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整形外科学 小児整形外科疾患

先天性骨・関節疾患

先天性骨系統疾患:発生、成長過程での異常により骨格の形態や構造に異常をきたす

先天性異常症候群:骨組織は正常だが個々の骨で形態異常

軟骨無形成症

FGFR3遺伝子異常による体性優性遺伝疾患
軟骨内骨化障害が特徴

所見:短くて太い成長
   脊柱管狭窄
   内反膝
   易骨折性はない

治療:成長ホルモン投与

骨形成不全症

COL1A1,A2遺伝子異常による常染色体優性遺伝疾患
骨形成する1型コラーゲン生合成異常
骨膜性骨化障害が特徴

所見:細く折れやすい骨
   難聴
   など

治療:ビスフォスフォネート

先天性脊椎・骨端異形成症

COL2A1遺伝子異常による常染色体優性遺伝疾患

所見:体幹短縮型小人症
   内反股
   樽状胸郭
   など

ムコ多糖症、ムコ脂質症

ムコ多糖分解酵素欠損、または分解酵素リン酸化障害

所見:体幹短縮型小人症
   外反膝
   鳩胸
   など

大理石骨病

破骨細胞機能不全により骨リモデリング障害

所見:易骨折性、貧血、脾腫、易感染性

先天異常

多指症
合指症
先天性近位大腿骨欠損症
など

マルファン症候群

FBN1遺伝子異常による常染色体優性遺伝疾患
フィブリンの異常

所見:骨格変化・・・高身長、長い四肢、鳩胸、漏斗胸、クモ指、偏平足等
   眼症状
   心血管疾患

Ehlers-Danlos症候群

コラーゲン合成障害

所見:皮膚及び血管脆弱性
   皮膚の過伸展、過弛緩
   関節の過可動、脱臼

先天性多発関節拘縮症

対称性に多関節が拘縮

Sprengel病

胎生時の肩甲骨下降が不十分
斜頚や側弯などと合併しやすい

小児整形疾患

筋性斜頚

胸鎖乳突筋短縮により患側に傾斜
自然治癒しなければ手術

発育性関節形成不全

女児好発
開排制限、皮膚溝非対称がみられる

治療:装具療法
   牽引療法
   徒手整復は禁忌

治療しても遺残変形生じる場合がある

大腿骨頭すべり症

やや肥満の男子小中学生に好発
疼痛、跛行生じる

所見:Drehman徴候

大腿骨頭壊死や変形性股関節症を続発しやすい

骨端症

骨端核の軟骨内骨化が障害された状態
①Perthes病:大腿骨頭・・・幼稚園児~小学生好発
②Osgood-Schlatter病:脛骨結節
③Sever病:踵骨
④Freiberg病:第二中足骨・・・女性好発

いずれも荷重を避けることが重要

離断性骨軟骨症

関節軟骨の一部が剥離、関節内に遊離体を形成する
肘、膝、足に好発

遊離体が関節に挟まることでロッキングされる

乳児化膿性股関節炎

経過観察すると悪化するため4,5日以内に治療必要

所見:仮性麻痺・・・痛むので動かせなくなる
   病的脱臼

治療:速やかに排膿

股関節結核

症状:Night cries・・・防御性筋緊張がとれた夜間に泣く
   随意跛行・・・無意識に跛行になるが指摘すると直る

先天性内反足

所見:内反、尖足、内転、凹足

治療:Ponseti法

分娩麻痺

腕神経叢の牽引損傷

所見:waiter's tip position

治療:リハビリ

小児外傷

小児は弾力があり膜が厚いので不全骨折しやすい
また骨端線の損傷も特徴
リモデリング盛んなので自家矯正能が高い

不全骨折:若木骨折、隆起骨折、湾曲など

①上腕骨顆上骨折

肘を伸展して手をつく
屈曲して肘をつく
ことで生じる

所見:腕神経障害
   コンパートメント症候群→フォルクマン拘縮

②上腕骨外顆骨折

骨折部の骨片が手根伸筋と指伸筋で牽引されて離開する

所見:外反肘、尺骨神経麻痺

③被虐待児症候群

多発性、新旧の傷が混在、重篤で親の説明に矛盾がある場合疑う
四肢長管骨、肋骨、頭蓋骨が多い

児童相談所への届け出が必要


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