【長編】コワーキングツアーVol.20沖縄やんばる編はてんこ盛りの5日間だった〜コワーケーションとブログジェリーとBeyond the Coworkingとスキルシェアとシャルソンと〜
※この記事は、2021年12月12日に公開されたものの再録です。
去る11月23日〜28日に、沖縄大宜味村のコワーキング「SEASIDE OFFICE」さんを拠点にコワーキングツアーVol.20を開催してきました。
今回は那覇から名護を経て何ヶ所かおじゃましつつ北上し、大宜味村では地元の人と県外から来た人とでスキルシェアしよう、ついでに次世代のコワーキングを考えるイベント「Beyond the Coworking Vol.16」もやり、シャルソンもしてブログ書こう、という趣向。ツアーとしては20回目。詳しくはこちらに予告として書いてます。
「SEASIDE OFFICE」さんについてはこちらを参照くだされたく。
ということで、今回は、那覇〜名護〜大宜味村、と移働しての5日間のことをツラツラと書いておきます。
なお、このブログは、訪れた地でブログを書いて置き土産とする「置きブログ」(そのことも上記のブログに書いてます)として、下記のマガジンに収録されています。
では、ここから文体がガラッと変わります。写真満載。
マクラ:那覇から名護へをカンタンに
11月24日:初日の夜はぼちぼちと
那覇に着いたのは、24日の夕方。手荷物受取場を出て、長野から先に着いてた江原さんと合流するや、早速、沖縄そばをいただいた。これを食べると、ぼくの胃と脳は「沖縄に着いたな」と認識する。毎回、那覇空港に着くたびに行われる恒例行事なので、もう体が自動的に店の方に動く。
そのあと、ゆいレールに乗って牧志駅まで。目指す今夜の宿は牧志市場のすぐそばにある。そこへ向かう途中、怪しくも懐かしげな通りに出くわし、迷わずそっちへ進む。
レトロ感たっぷりの店が立ち並ぶ中、最も異彩を放っていたのはここ。過去何十年の時の流れを物語る外装に感じ入ってたら、
裏がスゴイことに。
どうやら、別のお店の解体中みたいだが、それにしてもこの剥き出し方に沖縄の気骨を感じる。
この夜の国際通り屋台村の「蝦夷前寿し」がよかった。北海道の会社が沖縄に出店してて福井の人が店長してる。何がよかったってここの店長がいい。
その店長は元フードファイターで、その名もジャイアント藤田という。そう、ジャイアント白田氏にあやかったらしい。分かりやすい。おまけにオススメメニューも「ジャイアント藤田」という。これ。
ワンオペで忙しくメニューこなしながらも客とのトークもしっかりしてて、あー、またコワーキングマネージャーのお手本発見、と思った。
ちょうど1年前、鹿児島でコワーキングツアーをやった時も、名山町のあかねという居酒屋の女将さんの瞬時に空気を作るホスピタリティにノックアウトされたが、ジャイアント藤田氏はそれとはまた違った個性がある。そう考えると、飲食店にはコワーキングマネージャーが学ぶところ大と言える。
あかねさんのことはここに書いた。
11月25日:観光コースから名護のふたつのコワーキングへ
あくる日は名護へ。道中、やんばるシャルソン用に「オモシロイ!」と思ったら写真を撮ってバンバンFacebookにあげていく。例えばこんなの。
が、国際通りは人通りもまばらで、1月の時ほどではないにせよ、コロナの影響がまだ大きいことを物語ってた。
さて、レンタカーを借りた我々は、途中、寄り道しつつ、一路、名護へ。名護に入ったところで、沖縄のファーストフードといえばこれ、A&Wへ。地元では「エンダー」と言うらしい。なぜか、理由を訊くのを忘れた。
江原さんが「ルートビアって飲んだことない」と言うので、強くオススメした。たぶん、咳止めシロップを思い出したと思う。元々、薬として売ってたそうだから正しい反応だ。おかわり自由だったが、自重した。
お腹が膨らんだところで次に寄り道したのは、今年の1月にも行った瀬底ビーチ。あいにくの天気で写真がいまいちだがホントはすっごい綺麗なところ。
ただし、例の軽石はやっぱりここにも漂着してて自然界の脅威を感じる。
次に立ち寄ったのは、定番、沖縄美ら海水族館。ベタだが、一応、抑えておきたい。
この水槽は圧巻だった。聞けば、この前はコロナ以前はカフェだったらしい。一部、規模を小さくしてテーブルが設えてあったが、このバカでかいジンベイザメを見ながら食事するのは不思議な感じ。
その他にも、興味深い展示が続くのだが、全部紹介してるとなかなか大宜味村にたどり着かないので割愛。それにしても、敷地は広いしこの建物もデカイ。「なんぼ、かかってんねん」と思わず口から出た関西人。
この日の宿は、ホテルゆがふいんおきなわさん。ここに決めたのは、「ハナウール」というコワーキングスペースがあるからだ。
実は、一昨年の11月、昨年の2月と、宜野湾で2回コワーキングとワーケーションについて講演させていただいた時に、ここの役員の方々にも聴講いただいた。その際に、「ロビーにコワーキングを整備しました」とおっしゃっていたので、一度、おじゃましたいと思っていた。
最初、あまりに静かで、ぼくのようなおしゃべりはやや緊張したのだが、あとから来た人が普通に会話し出したのでホッとした。そうそう。コワーキングはコミュニケーションありきなのだから、たとえホテルにあろうともこれでいいのだ。そういえば、昨年、指宿のホテルに泊まったときは、1階のコワーキングスペースに他に誰も仕事してる人いなくて寂しかったなぁ。
「ハナウール」は宿泊客には24時間開放しているが、近隣の方も夕方18時まで利用可能。大学生や地元のフリーランサーらしき人も利用していた。しかも、国の補助金が活用されているので、オープン以降10年間は無料なんだそう。10年間…。なので、利用料としての収益は見込めない。そこをホテルとしてどう活かすかだが、コワーキングを目的にするのではなく、手段として使えばいろいろ収益モデルは考えられる。実はそれはホテルに限らない。ビジネスとしてのコワーキングの本質は場所貸しではなくて、そこにある。
ちなみにホテルの目の前には、日本ハムファイターズがキャンプする立派な市営球場がある。なので、毎年、このロビーはメディア関係者でごった返すらしく、それを解消する目的もあってコワーキングを整備したとのこと。(キャンプ期間中は一般の利用はできないので注意)来季はビッグボス新庄が監督だから、きっと今まで以上に大騒ぎになるのだろう。←ここにもヒントが。
ここでしばし、仕事に勤しむ。どこにいようとも、仕事は待ってくれない。リモートワーカーの宿命だが、それはそれで楽しい。というか、旅先のほうが捗るのはなぜだろう。「ハナウール」の利用に際しては、こちらを参照されたし。
一段落したところで、実はこの近所にもう一軒コワーキングがあるので、そちらに見学に行った。
歩いてものの10分ほどで、コープなご宮里店に到着。このビルの2階に、コワーキングスペース「howlive Nago Miyazato」がある。
今年の4月にオープンしたところだそうで、初々しさが気持ちいい。ちなみにここには、沖縄タイムズやFMやんばるも入居している。ぼくはコワーキング自体がメディアとしての機能を持っていると思ってるのだが、ここでもコワーキングを起点にメディアとのコラボが起こるに違いない、と勝手に期待している。
ということで、このあとゆがふいんさんの近くの居酒屋で日本シリーズを見ながら飲んで、居合わせた人と「やっぱり山田はスゴイなー」とか会話したのはカットして、いよいよ大宜味村入りだ。
大宜味村での3日間
11月26日:ブログジェリーとビーチと牛肉そばと泡盛と
26日、久々に「SEASIDE OFFICE」さんに到着。
主宰者の桃原さんとは時々Zoomで話すが、リアルに会うのは1月以来だ。
この日は着くなりブログジェリーをやった。集まって、ブログを書いて、お互いに読んで感想を述べ合うというシンプルなイベントだが、日頃なかなか筆が進まないという人(ぼくも含む)の背中を押す効果があるので、定期的に開催している。それを滞在先のやんばるでやろうという趣向。
なのだが白状すると、この日、3人共終了時間の正午までに完了しなかった。で、それが、このブログ。つまり、もう2週間も経過してる。誠に面目ないが、時間までに無理くり完成させることより、納得のいくものを書き上げることのほうに意義がある(と、言い切ってしまう)。
お昼は、以前、桃原さんに連れてきてもらった牛肉そばの美味しい「ひまわり食堂」へ。ところが、地元の人の知る人ぞ知る超人気店だけに駐車場が満車で入れず、時間調整に近くの「オクマ プライベートビーチ & リゾート」のビーチを散策。ここはスゴイね。
ここも、人がほとんどいなくて、江原さんと二人で歩いてる間、風の音しか聞こえなかった。だが、かえってその静けさが贅沢に輪をかけてるような気がした。
昨今、ワーケーションが取り沙汰されていて、ぼくもよくそのテーマでお話するが、Work+Vacationというからには、こういう環境で数週間過ごすぐらいが本当なのであって、日本型ワーケーションのセセコマシサをあらためて思い知らされる。もっと「余白」を愉しむよう、早く「日本型」を卒業したい、させたい。
ひまわり食堂に戻ったら運良く入れた。もやしたっぷりの牛肉そばにコーレーグースを一振り垂らしていただく。メチャウマ。
さて、このあと15時からの「Beyond the Coworking」という、これからのコワーキングを考えるトークセッションまで、まだ時間があるので、桃原さんに教えてもらった泡盛の「やんばる酒造」さんへ。
ここは、1950年(昭和25年)に大宜味村田嘉里地区(おおぎみそんたかざとちく)の地域の人たちの出資により創業した沖縄本島最北端の泡盛酒造所だ。地元民が共同出資した、というのが誇らしい。
へ〜、と思ったのは、ここの売店の販売員の方は、昨年、大阪から大宜味村に移住してきた人だった。聞けば、この地にもぼちぼちと移住者が増え始めているらしい。その話が、このあとの「Beyond the Coworking」に微妙にリンクする。
11月26日:大宜味村での「Beyond the Coworking」はいつにも増しててんこ盛り
「Beyond the Coworking」は、これからのコワーキングを考える参加者同士の対話のイベントだ。今回のテーマは「コワーケーションとコワーキング」で、ぼくのショートプレゼンからはじまったが、例によってどんどん話が展開していき、こと「コワーケーション」に限らず、町づくりのところで多くの情報と知見を共有することができた。なお、沖縄にいない参加者もZoomで参加した。
まず、あがった話題をざっとあげると、
もうすでに「ワーケーション」という概念から飛び出しているように見えるかもしれないが、ワーケーション(ぼくらはコワーケーションと言ってる)がそもそも地元(ローカル)に益するものでなければ意味がないということは我々の間では一致している。なので、いきなりここからはじまってる。
このへんを前提として、それから次々と出た話の中からポイントとなるところをつまみ出すと、以下のようになる。
・余白をたくさん作るということ
・ローカルの人とつなぐ観光案内所
・地域複業
・フォーカスしたい人へ伝えるためのSMOUTの活用
・その人がいるからそこへ行く
・コワーキングの人がちゃんと人をつないでくれる
・価値観を共有できる人たちとFacebookグループを作っておいて、そのメンバーで「大事な客人」に対応する
・余白が広すぎてもムズカシイ
・余白に入りたくなる余白
・移住したい人がすでに移住した人に質問できるFLATOと移住相談を受け付けるコワーキング
・1ヶ月1ヶ国、1年で12ヶ国に100人で滞在する団体旅行「Remote Year」
・「沖縄しまむすびワーケーション」の国頭村のプログラムは30日間
・各地のコワーキングが企画する1ヶ月滞在コワーケーション
・おためし⚫⚫⚫を「沖縄しまむすびワーケーション」型にアレンジする
・村が発行するデジタルノマドビザとは
・コワーケーションには30日は必要(最低でも1週間)
・沖縄の移住事情と地元民の真意
・ワーケーション参加者の条件を明確にする
・その人の興味を見える化させるフェーズ
・長期滞在型コワーケーションまとめサイト
・ノーコードでウェブサイト構築
・コワーキングスペースの住所を無断使用して求人広告出す企業
などなど。
キーワードだけでは判らないかもしれないが、この中で特に重要なのは「その人がいるからそこへ行く」ということと「コワーキングの人がちゃんと人をつないでくれる」ということ。
会社が決めたスケジュールでゾロゾロやってくるのではなくて、自分でブッキングして行きたいところに居たいだけいて仕事と余白を愉しむ。その時、彼らを誘うのはその地にいるヒトであり、その人たちが起こしているコトなのだ。結局、人が人を呼ぶ。この原則は我々が人である限り、変わらない。
そして、そのローカルの人とリモートの人(外から来た人)をつなぐのが、ローカルにあるコワーキング。だから、コワーキングはコミュニティとして成立していても内に閉じててはいけない。外に開いているコミュニティであるべき。そこを拠点として内と外をつなぐことで、ローカルに新しい価値を生み出す機会を作る。結果、サステナブルな町づくりに貢献する。ぼくはそう考えている。
それで言うと、「沖縄しまむすびワーケーション」の国頭村の30日間に渡るプログラムは注目だ。企業主導型の2泊3日などという日本型ワーケーションとは一線を画する企画だと思う。
30日間を3つのピリオドに分けて、それぞれ第1ピリオド(1~10日目)<国頭村に触れる10日間>、第2ピリオド(11~20日目)<「?」を深堀する10日間>、最終ピリオド(21~30日目)<プロジェクトを立ち上げる10日間>としている。
詳しくは上記のサイトを参照していただきたいが、最後の10日間がキモ。滞在中に感じた「?」に対して、ではどういうアクションを起こすか、というところまで参加者に求めている。ここ大事。ただの観光気分で来られても、地元に価値は生まれない。これを企画した久保さんとは、翌日、久しぶりに会って話した(後述)。
で、これが「おためし⚫⚫⚫を「沖縄しまむすびワーケーション」型にアレンジする」の話につながった。いま、各地で「おためし移住」が行われている。⚫⚫⚫のところはその地名が入る。ただこれが、ワーケーション気分で参加されて、本来の目的に合致しないケースが目についてきているらしい。
ぼくは元々、移住より移働推奨派だから、今の日本型ワーケーションの流れからすると、まあ、そうなるやろね、と思うが、しかし、自治体にすればやるだけ無駄だ。だからそこに、成果物を求めるのは全然アリだと思う。要するに本気度が問われる。
移住に関してはもうひとつ、「お?」と注意を引いたのはここだろう→「沖縄の移住事情と地元民の真意」。
行政が推進する移住促進政策は、場合によっては必ずしも地域住民にとって喜ばしいとは限らないかもしれない、という視点が抜けていることがあるという指摘。
何が何でも人口が増えないと、この町は衰退していずれ消滅するかもしれないという危機感をどこの自治体も抱いている。
が、住民にすれば、だからといって他所から人がやってきて、どんどん人が増えることが、自分たちの生活にとって果たしてハッピーなのかと言うと実はそうでもない。自分たちの日常が、闖入者によって違うものになるのではないか、そこに非常にセンシティブな感情が入り交じる。
他所から来た人がすんなり地元に溶け込めるかというと、そう簡単ではない、という話はよく聞く。だがそれは、あくまで外来者からの意見であって、受け入れる側にもジレンマはあるのだ。そこへの配慮が足りないと、お互いに不幸になる。こういう視点は案外気がついていないのではないか。
今回は、場所を変えたせいもあるが、いつにも増しててんこ盛りの内容だった。
なお、今回の「Beyond the Coworking」のビデオは、ローカルコワーキングのための学びと部活動「コワーキングLAB」のメンバーにのみ、YouTubeで限定公開されている。よかったら、ご参加ください。
その夜は、桃原さんオススメの居酒屋「味乃家」さんで地元料理に舌鼓を打った。これはナーベーラーというヘチマ料理。美味だった。
11月27日:スキルシェアと国頭村から辺戸岬へ
翌日は、スキルシェアのプログラム。神戸から来てくれたブラボーSHIROWさんと喜多みのりさんに講座をしてもらった。
彼らはぼくとは旧知の仲だが、今回、桃原さんから地元の人たちに何かスキルを身につけていただくプログラムができないかと相談されて、すぐに連絡をとったら、二つ返事で引き受けてくれた。やっぱり持つべきものは仲間。有り難い。
SHIROWさんは「初めてのYoutube講座」と「ネットショップ開設講座」、みのりさんは「糸掛け曼荼羅教室」と「マナカード導きリーディング」をやっていただいた。講座の詳細はこちらを参照ください。
少人数で和気あいあいと講座は進んだ。実は彼らには、ぼくの運営しているコワーキング「カフーツ」でも過去に何度もやってもらってる。
ちなみに、糸掛け曼荼羅とはこれ。板にピンを刺して糸をかけていく。美しい。
午前の部が終わったところで、ぼくはレンタカーを借りてさらに北に足を伸ばした。最初の目的地は、国頭村のコワーキング「HENTONA LOUNGE」だ。
1階がカフェとコワーキングスペースで、2階、3階に宿泊できる。まさにコワーケーションにうってつけ。
実はここを運営する久保さんとは、今年の1月に<コワーキングツアーVol.19 沖縄やんばる国頭村編〜YUMBARU STYLE COWORCATION 2020-2021に参加!〜>として6日間の行程を組んでいた。が、新型コロナウィルスの感染状況が悪化し、やむなく中止にした経緯がある。
久保さんとは、(例にもれず)ワーケーションの話題で盛り上がった。前述の「沖縄しまむすびワーケーション」の30日間に渡るプログラムは、まさに日本型ワーケーションへのアンチテーゼであり、かつ、挑戦でもある。
「果たして何人が30日間のコワーケーションにトライするのか判らないが」と久保さんも言うが、こうしてコワーキングスペースが主体となってまやかしでないワーケーションを企画・提案するのはとても重要なことだ。
で、またもや妄想した。全国各地のローカルコワーキングが自らコワーケーションを企画したものを見える化させるために、まとめサイトがあったらいいのではないか。リモートワーカーはそのサイトでワンストップで全国のコワーケーション情報をチェックできる。
ポイントは、(毎度繰り返して恐縮ですが)主体となるコワーキングが地元のワーカーと外からやって来るリモートワーカーをつなげる仕組みを持っておくこと。それには地元のコトにリモートワーカーがコミットできる「関わり代」を作っておくことだ。
コワーキングには、本来、人と人とがつながって相互に補完する、助け合う、という相互扶助の精神が根幹にある(ないところもあるけれど、本来の意義はそう)。
人口減に危機感を抱く地方は、徒に定住前提の移住を促すのではなく、地元との関係を太いものにする企画を提案して、年に何回か訪れてローカルの人たちとの共同プロジェクトに参加する、いわゆる「関心人口」を育成するほうが、これからのワーカーの行動様式を考えれば効果があるはずだ。
ワーケーションは、それを実現する一手法(イントロと言ってもいい)としてやるべきで、観光業界のサルベージが主目的になってはあまりにもったいない。コワーキングが企画するのは、観光のような一過性ではなく、継続的に関係を維持してそこに新しい価値を生むビジネスを創出し、ローカル経済に貢献することでサステナブルな町づくりを実現するものであるべきだ。久保さんの企画はその核心をついている。
そして、ローカルのコトに関わりたいと考えるリモートワーカーは、今後、どんどん増える。彼らは体験にこそ価値があると知っている。特に、2025年に日本の労働人口の50%(約3,250万人)を占めるミレニアル世代以下の若いワーカーにその傾向が強い。ここにフォーカスして制度設計しないと、ローカルの未来はない。
…てなことを話し込んでるうちにあっという間に3時間が過ぎた。慌てて、次の目的である辺戸岬に向かった。
ここは沖縄最北端の岬だ。天気も悪い上に強烈な風が半端なく吹きすさぶ。正味、10分ぐらいしか外にいなかった。が、沖縄本島の最北端に行ってみたいというかねてからのミッションがコンプリートできて満足した。
11月28日:沖縄初のシャルソン開催
さて、いよいよコワーキングツアー沖縄やんばる編の最終ラウンド、シャルソンの日。シャルソンについては、前述のこのブログの最終章を参照くだされたく。
実は沖縄でシャルソンが開催されるのはこれがはじめて。その栄えある大会に参加したのは、この4名(プラス、スケジュールの都合で先に沖縄を離れた江原さんも26日まで参加)。
真ん中のおふたりは地元の方々。今まで見たことも聞いたこともないシャルソンの趣旨に興味を持っていただき、参加いただいた。シャルソンは地元の人と外から来た人がゴッチャになって参加するからオモシロイ発見がある。
沖縄初のシャルソンとしては、24日からこの日まで、各自の行程で気になるヒト、コトがあれば、その都度、写真を撮ってFacebookグループにアップしていく、というルールにした。以下、いくつか貼っておく(一部、前述と重複)。
…とまあ、きりがないのでこれぐらいにしておこう。
知らない町を宛てのないままあちこち巡ると、日頃、目にすることのないヒトやモノ、コトに遭遇する。ビビビと脳と心が揺れる。その瞬間を求めて街を彷徨う。今回は「街」というより「山」「森」のほうが多かったけれども、それもそのローカルならではの体験だ。
「街の再発見」がシャルソンのスローガンだが、その体験を皆で共有することが大事。決められたコースを一番早く走った者が褒められるのではなく、感情の趣くままに道をたどり一番オモシロイ体験をした者が、その感情を独り占めするのではなく皆に分け与える。まさに、共生、共創の精神であり、そこにコミュニティが生まれる。まだ、やったことない街の皆さんにも、ぜひ開催をオススメする。詳しくは、こちらで訊いてみられたし。
ということで、無事、17時に全員ゴールした。本来、このあと全員で打ち上げパーティーなのだが、あいにく各自、予定があったので、これで沖縄初のシャルソンはおひらきとなった。ご参加いただいた皆さん、お疲れさまでした。
その夜は、また桃原さんのオススメの店で地元メニューをいただいた。これはタナガーという手長エビ。めちゃ旨い。ビールはもちろんオリオン。
こうして予定していた5日間がつつがなく終了した。
帰りはバスに揺られて那覇空港まで
さて、翌日、29日は神戸で予定があったので朝早く宿を出た。帰りはバスを乗り継いで那覇空港まで行くことにした。7時12分に辺土名高校前から路線バスに乗り、名護で高速バスに乗り換える。途中のバス停は59ヶ所で2時間弱。
知らない町で路線バスに乗るのは結構難しいが、土地の人に訊けばどうってことはない。むしろ、地元の人に混じって乗り合わせることで、またオモシロイ発見があったりする。そういえば、今は亡き田中小実昌氏のこの本はオススメ。路線バスだけで東京から鹿児島まで足掛け5年かけて行ったというからスゴイ。
コワーケーションと銘打って開催した今回のイベントは、いま日本中で行われている企業主導型の日本型ワーケーションとはまったく趣旨が異なる。ローカル(地元)の人とリモート(他所から来る)の人がつながり、仲間となり、シェアし、新しい価値を地元に生むきっかけを作ることにある。目的は首都圏から持ってきた仕事の生産性でも観光でもない。ヒトの接続だ。
その接続にコワーキングは非常に重要な役割を担う。日本型ワーケーションでは、ローカルのコワーキングは「仕事も一応できます」的な添え物になってしまっている。その発想しかないのが実に情けない。むしろ、コワーキングを軸に置いてローカルとリモートの融合を図り、「人」という資産を生むべきだ。
ワーケーションに「おもてなし」なんか要らない。ぼくらは客ではない。自分の人生に存在したらウレシイ仲間が欲しくてやってくるのだ。今の時代、人間関係はかつてのように会社や学校で培うのではなく、社会に出たオトナとして、自分で開拓しなければならない。そのために、居場所を変え、会う人を求め、つながりを自ら作らなければならない。これはもう、明白な事実。それをコワーキングがサポートする。
そこを完全に思い違いして企業人の観光をメインにしたプランを企画している自治体が後を絶たない。だいたい、企業という組織形態がワーカーにとってどんどん意味を失ってきていることに気づいていないこと自体がアブナイ。それもきっと、旅行代理店に丸投げしているからだろう。そこが間違いの元。地元のことを地元の行政が自分たちで考えないで、一体、何を期待するのだろう。
と、その話をしだすとまた長くなるので(すでに11,600字を超えた…長い)、このへんで終わろう。
那覇、名護、大宜味村、国頭村、その他、沖縄の各地でお会いした皆さん、誠に有難うございました。また、行きますので、その節はよろしくです。
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このブログは、ブログジェリーVol.102に16日遅れで書きました。遅い!そんな長すぎて遅すぎるブログを、最後までお読みいただき有難うございました!
冒頭にも書きましたが、このブログは「置きブログ」として下記のマガジンに収録されています。で、皆さんも、大宜味村に行ったら、ぜひ「置きブログ」してください。
それでは!
最後までお読みいただき有難うございます! この記事がお役に立ちましたらウレシイです。 いただいたサポートは今後の活動に活用させていただきます。