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【創作小説】まわれ!今川やきくん!(マンガ風)フランスの巻⑸


「た、たいへんです!」


「何かあったの?」


「は、はい!一番下の 番号8ばんのシュークリームの皮が やぶけてしまって、カスタードクリームが飛び出してしまいました!」


「ああ!!なんてこと! きっと砂糖水の浴び方が甘かったのね。8ばんのシュークリームは大丈夫?元気はあるの?」


「はい!8ばんは元気ですが、一番下にいる土台なので、ケーキがグラグラ揺れています!」


「まあ!!どうしましょう!? 困ったわ!!」



「ああ! 本当だ! ケーキが グラグラ揺れてるじゃねーか!  ラスボス!これは大事件です!!
何とかしないと!」

「ペーーーーー!!」



「そ、そ、そうよね!! どうしたらいいかしら?今川やきくん!」


「あ、あ、あの…。えーと…」



どうしたらいい?って聞かれてもだな…。

だが このままじゃ
素晴らしいケーキが こっぱみじん になっちまうう!


いや。待てよ…。
オレは思い出した!

前に じいちゃんから教えてもらった
ジェンガって言うゲーム、あったな。

ふむ。

あれは ビルみたいに積み上げた積み木を 順番に抜いてって、倒れた人が負け!って言うゲームだった。


そうなんだよ。シンプルだけど、やってみると
あれも 結構 盛り上がるんだよなー。


クロカンブッシュとジェンガって似てねーか?

この大事件の状況、そっくりだぜ!
ドッキドキでな!

んふふふー。


あ、いや!今は笑ってる場合じゃなかったな。

んが しかし…しかしだな。

どっちかってーとー。

オレは 黒ひげ危機一髪ゲームの方が 好きだったんだよなー!

まあよ、どっちにしろ 両方ドキドキするゲームだったさ…。




どうしてくれよう?
妄想が止まらないこの今川やきくんを…。




ん…?  あああ!  そーか!!
オレは気がついたぜ!

クロカンブッシュ、ジェンガ、黒ひげ…この三つに共通するのはドキドキ感なんだ!


そして なんと言っても 一番のドキドキ感は…。

ヒナちゃんなんだよなあーーーーーっ!!


カーーーーーーーーッ!
我ながら ヒナちゃんを思い出すと 赤面大魔王になっちまうな。ケケッ。






もういいだろう? 今川やきくん…。

今は そのドキドキを感じてる場合じゃないんだ。

気がつくのは そこじゃないんだ。

頼む。誰か止めてくれ…。








「ラ!! ラスボス! オレは 気がついた!!
そうさ! オレが黒ひげ危機一髪ゲームになればいいんだよ!」


「え? はぁ!? 何なの?それは」


「黒ひげ危機一髪ゲームは 刀を差し込むゲームなんだ! だから オレが8ばんシュークリームのところに 代わりになって差さればいいんだ!」

「ぺっ!ペーーーーー!」




ようやく暴走妄想が止まった今川やきくん…。




「ほーっ!なるほど!そうね。そうだわ!今川やきくん 何となく私たちと似てるし あんこが入ってるから 頑丈そうだし、大きさもちょうどいいわね。
じゃあ、お願いしてもいいかしら?」


「ガッテン!しょうちのすけ(承知の助)でぃ!
その たいやき…おっと、もとい!
その たいやく(大役)を せっしゃ(拙者)が引き受けるでござる!!」





せせせ…せっしゃあー!?

キタキタキターーーーーーーー!!
今川やきくん、攻めのオヤジギャグ!

しかも  ござる…って……。

品格のつもりかっ!





続く

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