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その時は突然に

今日は朝から紫えんどうを植えてきた

実は、昨年末に、近くの農園に小さなスペースを借りたのである


これまで、ぼちぼちと
花や緑を育ててはいるのだけれど
実は、作物を育てるという経験はほとんどない

我が家の庭にはそのようなスペースはなく
もっぱら、母と気まぐれにプランターを使って
ひと夏に1、2種類育てたぐらいである

育てたのは、えんどう、ズッキーニ、四角豆・・・
とりあえず農薬を使わずに育てた

うまくできたような、できなかったような、だけど
それでも、ささやかな収穫はもたらされ
そこそこ美味しく、何品か味わうぐらいの楽しみはあったから
まぁ、素人にはこんなもんだね、なんて満足していた

もっといろいろ作ってみたい
自家菜園をやってみたい
という妄想もたまに頭に浮かぶのだけれど
作物を育てるには
結構な時間と労力が必要だと想像に難くないし
実際のところ
今ある植物の世話をするので精一杯だから
そこは妄想で楽しんでおこう・・・
ってところにいつも落ち着いた


コロナの時代に突入して
仕事の環境と状況が変わり
またさらに価値観と興味の対象の変化もあって
自家菜園やってみたいなという気持ちが強くなる

だが、現実的に考えて
我が家にそんなスペースはなかった

そんな話を友人たちとしていたある日
ひょんなことから近くで畑の一部を借りられることになって
野菜を育てるということ
小さくても菜園を持つということが
ただの妄想でもなくなってきた

プランター菜園を卒業する時は突然やってきた


さて、そうは言っても時は11月末
さらには、具体的なプランも何もなかったのに
場所だけが突如目の前に現れたものだから

一体この時期、何を植えるのだ?・・・と迷う


全くの素人である
ホームセンターに行ってあれこれ物色するも
何を植えてよいのやら・・・と迷う
説明書きを読むと
播く時期ってのはせいぜい11月頭までか
2〜3月からってのがほとんどである

植えるものがないね・・・?


そんな話をぽろっと母にすると
紫えんどうをまず育ててみてはどう?と言われる

なるほど!
あれは我が家のように放りっぱなしで育てても
これという問題もなく順調に育ち
それでいて意外にも結構豊作になった

好きな野菜だし、あれができたら嬉しい!


しかし12月がすぐそこという時期である
えんどうの種まきは11月初旬まで

ちょっと遅いけど屋内で苗まで育てるといけるかな?
ジフィーポット(エコポット)を使って
発芽するまでお家の中で管理してみるか・・・

そういうわけで
年末忙しさが佳境になる頃に
そんなことに手を出してしまったのである

ジフィーポットは育苗のための小さなカップで
発芽までの管理がしやすく(そのはず)
移植の際にポットごと土に植えることができるので
ビギナーにとっては扱いやすい(ように思った)

カバーして光を遮断し、時々水やりして湿らせるようにして
屋内の比較的暖かいところで発芽を待つ

毎日覗いては、まだか・・・?って思ったけど
ある日半分ほどにひょっこり白い芽が頭を出していた

わぉ!である
もう、小躍りしてにやにやしてしまう勢いである

年末の忙しさも疲れもどこかへ吹き飛んで
なんだかわくわく元気になった

ものを作ったり育てたりということ
生み出す、育てるということには
いつも喜びがあるなって思う


発芽したそれらを陽の当たる場所に移動し
残りのポットには
「君たちはまだこの暗闇の中で
ふつふつとその時を待つのだよ!」
と、声をかけておく


そんなこんなで
年末までには全てのポットから芽が出そろったのである

さて、これらをどのタイミングで畑に移すんだろう?

なんだかひょろっともやしみたいで
もう少し育たないと生き残れないかも・・・

そんな風に思って
果たして適切な判断だったかどうかもわからないが
年末に冷え込んだ時を境に
再び屋内に取り込んで陽の光にあてながら
時折水をやって育てるようにしてみた


畑に移植する直前の苗たち



ところが、頭に描くようには葉は開かず・・・
そもそもカップは小さく土も少ないので
これ以上はここでは育たないのかもしれない

もう畑に移植する時なのかな?


これ、なんだか、か弱そうだけど
こんなの畑に植えてこの冷え込みを生き残っていくかな?
と、母に問うと


直かに種を撒いたって
寒い時期その場所で耐えて
暖かくなったら育ってくるんだから
どってことないわよ
と言われる

確かに・・・


そうやって今朝、私は苗たちを小脇にかかえて
お借りしたあの小さなスペースを訪問した

畝にポットごと
適度な間隔をあけるようにして
ひとつづつ移植する

庭仕事するし
苗を植えるなんて慣れてるって思ってたけど
なんだかぎこちなく
恐々やってる自分に笑えちゃう


最後にじょうろでお水をたっぷり与えながら

今度はこの場所で
安心してじっくり育っていくのだよ

って、声をかけておいた


苗を植えてみて気がついたのだけど
お借りしたスペースは意外に広かった

次は何を植えていこうかな
自然菜園ってことも勉強してみよう
コンポストも大きなものをどこかで作りたいな

野菜育ててみたいって思ってたものの
いざ場所を借りて動き出したら
実は全く何も知らないって改めて気が付くし
こんなで本当にできるかな・・・って声も頭に浮かんだ

でも、とりあえずの一歩を踏み出したら
次にすることが見えてきて
その先にいくつかの選択肢も自然と浮かび上がってくる


そうそう、試行錯誤して
一歩づつやればいいのよね

この春は楽しみが増えた