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看取り 安楽死 をご近所さんと語る 080/360

今朝、大事なおともだちのジョーさんと、2時間半!
お茶飲み話をしてきました。
最高に楽しいひと時・・

「ともだち」がほぼ全く?居ないバタコにとって
ジョーさんとの楽しいおしゃべりの2時間半は
数少ない日本人ママ友と母国語でしゃべる以上の
「深い満足」をもたらしてくれる経験かもしれません・・

そのジョーさんとは・・
■テキサス州出身、今年で76歳
■1年半前に、パーキンソン病だった夫ジョンさんを
 亡くしたばかり
■娘3人 (イギリス国内だけど遠方、に2人。オーストラリアに1人)
 筆頭はティーンエイジャーになる孫も数名
■ジョンさんは旧軍人だったため
 イギリスの「元軍人ネットワーク」を通じて
 地元では本当に顔が広い
■そしてジョーさんは物おじせずだれとでも和やかに語れる
■ジョーさんとジョンさんの出会いは
 ジョーさんがテキサスを出て東南アジア→日本と
 英語を教えつつ旅行した後、帰路に立ち寄ったロンドンで
■バタコんちから徒歩5分以内に住んでる
という女性です。

年齢もずいぶん違うし、どうしてこの方と
おともだち?とお思いかもしれませんが

一番のポイントは
「お互い、外国からやってきてイギリスに住んでる身だから」
です。

生粋のイギリス人とここまで親しくなれるか・・?
バタコだったら、ちょっと微妙かもしれません。

それに加えて、テキサスのド田舎、お隣さんちまで
9マイル (10数キロ) ある農場で
綿花摘みの手伝いをしながら育った、
という経歴。

つまりバタコが自分のアイデンティティの一部だと自負している
「地方出身で地方在住」という共通点があるからでしょうか?
アメリカの僻 (へき) 地に暮らす人独特?の
「芯の強さ」を持っているからでしょうか?

スピリットの部分でとても共通するものを感じます

まだあまり言語化できていないのですが
「ワイルド」
「開拓者精神」「独立自尊」
「キレイごとだけじゃ生きていけない」
「本質に切り込む」
とでもいうような

たとえば今日の会話から・・
たまたま、ジョーさんのご近所さんメリッサさん(アラ還)ちの
16歳になる猫ちゃんが、昨日死んだばかり。
先週、獣医に連れて行ったら3万円近い値段の
抗生物質などの注射をしたばかりなのに
今週、容体が悪化して結局安楽死。

ジョーさん曰く:
「ぼったくり獣医よね~
もう16歳だし、私が見てても
『長くはないな』と思ってたの。
どうせ今週亡くなる健康状態だったものを
先週にそんな高価な注射させるなんて・・」

「私のコドモ時代は牛馬も飼ってたし
猫も居たけど半野生で
病気になると私の父は銃殺してた。
だって、治療できる当てもないんだし、
楽にさせてやる以外、仕方ないでしょ」

この話を聞いて思い出したのが
先日読んで、胸を打たれたこの記事です。

↑↑
話題的に大変デリケートな内容ですので
是非原文をお読みください。

バタコ要約:
高齢者医療に長年携わってきた内科医の筆者NOBUKO(暢子)さんは

医療従事者として、医師や看護士は
「この患者さんの最期は、私が引き金を引いた」とわかる経験は
きっと誰にでもあると思う、口には出さないだけで

そして、そのことを恐れてはいけない
むしろ、それが責務である場合もあるのだ。
ただただ延命するだけが医療の役割じゃないはず

筆者NOBUKOさんが
「もう病気に負けてもいいかもしれないよ」と
声をかけてあげた患者さんが
「そうかぁ、もういいかもね」と言って
ご飯を食べてその夜亡くなったこともあった

(住宅ローンの支払いもあって経済的に楽ではないことを知っている
メリッサさんが) 亡くなる運命だったと思われる飼い猫の治療費に
高い金額を払う羽目になったことに憤るジョーさんに
バタコはこの女医さんのメルマガ記事のことを言ってみました。

すると、ジョーさんが話してくれたのは・・

ジョーさんの旦那さんジョンさんは
パーキンソン病をわずらっていました。

バタコは以前、介護の仕事をやってて「多少」知ってる、くらいなのですが
パーキンソン病は長年かけて少しずつ進行し
全身の随意運動機能が失われていきます。

ただ、「パーキンソン病が死因」にはならず
だんだん体が弱り
最期は肺炎で、というような場合が多いようです。

ジョンさんの場合は、食べ物を飲み込めなくなり
入院して、これから「点滴で栄養を入れつつ」
ずっと寝たきりで生きていくのかどうか
という場面で

ハッキリ言われたわけではないのですが
おそらくジョーさんが
「もう、結構です。逝かせてやってください」と
判断する場面があったことを匂わせる流れ・・

ジョーさんは涙ながらに、パーキンソン病専門の医師に
「この後はどうなるのか?自宅に戻れるのか?」
など予後を確認した。

ジョンは、少し、死を恐れていたと思う・・

と話してくれました。

注:イギリスの医療制度では、一定年齢以上の人が介護が必要な状況などになった時点で、ほぼ全員が「DNR*にサインするか?」確認され、基本的にはほとんどの人が署名します。
*do not resuscitate 心肺停止になった場合、電気ショック等を含めた
「蘇生」は行わない、という患者の意思表示。
Wikipediaにあるとおり、延命措置や治療を行わないという意味ではありません。

私はずっとジョーさんはとても強いヒトだ、と思っていました。
誰だってしたくはない「引き金を引く」決断という責務を
おそらく、娘たちに負わせることなく、勇敢に引き受けたのだと思います。

ジョーさんははた目から見ていてもハッキリ伝わってくるくらい
最愛の夫の世話を、苦にもせずほがらかにしていました。
軽々に引いた「引き金」ではなかったはずです。

イギリスの暗い長い冬は弱気になった心を容赦なく蝕みます
       ※育児ノイローゼみたいになったときに経験済み
バタコは2-3月の頃、ずっと心の片隅でジョーさんのことを気にしてました
町でも見かけなかったし・・

「もうすっかり春になったから大丈夫になったけど」
抗うつ剤を今でも飲んでることなど、話してくれました。

勇敢に引き受けた任務の「後遺症」は
ジョーさんに傷跡を残しているのだと思います。

               *****

バタコは、介護の仕事を通じて
「遠くの親戚よりも近くの他人」
はまさに真だと思うようになりました。

後ろめたさが全くないわけではないのですが、バタコは両親を日本において
イギリスに住んでいます。

そのイギリスで、ホームヘルパーとして働いて
主に何をしてたかというと、介護の実務よりも何よりも
「こんにちは」と顔を出して、世間話をする
それが仕事のエッセンスみたいなものでした。

そうなんです、ただ近所に住んでいる他人という縁。

それが、日常的に訪問できない距離にいる血縁よりも
実はずっと有効に機能している、と
肌で感じました。

    ※次回記事では、ジョーさんが夜中に
     「パニック障害」みたいなものが出て眠れなかった時
     どうやってご近所に助けを求めたか、
     というハナシをしてみたいと思います

この話は、バタコとジョーさんの「スピリット」が
なんらか響きあう部分があったから、出てきたのだと思いますが
それ以上に、
(車で数時間とか飛行機で一日かかる距離に住んでる娘さんたち以上に)
ただ、近所に住んでるだけの縁のバタコと
こういうハナシをしてる

そしてバタコはその話に深く癒されてる。

不思議なような当然なような、海外在住者の現実。

アナタも「ほぼ赤の他人」と深い話をしてしまった経験、ありますか?

ではまた明日!


*********************************************************************************■関連リンク:現役内科女医さんNOBUKOさんの終末期医療に関する提言


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