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経営者が目指す「良き会社」ってなんだろう。会社の目的(purpose of corporation)の2020年台の議論から

会社の戦略を考えるにあたり、「良き会社」「理想の会社」ってなんだろうと思い悩んでいる(このテーマで書きかけて没になったnoteがなんと11本ある)。持続的であること、儲かってること、コミュニティに貢献してること、社員の満足度が高いこと等々思いつくが、どれも単独では不十分に感じた。良い企業の必要条件とはなんだんなんだろうか。もっと根源的には「企業」はなんのために社会に存在するのか。その企業の存在意義を満たし、維持し続けるのが「良き会社」なんじゃないだろうか。

自分が継いだ会社は4代目で今年は創業110年になる。「新しい老舗」というコーポレートアイデンティティがあるが、そもそも老舗ってなんや、にも考えあぐねている今日この頃。「110年目の第2創業」に取り組むにあたり「良き会社」の定義がその方向性を教えてくれそうな感覚がある。

日本語で探しても良い定義はなく、英語で検索してみると、ハーバードのロースクールで「会社の目的」(purpose of corporation)を定義し直すっていう2020のプロジェクトがあった。そこで生まれた定義は下記だ(和訳はDeepL、引用元はリンク先)

The purpose of a corporation is to conduct a lawful, ethical, profitable and sustainable business in order to create value over the long-term, which requires consideration of the stakeholders that are critical to its success (shareholders, employees, customers, suppliers, creditors and communities), as determined by the corporation and the board of directors using its business judgment and with regular engagement with shareholders, who are essential partners in supporting the corporation’s pursuit of this mission.

会社の目的は、長期的な価値を創造するために、合法的、倫理的、収益性の高い、持続可能な事業を行うことです。そのためには、会社の成功に不可欠なステークホルダー(株主、従業員、顧客、サプライヤー、債権者、コミュニティ)に配慮し、会社と取締役会が経営判断を行い、会社の使命の追求を支える重要なパートナーである株主と定期的にエンゲージメントすることが必要です。
引用: https://corpgov.law.harvard.edu/2020/08/05/on-the-purpose-and-objective-of-the-corporation/

短期的な利益と株主配当だけが企業の目的だった時代から、長期的な価値創造やステークホルダー全体への貢献も企業の目的となったのだ。上記に更に加えるなら二酸化炭素や情報が国境を超えて影響を拡散する時代なので、環境や地球全体さえもステークホルダーとして対象になるかもしれない。

この定義は自分としては、納得のいくものだった。これを自社の「新しい老舗」に寄り添うように少し変えれば定義ができそうだ。これから20年は会社の舵取りをしていくわけだが、その上で20年後に経営の代表者として何を次の代に残すか?は上記の目標的には残すべき会社は以下のようになる。

①合法的、倫理的、収益性の高い持続的な事業を遂行している会社

②会社とステークホルダー(株主、従業員、顧客、サプライヤー、コミュニティ)と良好な関係が気付けている会社

こう書くと視界も開けてきて、アクションプランまで具体化できそうに思える。例えば持続的で収益性の高い事業を行うには、事業のライフサイクル管理を行い、事業の適切な撤退やピボットと、新規事業が定期的に行われる仕組みが必要。また、それを人事戦略に落とし込むと目標とする離職率や採用戦略も見えてくる。ステークホルダーごとにどういう関係を理想とするかの指標も作れそうだ。

もう一つ、戦略を戦術に落とす際に重要なのは業界(Industry)によって①②の内容が変わるということだ。業界ごとに変わる変数をどう評価するべきか?参考になるのはESG投資の産業別指標かもしれない。

リンク先はMSCI(モルガン・スタンレー)が発表しているESG投資 (※財務情報だけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した投資) の産業別評価指標になる。それぞれの産業によってどのような指標が重要かで、産業によって全然違う。ここの分野はもっと勉強できそうなんだが、参考に作ろう。

「良き会社」とは何かを考えるのはとても良かった。これからも迷い続けるのだろうが、一歩は進めた気がする。

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