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法医学まとめ

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2020年5月の記事一覧

法医学 窒息

定義生体に不可欠な酸素の取り込みと二酸化炭素の排出が阻害され、肺呼吸に障害が生じた状態 分類①吸気中の酸素不足:頭に袋をかぶったり ②気道閉塞:異物誤飲など ③頚部圧迫:絞殺など ④呼吸運動障害:中枢神経麻痺など ⑤肺胞ガス交換障害:肺水腫、溺死など 経過と症状第一期:無症状期 第二期:呼吸困難及び痙攣期 第三期:無呼吸期 第四期:終末呼吸期 診断粘膜・漿膜下のいっ血 暗赤色流動性血液:酸素乏しく、プラスミンにより凝固阻害されている 臓器うっ血 頚部圧迫縊頚 頚部に

法医学 頭部外傷

頭部外傷の診断は 被害者の傷害の責任の所在を解明するための資料提供が主な役割となる 直接診療した臨床医に法医学的判断を求められる 損傷の種類閉鎖性損傷:頭皮下出血       帽状腱膜下出血       骨膜下出血 開放性出血:挫創       切創       刺創       割創 など 頭部外傷分類限局性頭部外傷:頭皮挫創         頭皮裂創         陥凹骨折 全般性頭部外傷:頭蓋底線状骨折         頭蓋円蓋部線状骨折         脳

法医学 交通外傷

外表所見と内部損傷が必ずしも一致せず、急速な体調悪化する場合に注意 歩行者の損傷①衝突損傷歩行中に車両に衝突されて発生 一次損傷 バンパー創:バンパーにより生じる 膝から下腿部に多い(小児だと位置が高くなる) Messerer骨折・・・衝突による大腿骨、脛骨骨折          力の作用は底辺から頂点方向→衝突方向が推定できる グリル、ボンネット前縁の衝突:大腿部や臀部への多彩な損傷 二次損傷 人体がボンネットに乗り上げて打撲する損傷 時速70km以上だと天井

法医学 損傷その2

鋭器損傷刃やこれに類する器物や尖器による損傷  刃物全般、アイスピック、錐など 創縁、創端、創壁、創洞の4つで性状を示す 創縁の長さ→刃の向き、幅など 創端→鋭角、鈍角で刃の向きがわかる 切創 鋭器の辺縁を体表面に押し当てて、あるいは長軸方向にひいてできた創 弁状創:皮膚に対しななめに作用し、皮膚の一部がつながった状態 面状創:完全に離断し皮下組織が露出した状態 創縁は整、創端は鋭角、創壁は整、創洞内に架橋形成を認めない 刺創 鋭器の尖鋭な部位が体内に刺

法医学 損傷

損傷とは外力作用により組織の正常連絡が絶たれた状態 創傷はほぼ同義 鈍器損傷作用面が平滑~粗、硬いものから柔らかいものまでさまざま 圧痕:限局した範囲の皮膚に強い圧迫が死後長時間与えられ形成される陥凹 ロープなどによる圧迫が代表的 表皮剥奪:鈍体が皮膚に作用して表皮剥離、欠損して真皮を露呈した状態 時間経過で痂疲化することがある ①擦過性表皮剥奪・・・いわゆる擦り傷 ②圧迫性表皮剥奪・・・鈍体に皮膚が強力に圧迫されることで皮膚が進展する 爪痕など 皮膚変色:皮

法医学 死体現象

晩期以前の死体現象は前記事参照 晩期死体現象自家融解 細胞内酵素による無菌的嫌気的分解 膵臓で最初にみられる 他に胃液による胃穿孔、子宮内死亡胎児などがみられる 腐敗 微生物(腐敗菌など)による分解 色素沈着、皮膚変色 腐敗網:ヘモグロビン血管外漏出、腐敗水疱など 参考)Casperの法則:腐敗の進行度の法則 地上→水中→土中 の順で腐敗進行遅くなる 土中は地上の1/8の速度 特殊死体現象ミイラ化 高温で風通しがよく乾燥しやすい場所では自家融解や腐敗が停

法医学 概論

法医学とは医学的解明を必要とする法律的案件・事項について、化学的で公平な医学的判断を下すことで個人の基本的人権の擁護、社会の安全、福祉の維持に寄与することを目的とする医学 用語個体の死 実臨床においては、 ①心拍停止 ②呼吸停止 ③瞳孔散大と対光反射消失 の3つが不可逆的と判断されると死を宣告される 死の徴候 ①仮死状態 生命活動の著しく弱った状態 心拍動、呼吸、脳中枢機能が低下 ②死の不確徴 個体死の直後にみられる現象 呼吸停止、循環停止、筋弛緩、