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脳神経外科学 意識障害

意識

覚醒(脳幹)と認識(大脳)からなる
このいずれか、または両方が障害されると意識障害となる

意識障害評価

①Japan Coma Scale

Ⅰ・・・刺激しないでも覚醒
Ⅱ・・・刺激すると覚醒
Ⅲ・・・刺激しても覚醒しない

②Glasgow Coma Scale

開眼機能 1~4点
言語機能 1~5点
運動機能 1~6点
で評価 こちらは点が高い方が良好

頭蓋内圧

頭蓋内腔は閉鎖腔であり、内部では脳実質、脊髄液、血液がバランスをとっている
バランスが崩れることで内圧が上昇し頭痛、嘔吐などを引き起こす

測定法:腰椎穿刺
正常値11~13mmHg
15mmHg以上で頭蓋内圧亢進

亢進の原因

①頭蓋内占拠性病変:脳腫瘍など
②脳実質増大:脳挫傷、脳梗塞など
③脳脊髄液増大:水頭症、脳腫瘍など
④頭蓋内血液量増大:血液うっ滞など
⑤その他:陥没骨折、狭頭症

代償機構

①頭蓋内静脈血容積現象
②脳脊髄液量減少
③脳実質萎縮

頭蓋内圧亢進症状

急性症状:激しい頭痛、悪心・嘔吐、意識障害
     クッシング現象(徐脈、血圧上昇)、網膜出血、散瞳

慢性症状:頭痛、悪心・嘔吐、視力障害、複視
     うっ血乳頭、外転神経麻痺、記憶障害、精神症状

脳ヘルニア

重篤な頭蓋内圧亢進症状で、脳が押し出されて偏位する
発生部位により分類される

治療

①SpO2を95%以上に保つ
②頭部を挙上
③高浸透圧利尿剤
④PaCO2を30~35mmHgに保つ

上記で改善しなければ
バルビツレート療法、低体温療法など

なお脳死状態まで達すると治療不可
脳幹反射が残存していれば救命可能

禁忌:著明な頭蓋内圧亢進時の腰椎穿刺

脳死

脳幹及び大脳の機能がすべて不可逆的に障害された状態

脳幹の機能は保たれているものを植物状態と呼ぶ

法的脳死判定

順番に確認していく

前提条件
①器質障害により深昏睡および無呼吸
②原疾患が確定している
③回復の可能性が全くない

除外条件
①生後12週未満
②薬物中毒などの類似状態
③知的障害
④18才未満の虐待疑い

生命徴候(みられない場合脳死可能性高い)
①直腸温32度以上
②収縮期血圧90mmHg以上
③重篤な不整脈なし

判定基準
深昏睡:JCSⅢ度、GCS3点・・・顔面への疼痛刺激で顔をしかめない
瞳孔散大:左右ともに4mm以上で固定
脳幹反射消失:対光反射、角膜反射、毛様体脊髄反射、頭位変換眼球反射、前庭反射、咽頭反射、咳反射
平坦脳波:4導出で30分以上
自発呼吸停止:最後に確認する

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