拙い、おぼつかない、小さな声が話すとき

まあ、暗い世の中だ。
物価も、政治も、海外の情勢だって、安心して先行きを見ていられる状況ではない。
30後半過ぎの年齢から見れば、若さで輝いて見えるz世代も上の世代よりも効率よく上手くやっているのだろうと思っていたけれど、#Z世代的価値観を読むにあれはやけっぱちの輝きらしい。書かれていたのはアメリカのZ世代だけれど、子供時代から既に9.11があって、物価も不動産はどこまでも高く、就職も未来も先行き不透明。これでどうして未来のために『堅実に』貯金や投資にお金を回せる？それならハイブランドのカバンをさっさと買って、SNSにアップした方がマシ。というのは、日本にいる自分でも「わかるー」と虚ろな目で頷いてしまう。

まーじで、冗談の如く酷いニュースがこの世には溢れすぎている。政治も社会も気候ですら崩壊してんのに、数年後のローンについてとかどうやって考えていけばいいの？ってか、自分は未来でも払える状況でいれるんだろか？？

疑問を持ったら、Google先生に尋け。
但し、そこでSNSにひとたび繋がれば、地獄の蓋が開く。
旧Twitterのおすすめ欄に轟くのは、不正に喘ぐ者たちの絶叫だ。

裏金を貰った政治家は、逮捕されろ。
インボイスはクソ。
ペドに教育職を就かせるな。
性犯罪の重罪化を。
私たちには人権がある！！

これはマイルドにまとめてみただけで、実際はもっと激しく、丁寧に書き出された事例が私の心を潰す。
世界で起こるジェノサイドと交互に現れるこの国のクソったれな話も、現実かと思えぬぐらいにひどく、けれどコンビニで男性向けのエロ本が売っている身近な光景とどこまでも地続きだ。

子供の前で、恥ずかしくねーの？？

かつて神武天皇が狩りに出て草原の海に飛ぶトンボたちの姿を見て、なんと美しい国かと大倭豊秋津島（秋津＝トンボ）と呼んだ国は、今では海外からHENTAIの国と呼ばれるようになってしまっていた。

いや、成り下がりすぎだろう。COOL JAPANはどこに行ったんだ。

そうやって、SNSに煽られ着火した自分の正義と、疲労と、脳に湧き出すドーパミンのおかげで、毎夜ベッドの中でスマホをスワイプする手は止まらない。

この世は、ゴミでクソで矛盾に満ち溢れている。らしい。

そして、他人の嘆きや怒りに充てられて、結果、私は4日寝込んだ。

男はクソ、という情報に塗れたせいで、職場の男性たちにも厳しい目を向けるようになってしまったし、警戒度も上がった。
そして、自分が関心を持ったネットの声に賛同して、自分の意識と他人の声・感情・思考の境界を薄くしていった結果、私は情報の侵食を許してしまい、メンタルをやられてしまった、というわけだ。

総括する。
社会はクソだ。女にとっては、まだまだクソな社会だ。それは、内閣の男女比を見るだけでわかる。
社会の中で良くないことが起きたら、声を上げるのも大事だ。社会について、もっと話をするのも大事だろう。
でも、社会という大きなものを話すとき、それは気持ちがいいし、高揚するし、正義に酔う側面もある。

だから、話すな、という訳では決してなくて。

なんというか、全てが続いているものだと思っていて。
社会とか言われる大きな囲みの、もっと前。私とあなたという密接なものではなく、もっと形にもならない話の中で。

誰かが、名前も覚えられないような頼りなくみえる人が、私たちに話すときに。
おぼつかなく、まとまりもせず、まとめることもできない話を、
止めない、口を挟まない、賢ぶって代わりに言おうとしない、最後まで不満な顔をせずに聞く。自分が話すのはその後だ。

会話は、威圧する場でもなく、自分の賢さを表現する場でもなく、言うことを聞かせるものでもない。

安心して、話せる。
話して、何かをやってみたくなったらやってみて、違ったら変えてみる。

そう言う場所があるのもいいと思うけど、そもそもそれをやってみるというか。
ひとの話を聞いてみるというか。

社会とか国とかでかい単位を思う前に、私の単位に戻って、やるというか。。

それが最近のSNSやニュースに『ちかれちまった』私が思った、益体もない考えだ。