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こだわりのアート エレクトロ・デュオADULT.を紹介したい!


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ただのかっこいいバッジの写真なのですが、
これはあるアーティストのグッズなんですよねえ ♬


デトロイトのエレクトロ・デュオ『ADULT.』について日本語で書かれている記事があまりにも少ない、、と思い今回記事を作成してみることにしました。




ネットが活発になる前 、1998年から活動されているせいか、まず名前があまり良くないですよね。(ネット検索する上で、、)なかなか彼らの情報にヒットすることができません。ますます誰かが書く必要があると思いました!


ADULT. は Nicola KuperusとAdam Lee Millerのご夫婦で活動されているデトロイトのエレクトロユニットです。

一貫した美学と世界観のエレクトロサウンドが魅力!
〈エレクトロ〉については、なんとなくのイメージで理解しているですが、改めてwikiを見てみます。



エレクトロ(英: Electro; electro-funk もしくは electro-boogie の略称[1])とは、1982年から1985年の間に流行した電子音楽の1ジャンルである。楽器としてリズム・マシンのローランド・TR-808を使い、ヨーロッパの電子音楽とアメリカのファンクが融合して成立した。初期のブレイクダンスのBGMとして愛用され、後のさまざまなダンスミュージックへ影響を与えた。


とありますね。やはり時代性(80年代前半ですね。後半になると〈ハウス〉が台頭してきたのでは?と推測します。エレクトロがハウスより先に誕生していたという事実を改めて知ることがちょっと重要かなと)が重要なイメージではあり、筆者はレトロなイメージを持っています。(クラフトワークが中心のジャンルかなとざっくり考えていましたが、クラフトワークが影響を与えたジャンルというとかなり幅が広く、クラフトワークのイメージは人それぞれに位置付けがありますよね。。と改めて思いました。)


エレクトロは電子音楽の初期衝動が詰まっているワクワク感のような、人間以外の、ロボットのような精緻な存在、人工物への憧れの精神性が魅力的だな感じています!
(丸尾末広先生の漫画に「怪獣になりたい!ロボットになりたい!」というセリフのある漫画があり、「That's Electro! 」と思った記憶があります。エレクトロを聞くと昭和のロボットアニメや少年漫画を見ているような気分になるんですよね。)

また以下のような記述もあり。


初期はエレクトロ・ファンクとも呼ばれていた。エレクトロは曲の基礎に、基本的にクラフトワークの「ナンバース」のビートを使うか、これをアレンジしたものを使っていたため、ほぼ似たり寄ったりの曲が多い。この音楽の流行は短命で終わり、1985年を境にメジャーからのレコード発売は途絶えている。途中、エレクトロの一部がマイアミにて発展し、1990年代初頭にマイアミベースとして人気を博したこともあった。
以降もデトロイトやオランダなどのアーティストにより、細々とではあるがエレクトロの作品は作られ続けている。それらはニュー・エレクトロなどと呼ばれる場合もあるが、基本的なスタイルは1980年代初期のそれと変わっていない。

上記引用中後半の「デトロイトやオランダなどのアーティストにより、細々とではあるが〜」の部分にADULT.は該当するということですね。
文中に「エレクトロはビートも似ているし、短命で終わってしまった」という旨の記述がありますが、その分スタイルがミニマルに確立されていると言えると思いますし、このスタイルに魅力を感じている人にとっては永遠に魅力を放っているものと言えると思います。(ジャングルなどのアーメンブレイクスに似ているなど思いました!優れた一曲、ビートがジャンルを生むパターンがあるのですね♬)
予定調和のデジタルの魅力ってありますよね!宮島達男さんのアートとか。。。


宮島達男

少しエレクトロについての記述が長くなりましたが本題 ADULT.のwikiも見てみましょう。英語のものしかないようです。


彼らのインスタアカウントを見つけたのですが現在も活動されてますね。
更新はある程度頻繁ですし、現在の活動をチェックするにはインスタが良さそうです。フォローしてみましょう!


また公式HPもあったのでこちらに。

(2020年のツアーがコロナの影響かキャンセルになったお知らせが悲しい。。)
ジャケットやグッズのアートワークの端々から ヘルムート・ニュートン的、ベルリン的な耽美、ユーモア、皮肉、ミニマリズム、変態的さ、パンク、ゴシックなムードを感じますよね。音楽性とビジュアルイメージがぴったりと合致しています。ある程度音楽の知識のある方だと、この雰囲気でUSというのが意外だという気がする方も多いのではないでしょうか。やはりユーロ受けがいいのか彼らのホームタウンのデトロイトのみならずドイツ、UKでも人気とwikiに書かれています!


そしてグッズが素敵〜♫


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黒を基調としたグッズ展開でパンクのムードのあるエレクトロなデザインが堪りません♬
私が購入したロンTはUSの特徴かもしれないのですが少し薄い生地で私はそれも気に入りました!


テクノ、ハウスの黎明かつ黄金期だった90年代でしたが、2000年代に入ると ダフトパンクの爆発的人気の後のエレクトロクラッシュブームがあったり、私が当時好きだったガラージ、ハウスの旧譜の界隈でもJoey Neguro監修でエレクトロ(ニューウエーブ的なもの)のコンピレーションが組まれたり、またベルリンではこれまでのテクノの歴史にBpitchi Controlがエレクトロの風を吹き込んでいたり、どのジャンルもエレクトロの影響が見受けられた記憶があります。その時代にダークな80年代のエレクトロをリバイバル、再解釈されておられたようですね。

日本でもその少しあと〈エレクトロ〉と呼ばれるムーブメントがありましたが、


また、2000年代中盤以降の日本国内において、ロック色やニューウエーブ色が強い電子音を取り入れたダンスポップを「エレクトロ」と呼ぶメディアがあるが、本項目で扱う音楽ジャンルとは異なっている。


と冒頭でも引用したwikiのエレクトロのページにあるように日本の2000年代中盤のダンスポップのエレクトロと、世界でのエレクトロの定義が分かれているようです。
詳しくエレクトロというジャンル名称と音派生ジャンルについて書かれているブログを見つけましたのでこちらにシェアさせていただきます。



(余談ですがその頃のネットで「DJ募集!但しジャーマンエレクトロ以外」という記事を見かけた記憶があったのですがあれはなんだったのでしょう、、)


思うに90年代に徹底的に否定された80年代らしさが間隔をおいて一周し再評価された空気のようなものがあったように思います。やはり流行って20年で一周するのですね。


彼らによるリミックスワークも多いようで日本人?のMichiko Kusakiさんのリミックスもされているようですね。youtubeは残念ながら発見できませんでした。。


私は特に冒頭でもご紹介した『Minors at the night』やこちらの『Hand To Phone』



『Pressure Suit』


などの曲が好きです!
ADULT.の曲はSpotifyなどのサブスクでも楽しめますよ!


wikiによると エレクトロニック/パンクの要素を取り入れたバンドとの説明がありましたがシンセサイザーを取り入れている所がニューウェーブの要素もありますよね。ノイエ・ドイッチェ・ヴェレの要素も感じます。またバンドサウンド的要素、パンクの要素とエレクトロニックサウンドが融合している点からマンチェスター系の音楽が好きな方もお好きな雰囲気ではないでしょうか。ベルギーのボディ・ミュージックにも通じるセンスを感じます。少しゴシックなセンスもありますよね!


英語のものですがADULT.のインタビューなどがあったのでこちらもリンクを。


お二人の表現の哲学に身が引き締まる思いがしますね。時代と表現、聴衆へ常に挑戦し続けておられる緊張感のある姿勢を知るとより一層興味深いです。以下deeplの訳ですが


エレクトロクラッシュがニューヨーク、ロンドン、その他あらゆる場所のシーンを席巻したミレニアムの変わり目に、デトロイトの対決型デュオADULT.は、80年代のユーロエレクトロのダークな美学とリリックを復活させていました。しかし、多くの同業者が豪華なキッチュ・デスコを作っていたのに対し、アダム・リー・ミラーは、ジリジリとした不吉な音のパレットを作り出し、冷たくも官能的で、フロントバンシーのニコラ・クペルスは、人間の堕落や心理的な空虚さ、そして日常のあらゆる不安を歌詞にして叫んでいた。(2003年のアルバム「Anxiety Always」には、そのような名前が付けられていました。)


とあるようにADULT.は、2000年前後にエレクトロクラッシュが流行した際にキッチュな方向性ではなくダークでパンクなエレクトロを復興させていたのですね。


こちらのインタビューは2017年のもののようですが、
「デトロイトが再びクールになった」との記述があります。


先日clubhouseのroomでたまたま聞いた話ですが、
「経済破綻したデトロイトに若いアーティストが流入してきている」
というお話をアメリカで活動されているイラストレーターの方がされていました。大きなアートフェアなどでデトロイトを会場に選ぶことも増えてきているそうです。
経済が破綻し物価が安くなると芸術家の方が住み着いてクリエイティブな場所として活気付くという傾向は、廃墟にたくさんアーティストが住み着いていた昔のベルリンのようですね。2000年にベルリンを訪れた際に、そのクリエイティブでアンダーグラウンドなムードにとても衝撃を受けました。あの頃のベルリンのような空気が現在のデトロイトにあるのでしょうか。とても行ってみたくなりました。(ベルリンの音楽性はデトロイトと近いですしね。。)デトロイトの空気がお二人の活動にぴったりなんだろうなと思います。
レッドブルのインタビューもありますよ。お二人がそれぞれにどういった過程で音楽活動をされているのかというお話がとても刺激的で超面白いです。

彼らのセンスは音楽だけでなくビジュアルにも発揮されていますね!英語版のwikiに彼らがアートを学んでいたことが記載されています。
ミラーは絵画の学位、クペルスは写真の学位を取得している。

とのことです。
なるほど!ですね。ADULT.のビジュアルアートにはヘルムート・ニュートンやギイ・ブルダンのような70年代〜80年代前半のファッション写真のような退廃的でダークで、挑発的な世界観がありますね!印象的なジャケット写真もクペルスの作品でしょうか。


私はヘルムート・ニュートンの大ファンなので、彼らのアルバムのアートワークで、これからの引用ではないかなと思うものをいくつかシェアしたいと思います。




まずこちらのAnexiety Alwaysの車と女性のジャケットですが、ヘルムート・ニュートンファンには有名な,世界一足の長いモデルとしてギネスブックにも登録されているナジャの片足が分離したようなアンドロイド的な面白さのある作品からの引用ではないかと思っています。



こちらのアートワークも少しレトロなセダン型(ドイツ的ですよね)の車のボンネットの上で女性モデルがまるでマネキンのようなポーズです。


こちらの『The Controlled Edition』のアートワークは芝生の上にピンヒールでシャベルのような作業道具を持っているアンバランスさが面白いですね。


ヘルムート・ニュートンがこのようなロケーションで撮影している作品もありますよ


『Chateau d' Aunoy』という作品のシリーズで芝生、庭園の上でモデルがヒールを履いて作業をしています


こちらのヒールの女性の足の写真はヘルムート・ニュートンではなくギイ・ブルダンでしょうか。




ギイ・ブルダンもヘルムート・ニュートンと共にファッションフォトの歴史において重要な写真家ですね!

、、 と言いつつ お恥ずかしいですがギイ・ブルダンのことについてあまり知らなかったので調べてみました、、


彼は生前写真集を一冊も出さなかったそうですね。
ヘルムート・ニュートンの写真集は多いですが、昨年公開された彼のヒストリー的な映画の中で 写真に対して芸術的評価を受けることに対して否定的であるような発言をしている場面の映像を見ました(写真に対して 芸術的 という感想は最悪 というような言葉:要約)また自分からコンセプトの説明をすることはなかったそうです。
二人とも非常に売れっ子で、写真というと「クライアントワーク お仕事」ということだったのでしょうか。 
ブランドとお仕事をした広告作品であると勝手なことは言えないという事情もあると思いますが、無闇に高尚なものとされると窮屈な気持ちになるのも分かるような気がします。


話が少しそれてしましたしたが、ADULT.の音楽性にも、二人の広告写真家のような、必要があって生まれた必然性のミニマルさのある雰囲気があり、そこも彼らの魅力であると思います!



今回このnoteを制作するにあたり、ADULT.の音楽性や哲学を知ることができてとても有意義でした。私がADULT.を知ったときは音楽しか知らなかったので思った以上にアート的活動や意図を持っていることの発見もありますますADULT.が好きになりました♪


またADULT.の音楽と70年代のファッション写真や宮島達男さんのアートを一緒に楽しんでミニマルでデジタルな気分を楽しんでみるのも面白い鑑賞かもしれないですね!



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