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2019年わざわざ映画館に行ってよかった1位『JOKER/ジョーカー』

※2020年4月15日追記
こんな時期なので、家で映画鑑賞するなら、おすすめの映画を。
R15だけど見た後に意見交換などできるなら、中学生でも見たらいいと思う。
子育て支援系の方はあまり見なさそうだが、縁遠い人ほど映画に学ぶことはたくさんある。
子どもに辛い映画を見せるのは賛否両論あるかもしれないが、いい教材だし、その後のディスカッションが一番大事。
子どもの価値観を知るいい機会だと思っていただけると嬉しい。

さて、ダークナイトどころか、バットマン作品1個も見たことないのに、夫に誘われるがままに『JOKER/ジョーカー』を鑑賞した2019年の私。

そもそもの話も気になったので、『バットマン・ビギンズ』と『ダークナイト』も借りてきて鑑賞。正直、ジョーカーの俳優が代わりすぎて見ていくごとに混乱することになりそうだったので、『ダークナイト・ライジング』はまたの機会にした。

映画を見ながらジョーカーのキャラクターを掴もうと思ったのだが、重要な要素である時代背景と年齢が、バットマンシリーズと『ジョーカー』ではめちゃくちゃだなぁと感じたため断念。

一応ググったところによると、監督が煙に巻く発言を繰り返しているのと、続編の構想があるためにそもそも「このジョーカー」と「あの(ダークナイトの)ジョーカー」が一緒かどうかも定かじゃないのだそうだ。
なるほどね。

実際ちゃんと時系列に『ジョーカー』→『ダークナイト』の順で見ると、これが同一人物とはにわかに信じがたい。ヴィラン(悪者)になるプロセスとして憎しみを蓄えるのはだいたい幼少期である。完全にヴィランとして覚醒してからより憎しみを蓄えて別人になってくということはあまりない。
はじめの覚醒に向かってエネルギーを蓄え、爆発=覚醒なので、そのあとはそれまでの憎しみを引きずって悪事を続けるだけだ。

『ジョーカー』ではその爆発=覚醒までのストーリーが描かれているが、とにかく愛着形成の失敗例のオンパレードだった。

愛着形成とは発達心理学などの分野で使われる「アタッチメント(愛着)」を形成する過程のこと。子どもに関わる仕事をしていれば、1度は耳にしたことがあるはず。

簡単に言うと、子どもが無条件に受け入れられ、愛されていると感じ、養育者を信頼する関係性のこと。
ジョーカーの母親はかなり早い段階で、愛着形成に失敗。さらにジョーカーはその失敗に対して自己防衛を続けた結果、自分は「精神疾患を持っており、金も稼げないが、心優しい母親を支える男であり、社会は理不尽だが、不幸せではない」という自我で安定するに至っているように見えた。

ジョーカーの行動は確実に狂っているが、全く共感できないキャラクターではない。言っていることが正論だなと思う瞬間すらある。それは彼が猟奇的な犯罪者であっても、もらえる愛をもらえない飢餓感が原動力になっているからだ。
愛着は人間が等しく必要とするもので、それが与えられなかったときに人が持つ思考はそう変わらない。
だから、誰でもそうなる可能性はあるってこと。

映画で見ると新鮮かもしれないが、児相とかの職員には日常的なケースだな、というくらいなものかもしれない。
状況を本質的に受け取れば、よくある家庭環境といえなくもない。
悲惨な映画を見たとき「自分はこうでなくてよかった」と安心するのではなく、「こういうところが自分にもある」「自分もこうなる要素がある」ということを話し合うと、最高の教材になる。
そういう体験を親子ですると子どもの思考は必ず深まっていくので、ぜひお試しあれ。

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