見出し画像

放射線医学 中枢神経系画像診断

画像の種類

①CT

利点
撮影早い
急性期出血描出に向いている
脳卒中などで第一選択となる

欠点
被曝
組織コントラスト悪い
脳底部や下顎部のアーチファクトが多い

②MRI

利点
被曝なし
組織コントラスト良好
非造影で血管描出可能
拡散強調画像が急性期脳梗塞に有用

欠点
装置が狭い
音が大きい
対応してないペースメーカー禁忌
金属禁忌

T1強調:脳の解剖構造観察
T2強調:コントラスト
FLAIR画像:動きのある水の信号を抑制したT2強調 脳室周辺の病変をみる
拡散強調:水分子の拡散運動を画像化したもの 浮腫などが高信号
MRA:血流を可視化

脳卒中

脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血、静脈性梗塞に分類

CTが第一選択

脳梗塞

脳動脈の閉塞などによる神経組織が虚血・壊死

急性期塞栓性脳梗塞

CT:脳実質に異常でない
MRI:拡散強調で動脈支配域に一致した高信号(非可逆的梗塞巣に相当)
MRA:血管閉塞
FLAIR:流れの遅い血管が高信号(intra-arterial high signal)

脳出血

高血圧性脳出血

脳内出血の80%
高血圧→繊維性肥厚、硝子化→血漿成分沈着→微小動脈瘤形成→破綻で出血

好発部位
被殻:40~50%→外側線条体動脈
ついで視床→視床穿通枝動脈
皮質下、小脳、橋と続く

皮質下出血は高血圧以外によるものが多い
例)アミロイドアンギオパチー
脳血管壁のアミロイド蛋白の沈着
特に高齢者で多い
T2強調でみられる

くも膜下出血

動脈瘤性が80%

脳動脈瘤

好発部位
前交通動脈→視野障害
中大脳動脈分岐部
内頚動脈ー後交通動脈分岐部→複視、瞳孔散大、眼瞼下垂、眼球外方偏位

硬膜外血腫

骨折→中硬膜動脈損傷→血腫形成

症状
受傷後数時間で激しい頭痛→片麻痺など→嘔吐、意識障害

所見
境界明瞭な凸レンズ状血腫

急性硬膜下血腫

強い外傷により架橋静脈破綻
短時間で急速に悪化

慢性硬膜下血腫

軽微な外傷から微量の出血→被膜形成→出血 をくりかえすことで徐々に拡大

症状
悪心、嘔吐、頭痛など

脳梗塞と鑑別必要な疾患

①ウェルニッケ脳症

ビタミンB1欠乏で糖代謝が障害されエネルギー不足→神経障害

症状
精神症状:無気力、錯乱、傾眠、昏睡
眼症状:眼振、外眼筋麻痺
失調症状:体幹失調

画像所見
MRI:第三脳室、中脳水道、第四脳室周囲、視床内側などに左右対称性の高信号
特にFLAIRが有効

②CO中毒

鉄含有量の多い淡蒼球や黒質毛様部に直接結合し、出血壊死を引きおこす

症状
血中CO-Hb濃度に応じて
頭痛→意識障害、痙攣→心肺機能抑制

画像所見
MRI:淡蒼球に異常信号

急性期→拡散強調で異常信号
数日後→T2強調で高信号
慢性期→T1強調で低信号

③多発性硬化症

30代女性好発
時間的・空間的多発性を有する
脳室周囲白質で髄質静脈の走行に一致する脱随斑生じる

画像所見
MRIが有効
Ovoid lesion:側脳室壁に円形病変
Callosal-septal interface lesion:脳室から垂直に伸びる線状病変
③Juxtacortical lesion:皮質下U-fiber領域病変
④T1 black hole:慢性期T1強調低信号


記事閲覧ありがとうございます 毎日医学系記事書いています! スキ・サポートいただければより励みになるのでよければお願いします! 質問・感想などコメントもご気軽にどうぞ