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漫才「裁判傍聴」

漫才『裁判傍聴』
ツ→ツッコミ(男) ボ→ボケ(女)

ツ「どうも~(入ってくる)」
ツ「お願いします~」
ツ「まあね、今日も頑張って漫才していきますけども」
ボ「あの、唐突なんですけど」
ツ「はい」
ボ「彼女っていますか?」
ツ「唐突ですね、まあいないですけど」
ボ「やっぱりそう…ですよね、聞いた私が愚かでした…」
ボ「なんか…すみません…」
ボ「…(ばつの悪そうな顔を続ける)」
ツ「いや雰囲気が重い!」
ボ「いや、だっていないんでしょう?」
ツ「いやいないですけども!」
ボ「二十歳超えて彼女いないのって…」
ボ「有罪じゃないですか」
ツ「違いますよ!?」
ツ「どんな価値観で生きてんだよ、それだと結構な人犯罪者ですよね、皆さん」
ツ「んで刑務所もたくさんできて…」
ボ「有罪で思い出したんですが!(強引に)」
ツ「どうやら、漫才のフリなだけのようで安心しました!」
ボ「裁判の傍聴って見てみたいなあって思うんですよね」
ツ「ああ確かになあ」
ボ「じゃあ私裁判やるから、傍聴していてください」
ツ「はいはい」
ボ「傍聴人のみーんなー!こーんにーちはー!」
ツ「ちょっと待とうか!俺「おかあさんといっしょ」プレイしたいわけじゃないのよ」
ボ「違うんですか!?」
ツ「そこまで彼女いないの拗らせてないわ」
ボ「はい傍聴人のみーんなー!こーんにーちはー!」
ツ「…こーんにーちはー…(低いテンション)」
ボ「うーん?声が聞こえないぞー?もう一度、大きな声で!」
ボ「こーんにーちはー!」
ツ「こーんにーちはー!(大きな声で)」
ボ「…恥ずかしくないんですか?」
ツ「ノってやったんだろうがよ、プレイし損じゃん俺」
ボ「ハイ、それではね、開廷いたしますけれども」
ツ「切り替え早っ」
ボ「本日は夫婦間での殺人事件の裁判をいたします、被告人は前へ」
ツ「おお、結構重めの内容なのね」
ボ「…(被告人役として一歩前に出てくる)」
ボ「…こーんにーちはー!」
ツ「お前もかよ!人ヤっといてそれはサイコパスじゃねえか」
ボ「静粛に(指パッチン)」
ツ「何だ今の」
ボ「では当時の状況を再現しましょうか」
ツ「なるほどね、整理してから判断するのね」
ボ「えー、いろいろあって犯人と死体ができました!」
ツ「過程が大事!誰がインスタント殺人現場用意しろって言ったんだよ」
ボ「有罪」
ツ「何例えツッコミ間違えたみたいにしてんだよ」
ツ「過程がね?重要でしょうよ」
ボ「じゃあまず、家の中に夫婦がいます」
ツ「ふむ」
ボ「それで旦那さんが奥さんとバイバーイ!しようとしたわけですね」
ボ「そうしたら奥さんはオニさんになっちゃった!プンプン!」
ボ「それで奥さん包丁を持ってエイッ!ひ、ひえー!もう結婚はこりごりだぁーっ!」
ツ「いや表現がマイルドすぎる!」
ボ「その後遺体はノコギリでぶつ切りにして、トイレに流したとのことです」
ツ「と思ったらビターだな!」
ツ「あれか、現実は甘くてほろ苦い、ビター&スイートという感じですか…」
ボ「無罪」
ツ「有罪であれよ!わざわざダサいこと仕掛けに行ったんだからよ」
ボ「弁論を始めていきましょう、さあ果たして被告人は有罪になるのでしょうか!?」
ツ「いや有罪だと思いますけどね、さっきの態度見るに」
ボ「タッタッタッタッ…待った!はぁ、はぁ」
ツ「これは!遅れて重要な情報持ってくるアレですね」
ボ「お、お水貰えますか…はぁ、はぁ」
ボ「ありがとうございました、タッタッタッタッ…」
ツ「なんもしてねえな!駅伝の給水所か」
ボ「タッタッタッタッ…待った!はぁ、はぁ」
ボ「……いつもの」
ツ「どの!?」
ボ「え、ここマックじゃないんですか!?」
ツ「違うわ!あとマックで『いつもの』すんのメチャダサいぞ」
ボ「タッタッタッタッ…」
ツ「今度は何だよ」
ボ「…タッタッタッタッ…」
ツ「せめて来い!廊下走るな!」
ツ「さあ、これは、判決が難しくなってきましたね…!」
ボ「嘘つけ!あいつら茶化しに来ただけだろ…」
ボ「お口チャック♡」
ツ「うん!」
ツ「うんじゃないよ、本性を引っ張り出そうとすんじゃないよ」
ツ「本性じゃないわ!」
ボ「では被告人、判決前に言いたいことはありますか?」
ツ「弁明とかすんじゃないですかね」
ボ「確かに私はナイフで夫を刺しました。原因はそう…」
ボ「夫の職場『ナイフ』倫…」
ボ「…」
ボ「どっ!!!!ワハハハハハ!!!!」
ボ「5年減刑」
ツ「漫談で刑を減らすな!」
ボ「家庭はすでに崩壊していました…」
ボ「もはや私が死ぬ『か、てい』主が死ぬかしかなかったんです…」
ボ「どっ!!!10年減刑」
ツ「おい割と下手になってるぞ!」
ボ「なんですかあなた!減らした分あなたに受けてもらいますよ!」
ツ「そんな焦点の座布団みたいなシステム認められるか!」
ボ「はい、では判決を言い渡します、死刑!」
ツ「減刑した意味ねえな!」
ボ「はーい、じゃあ死刑に賛成の子はグーを挙げよう!反対の子はパーを挙げよう!」
ツ「またプレイだ!また!」
ボ「…チョキを挙げよう!」
ツ「チョキは何!?」
ボ「ねえねえどうする?グー?パー?私チョキ!」
ボ「ざわざわ…」
ボ「はいー静粛に!みんな!お口チャック!お口チャックー!」
ボ「もう…認知してよ!!」
ツ「〆は昼ドラかよ!」
ボ「…閉廷(指パッチン)」
ツ「終わり方も唐突だな、いや全然傍聴できてないじゃん」
ボ「許してぇ?♡」
ツ「う゛ー゛ん゛、無゛罪゛!」
ツ「どうもありがとうございました」




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