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【創作小説】まわれ!今川やきくん!中国の巻⑷


パタパタパタ。   バッサバッサ!

パタパタパタ。   バッサバッサ!

ぐーる。ぐーる。ぐーる。


中国のとある動物園。

ペガサス ペーから 華麗なる大変身を遂げた ダンボ ペーに乗り、パンダさんゾーンの上空を飛ぶ今川やきくん。

大きな耳を着けられて飛んでるから、音もダイナミック!

と思ったら、今川やきくんが ダンボ耳をつかんで 上・下に揺さぶってたのか。

アイデアは おもしろいんだけど、実用的には…。



「ああ! 子供たちの声が うまく聞こえないぜーー!」


そりゃーそーだよ。
ペーちゃんを ダンボ耳にしたからって、そうそう聞こえないって…。

逆に バッサバッサの音が じゃましてるんじゃ?


「よぉ〜っし! こうなったら とっておきだ! オレも ダンボ耳を着けるぜーー!」

「ぺぺ!?」


っと、今川やきくん、ペーちゃんのダンボ耳両方から 紙をペリリと はがし、自分の耳んとこら辺に 装着、完了!


「はーっはっは! オレも今日から “今川ダンボ ” だ!」




え? 今川ダンボ?
ペーちゃんに着けたダンボ耳、二枚重ねだったんだ。



ダブル ダンボに変身した 今川やきくんとペーちゃん。

パンダさんゾーンにいる子供たちの会話を 聞き始めてみたのだけど…?


「なんだ!? 中国の子供たちばっかりだと思ってたら、日本の子供たちもいるぞ!」

「ペー!」


「どら、ちょっくら聞くでやんす」



やんす?
まあ、よい。



「わぁ〜い!! いる!いる!パンダちゃん、 いっぱい いるよ!かわいいなあ!」

「そう? あなたは どこから来たの?」

「日本から! 日本では 上野動物園の赤ちゃんパンダが 生まれて 大人気なんだ!」

「ふぅ〜ん。そうなの」


「うん!赤ちゃんパンダ、生まれてから 今はずいぶん大きくなったけど、まだまだ 並ばないと 見られないんだ!」

「あ、あー。そうなんだ」


「中国は いいよなぁ!並ばなくても こんなにいっぱいのパンダちゃんが見られるんだから!」

「そうかしら?」 


「うん!そうだよ! でも キミは なんだか あまり楽しそうじゃないみたいだね?」

「う、う〜ん…。中国では パンダちゃんがいるの、普通だし…驚かないわ」

「普通? そうか…。いいなぁ。ボクは パンダちゃん大好きだから、日本で あんまり見られない分、いろんなパンダグッズを集めてるよ!」

「グッズ?」


「うん!ぬいぐるみとか、かばんとか、ふでばこ、えんぴつ…あ!そうそう! パンダちゃんの今川焼きとか、中国のお菓子の月餅(げっぺい)なんかも 食べたことある!」

「月餅まで あるのね」



バッサバッサ!
「ん!? な、な、ぬぁんと!!!」

バッサバッサ!
「今川焼きだって!?」

バッサバッサ!
「お、おい!ダンボペーよ。聞いたか? オレの名前が 出て来たぞ!?」

「ペー!」



はい!来ました。
中国の子供が日本語で話していることに 少し違和感を感じつつ(まあ、良い)も、ここで ようやくスィーツ登場。

しかし今川やきくん、キミは今、今川ダンボじゃないのか…?



続く

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