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【参考にならない】インド都市別レビュー

タージマハールとガンジス川に行っておけば良いかなとスタンプラリー感覚でインドを訪れてさっさと次の国に行こうと思っていたのだが、蓋を開けてみれば7都市も滞在していた。各地を訪れるたびにインドの魅力に惹かれていき、牛のフンに鼻をつまんで過ごした1カ月間で分かったことは、インド人は本当に毎日カレーを食べるという事。彼らからするとカレーとそうでない料理との違いがあるようで「これは黄色じゃないからカレーではない」とか「この料理に使われているスパイスの種類がカレーではない」とか訳の分からないナマステ発言をしていたが、どんな食材も茶色く仕上げている時点でそれはもう紛れもなくカレーであった。ある日、自分の脇を嗅いだらフワッとスパイスの香りがして、身体の中身からインドに侵食されているように感じて恐怖を覚えた。

これからインド旅を駆け足で振り返っていくが、良くも悪くも僕の心が揺らいだ時に発される単語が「ナマステ」になってしまう。これは僕の語彙力が乏しいからであるのと、仮にインドに対して不満があったとして、一度出たその愚痴がダムの如く放流されて二度と元には戻せない状態になりかねないので、そこはオブラートに包む意味で「ナマステ」にしておく。心の中のインド不満ダムの決壊だけは避けたいのだ。前置きはそこそこにして、さっそく都市別にレビューしていく。

デリー

ほんっっっっとうにナマステ。インドを嫌いになるには最適な場所。この国の悪いところを集めた逆オールスターみたいな街。まるで、旨味を全て取り除いて苦味と青臭さのみを残したピーマン。効能ゼロのぬるくて濁った温泉。デリーの3泊は季節の変わり目の耳鼻科の待合室ぐらい、時が流れるのが遅く感じた。

汚い街で汚いおっさんが淹れるチャイを飲むのが現地の嗜み

オートリキシャの誘いがしつこい、用もないのにしつこく声をかけてきてうざい、街中がクラクションでうるさい、おっさんたちがたんめっちゃ吐いてる、どこ行っても人が多い、空気が汚い。街が臭い。総じてナマステ。

ハリドワール

青くて透き通ったガンジス川があることに驚いた。僕がイメージしていたのはネットの画像で見たバラナシの茶色くて汚染しきったガンジス川だったのだが、そこから約1,000キロ上流のヒマラヤ山脈の麓に位置するここのガンジス川は東京湾のボラなら住めないくらい綺麗な色をしていた。この青くて神聖な川を求めて多くの人がこの場所で沐浴をしているらしい。

物乞いが多くて断るたびに心を削られた

僕も川の水に足をつけたが上流でゴリゴリに洗剤を使って洗濯をしている人を見たので、いくら神聖だとはいえ口に含むことは出来なかった。現地の人が「この水はものすごく綺麗だからボトルに入れて持って帰ると良い」と言っていたが、 

インドの綺麗は日本のギリ汚い 

なので、作り笑いと言葉にはならない「ンフフッ」みたいな鼻から漏れ出たような声で誤魔化した。

ジャイプール

インドのピンクシティーと呼ばれているジャイプール。街の中心部の建物がピンク色に塗装されていてかわいいが、インドらしい混沌さも相まっておしゃれさに酔う暇はない。個人的に気に入ったのは、街の景色を一望出来るナハガー・フォート。

街を歩いて蹴飛ばしたのが牛ではなくて犬の糞だった事に安堵するくらいにはおかしくなってきた

この場所までのアクセスが悪いうえ丘をめちゃくちゃ登るが、修学旅行キモテンション学生たちと戯れたりヤギと並んで歩いて下山したりと面白かった。ナイトマーケットで手相占いをしてもらえる場所があったので見てもらうと「お前は頑固だから人の話を聞け」と言われました。うるせえばか!!

ジャイサルメール

砂漠都市。ラクダに乗って夕日を見る。夜は砂漠のど真ん中で寝て起きたら日の出を拝む。素敵な日本人との出会いもあり。旅は楽しいほど特筆すべきネタがない。

これはいいナマステ

ジョードプル

ワンピースのアラバスタの舞台と言われているらしく、それっぽい時計台や城壁があった。人を乗せるくらいの大きなカルガモはおらず、人の頭頂部を目掛けてフンをする鳩がめっちゃいた。

ここで見つけたマクドナルドの看板はかつてない程に輝いて見えた

年越しをこの地で過ごした。花火という名の大量の爆竹で激しくお祝いをするのがここのやり方のようだったが、空から降りかかる灰の量にドン引きした。使い終わった花火を水に浸けないのでゴミの山から急に不発弾が発射されることもあり、普通に危険だった。インド人の危機管理能力の低さにナマステと感じざるを得なかったが、こんな事を言う僕も含めてめちゃはしゃいだ。あけおめです。

アグラ

大きいなあと思いました

目当てのタージマハールは霧に包まれていまいちだった。仲良くなった地元のインド人の家に招待され、食事からルームツアーさらにはお土産まで貰っちゃって、マハラジャくらい手厚い歓迎をされて至れり尽くせりだった。

総人口では劣るが顔面の表面積では日本が勝利した。

女性に対して握手やハグをするのはインド的にあまり良くないらしく、男性は女性の足をタッチするのが感謝の仕方だと教わってからは、女性の足を追いかけるモンスターと化していた。ここでのエピソードは、また改めて書きたい。

バラナシ

ガンジス川は僕が思った以上に観光地化されており、日本語を使って距離を縮めようとしてくるボートやガイドの勧誘がナマステと感じざるを得なかった。流石に火葬場までは来ないかなと思っていたら大麻の誘いが来たので、「無断で吉野家に連れて行ってやろうか!!!」と心の中で叫んだ。目の前で火葬を見ても人生観とか死生観は変わらなかった。

まとめ

いくつか都市を訪れたが全てが北インドだったため、次は南インドにも行ってみると良いと出会った人に提案された。嫌です。僕は二度とインドの観光地には行きたくない。声をかけてくる男性の9割がとにかくナマステなので。しかし、日本人というだけで僕を家に招待してくれたり、うざい勧誘と揉めた僕を助けてくれたり、電車内で2時間耐久絵しりとりをしたりと、僕のインド旅を彩らせてくれた地元の人たちはとってもいい人たちばかりだったのは紛れもない事実。人と同じように、国にも良いところも悪いところもある。人に伝えたくなるような話のネタがいっぱいあるのは面白いところではあるがそれ以上にナマステが濃いので、僕が向こうに行かずに彼らが日本に遊びに来て欲しい。そして人には勧められない国ナンバー1(暫定)である。


プロフィール 北村幹(きたむらかん)
1994年生まれ
大学卒業後、都内で保育士として大活躍。
国際協力に興味があり学生時代はアジア、アフリカにて幼児教育のボランティア活動を行い、何年も経った今でもその熱はまだある。
好きな言葉は「源泉掛け流し」と「おかわり無料」。
インスタ:https://instagram.com/kantabiworld


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