的に洗い出すことが短期において着手しやすいDX推進のスタート
→「何を」「なぜ」変えたいのかを考え、「捨てる、やめる、変える」をセットで検討することないままに進めれば、失敗に終わる

DX:デジタルの力を借りてさらなるリソースを捻出する将来に向けての「借り物競争」。プラスを生み出す活動。
→デジタルを活用した既存事業の磨き込みによって人的・資金的リソースを捻出し、そのリソースを使って新たなチャレンジをする。新たなチャレンジのうち、実を結んだものを既存領域とし、DXを推し進めることにより次のチャレンジのためのリソースを創出
→DXが新規事業を生み出すことはないが、DXによって新規事業に注力できる環境が整えられる

デジタルファースト:デジタルが進むといいことあるかもという発想

DX推進のポイント:現場を巻き込む。経営と現場の距離を近づける機会となりDXのムーブメントを現場に引き起こすきっかけへ。
→DX推進が会社に対する現場の「エンゲージメント」を高める施策へ

企業の存在意義:世の中の社会課題を解決すること
→まずは自らの中で起きている社会課題の解決にDXを活用する

これからの企業:働きやすさを追求することで社員に選ばれる存在へ
→働きやすい職場をどのように作り上げるかはDXの重要な目的の1つ

DX導入の観点:「業務はよりシンプルになるか」「従業員がもっと働きやすくなるか」「顧客により良い価値を提供できるか」。まずは既存事業の見直しを図る。関わる人の気持ちをうまく盛り上げることが必要

DXの思考の軸:
①Will:DXによってどのようなことを成し遂げたいか
②can:どんなDXが可能なのか
③must:DXで何をしなくてはならないのか

デジタイゼーション:アナログ情報のデジタル化
デジタライゼーション:プロセス、ビジネス、ビジネスモデルなどの仕組みがデジタル技術によって変換される

ヒトのクセと向き合う:人間の行動変容は非常に難しいことを理解したうえで、それを追求していく覚悟なくしては、いくら「点」を作ってもただの自己満足。DXとはいっても、結局それを使うのは「ヒト」。UI,UXの追求も使うシーンに合わせた仕様にする必要がある

世の中に選ばれる企業へ:産業構造や社会構造の変化への意識を持ちながら、自らが関わるエコシステム全体をDXでどう良くしていけるか。サステナビリティを追求したDXをどう設計していくか。
→「エコシステム全体に貢献する」「新しい付加価値を顧客に、社員に、地域に、世の中に届けるのだ」という本質を常に意識しながらDXを推進する必要がある。

「コーチャビリティ」の重要性:DXを通じて全社的に浸透させる。「良い手段はどんどん取り入れ、変わっていこう」という組織文化を社内に浸透させていけるなら、それこそが真にDXが起きているということ。
→いつでもしなやかに自己革命を起こせる合理性と情熱を兼ね備えた組織や人材にDXの女神は微笑む

(参考:「悪魔の辞典」のなかではこれが一番)
Society5.0:現時点で40歳以上の日本人サラリーマンのほとんどの人生、受けた教育から積み上げた学歴、職歴に至るまで、根こそぎ否定される社会

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