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長男と次男 21

次男の心境

「なんとかしなければ・・・」と
少し焦っているように見える次男。
親友のうち1人は中学受験をしたので
高校入試の影響は特にないようだが、
同じ中学のもう1人からは
中3に向けて塾だ受験だという言葉が
徐々に出始めている様子。
生活リズムも合わなくなってくるのではないかと
私も多少気にはなっている。

しかし私は次男に対して、
高校受験に合わせて頑張って欲しいとは
さほど思っていない。
「なんとのん気な・・・」
と思われるかもしれないが
いまさらそれに左右されてもというか、
次男は次男のペースがあるのだからというか。
とはいえ、次男本人は
焦る気持ちと、どうにもうまく動けない気持ちに
自分自身が挟まれてしまっているようだ。

次男は小4の終わりから長男と同じ進学塾に
一応通っていた時期があった。
が、始めて出会ったタイプの厳しい先生や
夜遅くに家の外に出なければならないことに
並々ならぬ恐怖心を抱き、
学校に通えなくなった時期も重なったこともあり
比較的早い段階で辞めていた。
以降、“勉強”“受験”というワードは
彼にとって忌み嫌うものになっていた。

小学校はともかく、
中学入学後は別室ではあれど
定期考査をすべて受験していた次男だったが
中2の学年末考査は1教科も受験できなかった。
次男の状態を見ていても、
「まぁそういう時もあるよね」
と私は思っている。

私は元来、
人間は直線的に成長するとは思っていない。
氷が融けている間は0℃であるように、
水が水蒸気になる間は100℃であるように、
同じように見えていても
実はじわじわと変化が起こっていて、
ある時ふっと全体的に変わる。

どれくらい時間が掛かるかはわからない。
でもいつの頃からか、
私はそう信じるようになっていた。

家庭教師現る

長男はありがたいことに、友達と遊ぶという
遅れてきた高校生活を謳歌していた。
自分の時間もしっかり持ちながら
街探検や美味しい食探し、ひとりカラオケ。
(え?大人の趣味なの?(笑))
一日中ゲームに勤しんでいた昔とは全く違う
アクティブな状態。

・・・となると、ある程度お金も必要。
そこで私が思いついた策。
『労働対価を支払う』
つまり、【家庭内家庭教師】を提案した。

次男は絶対に塾が嫌、
でも勉強はした方がいいと思っているが
教えてもらえないとできない。
長男は塾講師も視野に入れているが
彼が学校に行っていなかった中2、3の範囲は
若干曖昧な部分がある(理系教科でも💦)。
私は、塾や家庭教師よりも格安で
講師を雇うことができ、
かつ進捗確認も簡単にできる。
プラス、これまで複数教科教えていた私、
それからも解放される。

まさに“三方良し”
最高!
・・・というわけで、様子を見ながら
週何回か、1コマ30分として
家庭内家庭教師がスタートした。

ある日、私が帰宅すると
次男が嬉しそうに飛び出してきた。
「実は、お兄ちゃんに話聞いてもらってた
やっぱりあの人、めっちゃ優しい・・・」

数学をやろうかと席に着いたふたり。
どういういきさつかはわからないが
次男は今の苦しい気持ちや不安な気持ちを
長男に聞いてもらったそうだ。
長男は静かに話を聞き、
自分の考えを真摯に答えていた。
約1時間。
兄弟ふたりでゆっくり話した時間は
少し次男の心を軽くしたようだった。
(その後、数学も教えてくれた長男に
ちゃんとお支払いしました)

長男曰く
「わかるわかる!という部分も多いけど
やっぱり次男の考え方もあるからさ。
でも話してくれてよかったよ」

仲の良い、心の優しい兄弟。
親バカながら、ふたりが私の財産だと
改めて思っている。


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