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運べる鋳造炉で、銅のゴトクを造る

燃料代が上がっている。これは、炭の出番だ。


カセットボンベで煮炊きする暮らしを、かれこれ数年している。一本で1週間くらいの使用量だ。その一本の値段は、この数ヶ月で、90円台から160円台に値上がりした(2022/10/25)。この機会に、七輪での煮炊きをしようと思い始めた。七輪は、珪藻という海洋生物の化石、珪藻土からできている。
 珊瑚や私がカルシウムを骨格に持つのと違い、珪藻と放散虫は、ケイ素を骨格に持つ。珊瑚の化石が、石灰岩。珪藻の化石が珪藻土。
 カルシウムも、ケイ素もセメントの重要な要素だ。ケイ素と言えば、ガラスや半導体、火山灰が思いつくが、生きものの骨格にもなる。
電顕写真を見てみる。

珪藻の電顕写真 国立科学博物館HPより引用
放散虫の写真
 作成:高橋孝三 理学研究院 地球惑星科学部門  池上隆仁 理学府   地球惑星科学専攻 
HPより引用

いいかたち。この生きものが、堆積して化石として切り出されたのが七輪。

能登珠洲市産の珪藻土 引用元http://www.osaka-kyoiku.ac.jp/~deno/my_hp/SEM/diatomite1.html

珊瑚の炭酸カルシウムに比べ、珪藻の酸化ケイ素は熱に強い。熱に強いって何だろう?炭酸カルシウムは850度くらいで粉体になっちゃうし、酸化ケイ素は、あれ?やわらかくなるけど、溶けはしなくって、、この辺分からん。
ま、写真から見て珪藻土は空隙が多いため断熱性に優れる。こういう素材を七輪という道具に作り続けてきた人たちが能登にいて、その七輪が、今手元にある。
ゴトクがあると、焼き物以外も出来るなと思い、ゴトクを造ろうと思い立った。
鋳造では、溶けた金属を型に流し込むところ湯口といい、その湯口の部分は設計外の形になるため、削り切り落とさせることが多い。その部分を鍋を受ける手とするスケッチを描いた。

三つのパーツを別々に作り、それをひっくり返して、砂に埋めてわっかで繋がるようにまた、吹く。すると、上端も下端も湯口の形になって、おもしろそうだし、複雑な形の連携もよさそうで作れそう。
で、夕食後、鋳造した。

運べる鋳造炉は、周りにいてもそんなに熱くない。ペール缶の塗装が熔けていないのが見えるだろうか?「BBQするよ」、くらいの感じで、鋳造できたかな。熱伝導の良い銅でゴトクを造る。

七輪のロストルは消耗品なので、古くなった丸のこの刃を丸く切り出して、自作した。七輪の給気は、ど真ん中に一本太めで、十分だという仮説の元つくった。

砂場にできたてのパーツを埋めて、わっかでつないだから、うまくおさまるか、わからなかったけど、うまくいった。

型と形、型からの逸脱。藍染やコンクリートにもつながるモノ造りの夜だった。

運べる鋳造炉、売っています。

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