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世の中を確率論的に捉えるとQOLが多分向上するという話

このnoteは、自分の考え事の整理のために文章化してるだけの思考の排泄物です。でも、もし誰かの何かの役に立ったらとても嬉しいです。

記事と同じ内容を自分の会社で作ってるNodebaseというサービスでテキストに紐付いた図解付きで読めます(宣伝です)。

以下、このTweetの深堀り記事です。

世の中を決定論的に捉えると不幸になりがちという話

僕らは、世の中を、「原因があって結果がある」「同じ原因に対しては常に同じ結果が得られる」という具合に決定論的に捉えがちです。

物は上から下に落ちる、同じ所から同じ条件で物を落とせば同じ速度で落ちる。右足を出して左足を出すと歩ける。

その延長線上で、勉強を頑張れば試験に受かる、仕事を頑張ればお金持ちになれる、…と、人生や社会の事も単純な因果関係として捉えようとする傾向があります。

そして僕らは、「結果」から「原因」を単純に推論するクセを持っています。試験に受からなかったのは勉強しなかったからだ、貧しいのは仕事を頑張らなかったからだ、と。

それが行き過ぎると、「自分の成功は自分の努力の賜物で、他者の失敗は努力不足の結果だ」と生存者バイアスに囚われた自己責任論に傾倒してしまったり、「自分には才能がないから努力しても意味がない」と自己肯定感・自己効力感を喪失し無気力に陥ってしまったりすることが少なくありません。

その思考がもっと極端な方向に進んでしまうと、「自分が不幸なのは誰かがズルをして自分を陥れてるに違いない」といった被害妄想に囚われてしまうこともあります。

そんな思考のバッドループに陥らない処方箋として、「世の中を確率論的に捉える」という考え方が有用なのではないか、と考えています。

確率論的に捉えるとはどういう事なのか

堅苦しくてややこしそうな話はやめて、「おみくじ」で大吉を引く必勝法について考えみようと思います。唐突にスピリチュアルな感じになったけど、変な開運グッズを売りつける展開にはならなのでご安心下さい。

確率分布を見極める

まず、次のような問題を考えてみます。

おみくじ箱の中に100本のクジが入ってるとします。
Aの箱には大吉が10本、
Bの箱には大吉が20本入っています。
どちらの箱からクジを引きますか?

当然、Bの箱から引きますよね?何故か?当たる「確率」が高いからですよね。つまり、より当たりやすそうな箱からクジを引いた方が良い、と。

では、次のような場合だとどうでしょう?

おみくじ箱の中に100本のクジが入ってるとします。
Cの箱には大吉が10本、大凶が1本、
Dの箱には大吉が20本、大凶が20本入っています。
どちらの箱からクジを引きますか?

これは悩みますよね。大吉を引くことだけ考えるならDの箱を選ぶことになりますが、大凶を引きたくないと思うとCの箱を選びたくなります。つまり、そのおみくじ箱の中にどんなクジがどのくらいの割合で含まれてるのかという情報がとても重要になります。

「おみくじ箱の中にどんなクジがどのくらいの割合で含まれてるのか」を小難しく言い換えると、「確率分布」といいます。

「世の中を確率論的に捉える」の第一歩は、「どのおみくじ箱からクジを引くのか?」を意識して選択するということになります。「よりアタリが多くハズレの少ないおみくじ(=自分に有利な確率分布)」を選んでクジを引く。

そのためには、おみくじ箱の中の確率分布を見極める必要があります。箱の中身をすべて取り出して数えれば分かるかもしれませんが、現実世界でそれは難しい。ではどうするのか。

確率分布を見極めるためには、知識と経験とそれらを使いこなす教養が求められます。世界の歴史や自身の経験を注意深く観察し、「どのような環境で・どのように行動をすると・どのくらいの割合で・何が起きるのか」という理解を深めていくしかありません。それらは必ずしも客観的な定量データとして得られるわけではないため、知識と経験から妥当な推論をするスキルが必須となります。

当たるまで試行できる環境を作る

どんなに確率分布を見極めたとしても、多くの場合、大吉を100%にすることは出来ません。結果、運が悪いとどうしてもハズレを引いてしまうことはあります。

さて、ここで「おみくじ必勝法」の話です。答えは簡単で、「大吉が出るまで引き続ける」です。破産寸前のギャンブラーみたいなこと言ってますが正気です。

例えば、大吉が80%のおみくじを1回引くとハズレる確率は20%。2回引くと2回ともハズレる確率は4%、3回なら0.8%。99.2%の確率で(少なくとも1回は)当たるならいけそうな気がしてきますね。

ここで大吉が50%のおみくじでも考えみましょう。すべてハズレる確率は、1回なら50%、2回なら25%、3回なら12.5%。大吉80%のおみくじと比べると随分見劣りしますね。これは「確率分布を見極める」ことがいかに重要かを示しています。

もしも無限にクジを引き続けられるなら、大吉が1本でも入っていればいつかは当たります。その場合、確率分布を見極めることはさして重要ではなくなります。

では、ここに「おみくじを引くには1回100円支払う必要がある」という条件を追加してみたらどうでしょう。

もしあなたの預金口座に200円しか入ってなければ、全財産を賭けても2回しかチャレンジすることが出来ません。この場合、どんなに確率分布を慎重に見極めたとしても当たりを引く前に撤退せざるを得ない可能性は無視出来ません。

もしあなたの預金口座に1億円入っていれば100万回チャンスが得られます。これならよほどの悪条件ではない限り、当たりを引けそうですよね。そして確率分布の条件が良ければ良いほどより少ない回数で当たりを引ける可能性が高くなります。

現実世界において、おみくじを引く権利(機会)を獲得するために必要なものは「お金」だけとは限りません。学歴、経歴、資格、人脈、時間等、おみくじ箱によって異なります。

何をどうしたら「当たるまで引き続けられる」のかを見極め、その環境を可能な限り整えることが重要になります。

当たりが出るまで引き続ける

ここまでを整理すると、おみくじで確実に大吉を引くためには、大吉が出るまで引き続ければいい。そのために「当たるまで引き続けられる」環境を作る必要がある。そして、より少ない回数(少ないコスト)で大吉を引くためには確率分布の見極めが重要、という話でした。

この話で最も重要なのは、確率分布の見極めでも試行出来る環境作りでもなく、「クジを引き続けること」です。ハズレを引いても諦めずにクジを引き続けるというのは、言うは易く行うは難し。

失敗したり困難な状況でも諦めずに粘り強く挑戦し続けるパッションやレジリエンスという、一朝一夕に身につけられない能力が求められます。

まとめ

世の中を確率論的に捉えるって要はどういうことなのか

世の中を、原因と結果が1:1で対応しているという決定論的に捉えるのではなく、ある確率分布を持ったおみくじを引くように捉えるということ。

同じ箱からおみくじを引いたとしても、大吉が出る人もいれば大凶が出る人もいる。「おみくじを引く」という原因は、同じクジの結果が得られる事を保証しない。でも、出る結果はランダムなわけでなく確率分布に従った「傾向」はある。大吉が多く含まれてるおみくじ箱からは大吉が出やすい。

そう捉えると何がおいしいのか

「努力」の方向性を見定めやすくなる。

  1. 確率分布見極め力を高める努力:

    • どの箱にどのくらい当たりが含まれてるか見極める素養を身につける

    • 例)歴史/データから学ぶ、経験から学ぶ

  2. 引きたいクジを引きたいだけ引ける環境を作る努力

    • そのクジを引く回数を増やすために必要な準備をする

    • 例)お金を貯める、勉強をする、人と関わる

  3. 諦めずにクジを引き続ける努力

    • 当たりが出るまで何度でもクジを引き続ける

結局、最後は運ゲー

どんなに周到に準備をしたとしても、確実な結果が保証されることはない。最後は運を天に任せてクジを引くしかない。だから、クジの結果に一喜一憂しても意味がなくて、次のクジを引くための1~3の努力をする以外に考えることもやることもない。

そういう割り切りが出来ることで、QOLが爆増するんじゃないかと思います。多分。


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