整形外科学 脊椎・脊髄損傷
脊椎損傷
機械的外力(衝突、転倒など)による圧迫、伸展、回旋による
日本ではスポーツ外傷と自殺企図によるものが増加傾向にある
また、高齢化に伴い原疾患のある損傷も増えている
好発部位:中・下位頚椎
胸腰椎移行部
合併損傷:肋骨
血胸・気胸
好発年齢:21~25歳と56~60歳の二峰性ピーク
診断
神経学的所見:筋力テスト、反射確認
仙髄回避(肛門周囲感覚や括約筋の随意収縮)の有無
画像診断:単純X線・・・開口位が有効
CT・・・詳しい状態の確認
MRI・・・非侵襲
造影撮影・・・水溶性造影剤用いる
治療
①整復:ボーラー整復法など
②固定:ギプスなど
上位頚椎損傷
①環軸椎脱臼:環軸椎歯突起管距離(ADI)が3mm以上
②軸椎歯突起骨折:type1・・・斜骨折
2・・・偽関節形成しやすく、手術適応
3・・・椎体まで骨折
③軸椎関節突起間骨折(Hangman骨折)
骨折の種類
①圧迫骨折
屈曲外力による楔状変形
胸椎、胸腰椎部好発
高齢者好発
治療:保存的治療
②破裂骨折
椎体の粉砕がみられる
治療:手術
③シートベルト骨折
骨だけでなく軟部組織も損傷
④脱臼骨折
屈曲捻転外力による
前方脱臼が多い
中・下部頚椎好発
治療:脱臼整復
手術
参考)Denis three column theory
脊椎を3要素に分け、どこまで損傷しているかで分ける
不安定性の有無鑑別に用いる
①→④の順に不安定性高い
脊髄損傷
浮腫、出血、循環障害、壊死などを引き起こす損傷
頚髄C4、胸腰椎Th12で好発
小児では稀
症状
運動障害
知覚障害
自律神経障害
膀胱直腸障害
性機能障害
脊髄ショック
重度脊髄損傷により損傷位以下全ての脊髄反射が消失した状態
弛緩性麻痺を呈する
球海綿体反射、肛門反射を判断基準とする
一般に72時間以内に離脱する
重症度分類
①Frankel分類
A:完全麻痺
B:運動は完全麻痺 半数はC,Dまで回復可能
C:運動機能は残っているがほぼ無意味
D:有用な運動機能が温存 歩行可能
E:正常
②ASIA機能障害尺度
A:完全麻痺
B:運動は完全麻痺
C:運動機能残存 大多数がMMT3以下
D:大多数がMMT3以上
E:正常
病型分類
①横断型脊髄損傷:障害髄節以下完全麻痺、感覚消失、膀胱直腸障害
②中心性脊髄損傷:過伸展による頚髄損傷が多い 上肢のが重症
③脊髄半側損傷(ブラウンセカール):障害側の運動麻痺、深部感覚障害と反対側の温痛覚麻痺
④前部脊髄損傷:深部感覚と識別感覚は保たれる
⑤後部脊髄損傷:深部感覚と識別感覚のみ障害
治療
基本的に対症療法で、根治は困難
再生医療が研究中
他に工学分野との連携による電気刺激法やロボットスーツなども研究が進んでいる
頚椎捻挫(むち打ち)
頚椎の過伸展と過屈曲の繰り返しで生じる
Barre-Lieou症候群:頚椎捻挫に続発する頭痛、めまい、眼精疲労など
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