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【創作小説】まわれ!今川やきくん!中国の巻(14)


ヒューン。ヒューン。

「なぁ…。ペーちゃんよ…」

「ぺぇ?」


ヒューン。ヒューン。

「月餅たちと どっちが旨いか 勝負するどころか、ガーナに続き 中国でも またちょっと悲しい気持ちに なっちゃったなぁ…」

「ぺぺぇ…」


中国を後にし、次の国へと向かうため、グレーの空を飛ぶ今川やきくんとぺーちゃん。



ヒューン。ヒューン。

「月餅たち…どうか ずっと…。どんな時も 人間たちの 笑顔あふれるお菓子でいてほしいな…」

「ぺ!」


「そうさ! それを願って 今のオレに出来ることを子供たちに伝えて来たしなっ!うん!」

「ぺ!」



あれ? 今川ダンボとダンボぺー?
月餅たちとの約束、もう子供たちに 伝えて来たの?
そういえば…飛んでる音が変わったよね?


月餅たちから 受け取った “本当の伝統 ” の意味。
そして未来ある子供たちへ 伝えたい “ 心の希望 ” 。 

しかし、今川ダンボの存在は 人間にバレないように…。
向かった先は…。



〜〜
バッサバッサ。バッサバッサ。
グールグール。

中国の とある動物園。
その パンダさんゾーンの上空に ふたたび やって来た今川ダンボとダンボぺー。

バッサバッサ。グールグール。


「よっしゃ!これでオッケーだ!ほーいさっと!」

フワリ。ヒラヒラヒラ〜。

「ぺ!」



ヒラヒラ。ヒラヒラ。

「あっ!空から 何か降って来たぞ!」

「本当だ!何だろう? 」


ヒラリ。

「よし!つかまえたぞ!細長い紙が三枚ある…。んん?何か書いてあるぞ!」

「なになに!? 」


パンダさんゾーンで 今も
月餅やら パンダさんやら…夢中で おしゃべりしている日本の子供と、中国の子供。

そこに 三枚のおふだ…じゃなかった…三枚の細長い紙が ヒラヒラと落ちて来た。


「なんだ? 何の意味だろうね?」

「んん?…へ?何だろうねぇ?」



細長い紙に書かれた 今川ダンボからの メッセージに 意味不明な子供たち。
そこに書かれていたメッセージとは…?


一枚め 
『人間のズルや欲張りのために、高級月餅を買うのは、ちょっと悲しかった』

二枚め
『本当の伝統を願っている月餅たちは カッケー!』

三枚め
『月餅たちが今度 生まれ変わったら、パンダさんの形をした月餅(アヒルの卵入り)がイケると思う』




〜〜〜
ヒューン。ヒューン。


「なぁ…。ペーちゃんよ…」

「ぺぇ?」

「初めて 中国の空を見た時…オレ何で空の色が悲しく見えたのか…分かったような気がするぜ…」

「ぺぇ…」


「このまま…グレーな空のままじゃなくて、いつか 澄んだ青空になることを…オレは祈っている」

「ぺぺ」

「さあて!! 次に行く国は 決まってるぜーーーー!」

「ぺぺ!」

「レッツゴー!だぜーーーーっ!」


今回はヘナチョコじゃなく、ちょっとカッコよく決めてみた今川やきくん…。



今川ダンボが 今、出来ること。

ふふふ。
自分たちが着けていた、紙で作ったダンボ耳(全部で四枚)をペリリと はがし、 隠し持っていた ※三種の神器(子供用)の色えんぴつで、スイスイスゥ〜っと 願いをカキカキ。

動物園上空から落としてみることを思いついたんだよ。



さて、残り一枚のダンボ耳に 書かれているメッセージとは…? 

今川やきくん、その一枚を握りしめて いざ!
次の国へ!




※ 三種の神器 子供用 とは…
今川やきくん イギリスの巻の途中でアップしている詩を 読んで頂ければ…と思います。


中国の巻 完 

そして次の国へ…続く

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