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完成度60%くらいを早くアウトプットして欲しいという話

誰かに仕事をお願いする時によく「完成度60%でいいから早めに一回見せて」という話をするのですが、イマイチうまく伝わらないことがあり、
そういうお願いの仕方をする時、「なぜそうして欲しいのか」と「どういう風に考えるか」を説明するために作った資料を、誰かの何かの役に立つかもと思い、共有します。

なぜ完成度60%で早く見たいのか

こういうお願いの仕方をするのは、マニュアル通りに実行をするタイプの定型作業ではなく、
「目的とゴールと期限」をインプットに、自分自身でやり方を考えてアウトプットをする必要があるような非定型業務が対象になります。

余談ですが、ビジネスパーソンとして成長すると、与えられる「目的とゴール」の抽象度が上がり「期限」が長くなっていくというのはどの業界でも共通した特徴だと思います。

例えば、「記事を明後日から配信するために、明日までに入稿作業を終えておいて」から、「サイトのMAUを来年、昨年対比で+20%にするためのコンテンツ戦略を3ヶ月後の来年度予算編成までに策定しておいて」のように変質していきます。

そういう意味で、完成度60%を早くアウトプットするのは汎用性の高いスキルだと考えています。

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非定型業務では、アウトプットを事前に厳密に定義する事が難しい(厳密な定義をする事と実行する事がほぼ等価になる)ので、最終成果物が依頼した側の期待値と大きくズレるということがよく起きます。

この期待値のズレの原因は業務開始時の入射角のズレに起因する事が多く、
この差は、時間が経過するほど大きくなっていく傾向があります。

逆に、早い段階で軌道修正をすることが出来れば、少ない手間でリカバリーすることが出来ます。

完成度60%のアウトプットの考え方

完成度60%を早くといったときの「早く」は、時間的期限までの60%地点という意味ではなく、もっと手前の地点(感覚値的には10-20%地点くらい)を意味しています。

納期が1ヶ月後なら着手3日目から初週の最終日くらいのイメージです。

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そのためには、業務の進め方を「線形型」から「逓減型」にすることを意識する必要があります。

完成度60%を早くするための方法論 _ 概念

「完成度60%を早く」アウトプットするためには、「全体観」を捉えることが重要です。

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(絵が下手でかえって分かりにくい気がしますが…)
例えるとこんなイメージで、完成形に近いものを順番に作っていくのではなく、
全体像が捉えられる最小限のものを短時間で作っていくという考え方をします。

完成度60%を早くするための方法論 _ 具体例

例えば、提案書だと、
・目次の章立て
・各章のキーメッセージ
・各章の中身の箇条書きや手書きレイアウト

例えば、ソフトウェア開発の設計だと、
・メインシナリオだけの画面遷移図
・名前と関係性だけのER図やクラス図

例えば、マーケティング施策だと、
・企画の5W1Hの箇条書き
・KPIとその目標値のケタ感
・コストのケタ感

等々。

組織の文化や業務の文脈によって細かくは違えど、「全体観」が分かる最小限のアウトプットにこだわって削ぎ落とす事が肝要です。

「全体観」の養い方

「全体観」を捉える力は、「全体」を何度も経験して肌感覚が得られるようになるまで中々身につけるのが難しいと思います。

その中でも、経験値増幅させてレベルアップを早めるような視点として、次の2つが特に重要だと考えています。

(1) 最終成果物にそのまま使えた箇所は「やり過ぎ」
(2) 質問を受けた箇所は「不足」している

と捉え、次回は、(1)はもっと手を抜いて、(2)は少し補強するという風にPDCAを回していく。

ただし、「質問」は玉石混交なので、「複数の人から同様の指摘を受けた」とか「同じ人から毎回聞かれる」など傾向から少しずつ軌道修正していく方が効率が良い。

仕事をお願いする側の心得

「完成度60%でアウトプット」は、仕事をお願いする側とのコンセンサスが無いと浸透が難しく、これを文化として根付かせるためにはフィードバックの仕方がとても重要になります。

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最も大切なのは、フィードバックの目的を、「軌道修正」と、次ステップに向けての「方向付け」に留めることだと考えています。

そのために、フィードバックの中身は、「全体観」に関わる「骨格(構造と論理)」に止め、
詳細や作業的な質問や指示をしないということを徹底する必要があります。

やりがちなアンチパターンとして、このタイミングで「ゴールまでの詳細タスク」や「書いてない細部への質問」をたくさんしてしまうことで、
これをやると、相手はネガティブフィードバックと捉えられてしまい、完成形をギリギリで報告するスタイルに流れていきます。

レビュー求められると「何か言わなきゃ」とついつい色々気になった事を言ってしまうものなので、「言わないこと」をしっかり決めておくことが重要です。

まとめ

・非定型作業は「ザックリ(完成度60%)」を早くアウトプットして欲しい
・完成度60%は「全体観」が分かる最小限の内容
・60%の完成度を10~20%の時間でアウトプットする
・そのためには「逓減型」の仕事の進め方をする必要がある
・「ザックリを早く」を定着させるためにはフィードバックの仕方が肝要

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