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誰でも知っているあのスタートアップもコワーキング出身:今日のアウトテイク#238(2024-07-13)

<アウトテイク>
・SNSに投稿する前の推敲(もしくは配慮)なしのメモ、殴り書き
・ブログ記事として仕上げる前の思索の断片、または下書き
・一部、筆が乗ってきて文字数多いのもあり〼
・たまに過去に書いたネタを展開する場合も
・コワーキング関連のネタが多め
・要するに「伊藤の現在地点」


#今日のBGM

#今日のコトバ

"人類学者のジョナサン・フリードマンは「古代の奴隷は単に資本主義の古い姿だった」と主張しているが、それに対して我々が言えるのは「近代的資本主義は単に古い奴隷制度の新しい姿だ」ということだ。つまり今日では、誰かが我々を売ったり貸したりする代わりに、我々が自分たちを貸し出している。"
(デヴィッド・グレーバー)

#ああ、フェルナンデス、お前もか、というかあの会社が今そんなことに

今日、一番驚いたのはこのニュース。老舗ギターメーカーのフェルナンデスが倒産した。

フェルナンデスといえば、ぼくら世代には馴染みの深いエレキギターブランドだ。ぼく自身は使っていなかったけれど、ファンは多かった。

今ほど、海外の有名ブランドが身近でなかった(あまりに高額で手が届かなかった)時代に、そのコピーとして国産メーカーはどこも同じようなモデル(ストラトキャスターやレスポールやテレキャスターや)を競って製造していた。ぼくら学生は、そのいいお客さんだった。

でも、国産の廉価なコピーモデルがあったおかげでぼくらはギターを、バンドを、音楽を楽しめた。それにはもうホントに感謝しかない。ぶっちゃけ、その当時、ギターと出会ったから今のぼくという人間がいる、と言っていいと思ってる。

「1999年1月期には年間売上高40億円台に達していた」けれど、「2022年1月期は売上高1億6608万円まで落ち込み、2414万円の最終赤字を計上」。負債総額は4億3389万円(2024年1月期決算時点)。

あー、中小の楽器メーカーってこれぐらいで潰れてしまうのか、と思われた人も多いかもしれない。でも、昔と違って若者の趣味も多様になってきてこのマーケットは小さくなってるし、無理もない気がする。

昔(あ、昭和ね)は学生が遊ぶと言ったらスポーツかギターぐらいしかなかったんじゃないか。ぼくは中学からアコースティックギターをはじめて、高校もずっとギター漬け、大学ではじめてエレキを持ち、ますます深みにハマった挙げ句に就職したのは浜松の中小楽器メーカーの東海楽器だった。

フェルナンデスはいわばライバルだったのだが、今日のニュースを読んで「あー、お前もか」と思ったのは、実は東海楽器もぼくが入社して何年か後に和議申請をしたから。

和議申請というのはいわば民事再生法の前身の制度で、債権放棄や返済の猶予期間を設けることで破産を回避するやり方。実に平和的な解決方法だ。

和議【わぎ】
債務者が債務を完済できない状態に陥ったときに,破産の予防を図る制度ないし手続。 和議法(1922年)に基づく。 破産は債権者・債務者にとって不利であるから,債務者よりの和議開始決定申立てに基づき,債権者と債務者が裁判所関与の下に債権の切捨てや弁済の猶予などの条件を決めて,破産を回避する。

(出典:コトバンク

東海楽器はこの和議により、それ以降、他社の下請けもやりつつせっせせっせと工場を稼働させてきた。

そういえば和議以降、確か90年代後期のヨーロッパで、あり得ないぐらいの高額でTOKAIブランドのエレクトリックギターが取引されてたのを見たことがある。ちょうど、オンラインショップが出だした頃と記憶している。ま、それぐらい品質の良いギターを作ってたんですよ。ホント。

で、その後どうなったかと思って検索したら、しっかり再建されたみたいで、ちゃんとサイトがあってウレシクなった。立派。

ラインナップを見るとエレクトリックのみに絞ってアコースティックギターは辞めたみたい。と、あれ?よく見ると、なんと2021年に株式会社GRACEの完全子会社になってた。オドロキ。

工場を稼働させ続けてきたおかげで、その延長線上にこの経営統合になったと考えれば、楽器作りを諦めずに続けてきてよかったということだろう。ぼくはGRACEさんのことはよく知らないけれど、このご縁が良きものであることを願うばかりだ。

そして、フェルナンデスにもそんな救済の手が差し伸べられんことを。

#誰でも知っているあのスタートアップもコワーキング出身

コワーキングは元々フリーランサーの共用ワークスペースとしてはじまったが、スタートアップ起業家の拠点としても利用されてきたことを思い起こさせる記事があったので、共有しておく。

以下、雑訳して引用。

スタートアップ企業がコワーキングを使うメリットはいくつもある。

1)従来のオフィスリースに代わる柔軟な料金体系
それまでは不動産賃貸借契約に基づく一定の家賃負担だったのが、利用契約による利用料金になったことで固定費が大幅に節約できる。

2)成長に合わせたさまざまな会員制オプション
起業当初は少人数なのでオープンスペースでも、ビジネスの成長に応じてプライベートオフィスへと移動可能(その逆もある)。

3)ネットワーキングやコラボレーションを促進するイベントやアクティビティ
「コワーキングの5大価値」にあるようにコラボレーションは最強の武器。しばしば開催される「ネットワーキング・イベントやワークショップ、セミナーが、知識や経験が自由に交換されるエコシステムを作り出し、イノベーションの火付け役となり、新興企業に他の方法では得られないような専門知識へのアクセスを提供」する。

4)ビジネスを成長させるためのメンタープログラム
コワーキングのメンバーは法律、金融、マーケティングサービスを割引価格で利用できる。 中には、経験豊富な起業家や業界の専門家が指導やアドバイスを行うメンターシップ・プログラムを提供しているところもある。

5)そして何よりもそれらがコミュニティをベースに展開されていること
スタートアップの経営は孤独でストレスの多いもの。支援的なコミュニティがあることで、創業者とそのチームの幸福度に大きな違いが生まれる。

コワーキングのデフォルトが挙げられているが、この最後のところが大変重要。この記事でも

コワーキングスペースの協力的な環境は、苦労や成功を共有することを可能にし、実用的かつ精神的な支援を提供できるサポートネットワークを作り出す。 この共同体感覚は、集団的な問題解決が奨励される共有と革新の文化にも貢献する。

としている。

「共同体感覚」は、日頃、あまり意識されていないかもしれないが、コワーキングはまさにこれがあるのとないのとでは雲泥の差があり、計り知れないパワーと効果をもたらす。そして、集団的な問題解決は、スタートアップの成長に絶対に欠かせないプロセスだ。

これらのメリットをうまく活かして、ビジネスをロンチし成長してきたスタートアップもたくさんある。例えば、Instagram、Uber、Spotifyなんかがそう。

Instagram

Instagramは、サンフランシスコのコワーキング「Dogpatch Labs」でスタートした。

Uber

Uberは元々ニューヨークだったが、後にサンフランシスコに移り、RocketSpace を拠点にした。

Spotify

音楽ストリーミングのSpotifyもRocketSpaceから立ち上がった。

他にはクラウドファンディングのIndiegogoもサンフランシスコのコワーキングで誕生している。

こうしてみると、サンフランシスコばっかりだが、起業家精神を鼓舞するお土地柄であったことも関係していると思うが、そもそもコワーキングもサンフランシスコ発祥だ。相性はいいと思う。

ところで、日本の一部ではスタートアップという言葉が誤解されているフシがあるので注意が必要。スタートアップとは、イノベーションと革新性にフォーカスし、創業2〜3年の極めて短期的に急成長する企業を指す。急成長して高値で売却される。

のだが、本来のスタートアップではない、いわゆるスモールビジネス(これも誤解を呼ぶ英語だが)と言われる既存の事業形態であっても、「ビジネスを始める」という意味でスタートアップと言ってる人がいてややこしい。

スタートアップにしろスモールビジネスにしろ、何かコトをはじめる人にコワーキングは最適な環境なのは確かだ。

ちなみにぼくは、ローカル経済の軸になるスモールビジネスを育成することのほうを重視している。たとえ小さくても地道に積み重ねていく事業がまちづくりには欠かせないと思ってるので。

ということで、今日はこのへんで。

(カバー画像:dogpatchlabs)


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