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「十二国記」という題名だけど、人の強さも弱さも描いているエグい本。

書く習慣1ヶ月チャレンジ、今日のテーマは「誰かにオススメしたい本」。
私は、小野不由美さんの「十二国記」シリーズです。

ざっくりのあらすじを話すと、王様がそれぞれ十二の国を治めており、天や麒麟、仙人、妖魔といったものが存在する不思議な世界に生きる人々を描いた物語です。
いろいろなお話がありますが、大筋はそんな世界に現代の高校生、陽子が連れてこられてしまったところから始まります。

この陽子がすごい好きなんだよね。日本では優等生キャラで周りに流されて過ごしていた陽子が、十二国記世界で人として強くなっていくのが本当に・・・小説のキャラなんだけど尊敬しかない。

陽子の境遇はとにかくハード。妖魔に殺されそうになったり、遊郭に売り飛ばされそうになったり、食べる物がなかったり。
はじめの頃はとにかく読むのが辛いです。他に読んだ人も同じみたいで、ネット界隈では「ねずみが出るまで耐えろ」みたいなワードまであります。ほんとそれ笑

ネタバレは避けますが、十二国記って天という謎の存在がシステマチックに支配する世界の話なんだけど、私的にはその中で生きる人の強さみたいなものを感じるんだよなあ、どの話も。

基本的には王様や麒麟が出てくるお話が多いのですが、彼ら一人ひとりに人間味があって。また、中には名もない一般市民が出てくる話もいくつかあるのも、それらを裏付けている気がします。

異世界の話なんだけど、妙に現実とリンクしたところもあるんですよね。
現実も、十二国記のように天は存在しないけれど、国や法律や慣例、周囲の視線など私達を縛るシステムはいくつもある。その中でどうやって生きていくのか、どんな心を持てばいいのか。

読み終わって余韻に浸りながら、そんな事を考えたりしました。私の人生の中で、大切な本になっています。

そんな十二国記シリーズなんですが、外伝的な本である「魔性の子」もぜひ読んでほしい。十二国記世界が多く描かれているシリーズの中で、唯一日本での出来事が描かれた本です。ちょっとホラーチックなので苦手な人はいそうだけど、それが大丈夫な方はぜひ。

十二国記が人としての強さを描いている一方で、この魔性の子は人の醜さ、愚かさが多く描かれている気がします。

「じゃあ、おれは?」
「・・・おれを置いて行くのか」

「魔性の子」より引用

心が揺さぶられた部分。読んだ瞬間に、思わず息をついてしまった文です。

心に残しておきたい名言が多いのは十二国記シリーズなんだけど。
私の中での瞬間最大風速は間違いなくこの場面でした。

ちなみにこの一人称の「おれ」。作中だと「俺」を使う人もいるんだけど、これ絶対わざとだよね・・・。その辺りもふまえて読み返すと、ほんとこの文はなあ・・・と、どこまでもやりきれない気持ちになりました。物語での一人称の使い方ってこんな方法もあるんだと唸った一作でもあります。

そんな十二国記シリーズ、私が初めて読んだのは中学生の時でしたが、それから20年弱、今でもたまに読み返すほど好きです。物語としても、最初はとっつきにくいんだけど、読んだら絶対面白いので!

ぜひぜひ読んでみてくださいね。



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