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サマーボール2024

今年の夏もニューヨークで開催されたサマーリーグに参加しました

自身2回目の参加ということもあり、今夏はチームキャプテンを務めました

今回は、異国の地で言葉も文化も違う中、自分が得た貴重な経験を話そうと思います

はじめに

私が所属したチームはNewYork College Baseball (NYCBL) に属するGenesee Rapidsというチームになります

2022年の夏に参加して以来、2度目の参加となりました

去年の冬頃、参加できるサマーリーグを探していたところ、当時の監督とGMから連絡があり、もう一度戻ってこないかという話を頂きました

しかしながら、毎年最下位争いをしているチームであることや、経済面での負担もあり返事を保留にしていました

それにも関わらず、首脳陣や管理職の方々、その地域の住民からの熱烈なオファーを再度頂き、さらにサマーリーグ参加費を10万円近く補助してくれるとの素晴らしい条件を提示していただき、徐々にこのチームを優勝させたいという気持ちが湧いてくるようになりました

彼らの温かいサポートのおかげで、自身2度目であるこのチームでプレーすることを決めました

チーム初日

6月3日、チーム初日は顔合わせの後、夕食会が開かれました

2年ぶりに会う監督コーチやチーム経営陣の方々の顔に、大変懐かしさと安心感を覚えました

また、夕食会では選手やチームスタッフだけでなく、スポンサーや地域の住民の方々、約80人近くが集まり、交流を深めました

私がそこで最も驚いたことは、沢山の方が私のことを覚えてくれていたことです。チームスタッフ以外に地域の方々、さらに自分が直接会ったことのない、試合を見にきてくれたファンの皆さんたちにも覚えてもらっていたことが大変嬉しく、本当にこのチームで優勝したいと思えるようになりました

夕食会の途中、選手は1人ひとこと自己紹介をする機会があったのですが、私はそこで、

"このチームで優勝するために帰ってきた"

と宣言をしました

チーム状況や、チームがまだ初日であることから、この宣言には相当の覚悟が必要でしたが、それよりもこのチームを優勝させたい、自分が勝たせなければいけない、その責任を私は強く感じていました

夕食後、チームスタッフに呼ばれた私は、再度、彼らに、今年チャンピオンになりたいという強い気持ちを伝えました

彼らの答えは、私をチームキャプテンに置くことであり、私は優勝に向かってチームを引っ張っていくよう頼まれたのでした

リーダーの難しさ

小中高と野球部でキャプテンを務めた私は、ある程度チームの動かし方を知っていたつもりでしたが、言葉と文化の異なる国でリーダーを務めるのは至難の業でした

そこでまず私が最も大切にしたことは、

言葉と行動でチームを引っ張ること

でした

言葉に関しては、チームの合言葉を"Champion” に設定し、常に優勝という目標を意識させるようにすること、ネガティブな言葉を無くしてポジティブな言葉を使うように取り組みました

行動に関しては、英語力がまだネイティブと比べて劣っている以上、行動で示すことを最も大切にしました

練習や試合でリーダーとして振る舞い、チームをチームメイトを引っ張ることはもちろん、特に野球以外の場面での行動を大切にしました

具体的には、練習に早くきて準備をしたり最後まで残って片付けをすること、積極的に声をかけてコミュニケーションを取ること、何かあったら自分が1番に率先して動くことを心がけました

その甲斐もあってか、チームはリーグ内でも1番のまとまりと言っても過言がないくらい、大変一丸となったチームに成長しました

ミーティング開催

リーグが始まり、最初の3週間をを11勝1敗という歴史的ペースで勝ち進んできたチームにも限界がありました

チームに余裕や隙が生まれ、プレーや態度に悪影響が出はじめ、少しずつ負けることが多くなりました

そこで私はチームミーティングを開催することを監督コーチに話したところ、快く承諾してくれ、ミーティングをイチから開催することになりました

まず私がやったことは、Googleフォームでアンケートを作成しました

その中身はというと

チームの長所と短所
チーム内での自身の役割
この夏の個人的な目標
チーム改善のために何が必要か
その他個人的質問や意見

などでした

これを踏まえてアンケートをまとめると、

1.チーム内のルール明確化
2.練習内容の調整
3.個人へのサポート

が求められていることに気づき、チーム全体で共有して話し合いました

1つ目のチームルール明確化について、2ヶ月間のサマーリーグということもあり、具体的なチームルールを決めていませんでしたが、そこをハッキリさせようということでした

特に私は日本で長く野球をプレーしたこともあり、日本のアメリカの野球文化の違いと言ってしまえばそれまでですが、やはり双方で良いものは取り入れ、悪いものは取り除くことにしました

具体的には、

練習中や試合中のスマホの使用禁止
野球中に野球以外の話を禁止
感情コントロール(汚い言葉や道具投げつけ禁止)
チャンピオンになるにはチャンピオンとして行動すること

をルールとして明確化しました

2つ目の練習内容の調整に関しては、選手と首脳陣で互いに話し合い、チームに必要な練習内容が反映されるようにしました

具体的には、

牽制練習
サインプレーの拡大
ウエイトの時間を増やす

などがあり、選手とスタッフ両方が納得した上で話ができました

3つ目の個人へのサポートとして、試合に出れていない選手や不調の選手、日々の生活に苦しんでいる選手とコミュニケーションを積極的に行いました

ここで私がやったことは、野球以外の時間を使い、1対1で話をしたことでした

自分自身も、アメリカに来てから不調や怪我で試合に出れなかった時期や、アメリカでの生活に苦しんでいた時期が多くありました

しかしながらそれを経験したことで今度は実際にチームメイトに共感しアドバイスが出来るという利点にもなりました

しっかりと1対1で話すことでコミュニケーションが取れ、お互いの信頼を高めることも出来ました

最終的に、チームはリーグで2位となり、残念ながらチャンピオンとはなりませんでしたが、長年の順位と比べると大健闘したことにスタッフやファンの方を含め多くの方々から祝福の言葉を頂き、大変嬉しく感じました

チームとして最後の日も、チームメイトやスタッフと最後にお別れの話をした時に、沢山の感謝の言葉を頂き、それが自分にとって自信と誇りになりました

チームメイトは2ヶ月間、衣食住毎日24時間共に過ごした家族のような存在です

チームスタッフには、私に何度も声をかけていただいたことに大変感謝しています。彼らがいたからこそこのチームにもう一度帰ってくることができました

ファンの方々には、本当に頭が上がらないくらい感謝しています。チーム状況が悪い時も毎日試合を見に来てくれ声をあげて応援してくださったこと、選手たちの食事を提供してくださったこと、街で見かけた時にいつも声をかけてくださったこと、本当に感謝でいっぱいです

このシーズン、チャンピオンにはなれませんでしたが、私はここで素晴らしい仲間、スタッフ、ファンの方々と大切な思い出を築けたことに大変満足しています

残念なことに、来年は実習や採用試験の準備でこのリーグに参加は出来ませんが、ここで出会えた全ての人たちは一生忘れません

最後に

私がこのテキストで最も伝えたいことは、決して自分がやったことを自慢したり、見せびらかせたい訳ではありません

こんなどうしようもない自分でさえ、出来たのだから優秀な皆さんならもっと出来ます

ただそこに必要なのは少しの勇気だけなのです

野球に限らず、仕事や人間関係、将来への不安など、人生は大変なことだらけです

ですが、それを悲観したり愚痴をこぼすだけでは何も変わりません

今こそ少しばかりの勇気を振り絞って自分の未来をちょっとずつ良いものに変えていきましょう

せっかくの一度きりの人生、あなたの物語はあなたが主人公です

失敗するかなんてやってみないとわかりませんし、何ならその失敗を成功に繋げることだってあなた次第で出来ます

人生に行き詰まった時、辛くなった時こそ、自分自身を見つめ直し、少しの勇気を振り絞って行動を起こしましょう

そんなあなたを私は心から応援しています

上野幹太

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