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どうしてステロイド軟膏がやめられなくなるの?

注意1.今回の記事は重度のアトピー性皮膚炎の場合を除きます
注意2.ステロイド軟膏の使用を否定するものではありません
           ステロイド軟膏は適切に使用すれば皮膚症状改善に非常に役立ちます


 当店の皮膚病の相談では
ステロイド軟膏を連用されてご来店されるお客様が約6割にのぼります
短い方で数ヶ月  長い方は使用が数年に及びます

そんなお客様に私が必ずする質問2つ
質問1「ステロイド軟膏を使い始める前と今とでは
どちらの症状が酷いですか?」


ほとんどの方が

「今の方が症状が酷いです」

とおっしゃいます
だからご来店くださっているということなのですが…

質問2
「ステロイド軟膏を使い始めた時と今と
どちらが使用範囲が広いですか」


ほとんどのお客さまが

「今の方が使用範囲が広いです」


皆さんこの質問と答えどう思われますか?
簡単に言うと

「長期使用していても治ってない」

お読みいただいている皆さんの中にも
思い当たる方いらっしゃるんじゃないでしょうか?

重度のアトピー性皮膚炎では
ステロイド軟膏を長期にわたり連用しなければならない場合もあります
ですがほとんどのお客様は中程度かそれ以下の症状のアトピーや皮膚病です

なぜ治ってないのに長期間にわたりステロイド軟膏を使用してしまうのでしょう?

それは・・・

『ステロイド軟膏がやめられない』
理由1「皮膚病は・重症化しない病気・死なない病気」


と言う前提が皆様の頭の中にあるからだと思われます

例えば
酷い頭痛で病院で鎮痛剤をもらいました
最初の数日は楽になったけど10日経っても強い頭痛は残ったまま

この場合
皆さん2カ月3カ月〜1年とそのまま薬を飲み続けますか?
「おかしい、脳に何かあるのでは?」
と早い段階でもう少し詳しく調べようとしますよね

ですが皮膚病の場合

「まぁ、そのうち良くなるかなぁ〜」

と漫然とお薬(ステロイド軟膏)を使い続ける方が多いんです(特に男性(-.-;))
まずこれがステロイドをやめられない理由の1つ
(この理由は瑣末な事ですし私は違うと言う方もいるでしょう)

ですがもう一つの理由が大事!

『ステロイド軟膏がやめられない』
理由2
「連用すると皮膚が薄くなるから」


連用される方の前提として

「指示通り朝晩1日2回真面目に使用していますがなかなか改善しません」

「塗れば良くなるけど、塗らなくなるとまた悪化、だからまた塗っちゃいます。」

上記2パターンがあります
連用されるほとんどのお客様がどちらかです

つまり
根本的な皮膚トラブルの原因を解決せずに
漫然とステロイド軟膏の使用を続けている

↑ここ非常に大事です

実はステロイド軟膏
ステロイド軟膏を連用すればするほど『皮膚が薄くなる』んです

【皮膚が薄くなると以下の不具合が】
*①掻くとすぐ傷がつく・裂けやすくなる
*②紫外線・ホコリ・ダニ・ハウスダストに敏感になる
*③細菌やウイルスに感染しやすくなる
*④温度変化や汗に敏感になる

上記の*①〜*④を踏まえて以下【解説1】【解説2】をご覧ください

理由2【解説1】

ステロイド軟膏を長期連用する

皮膚が薄くなる

上記*①〜*④の影響で炎症痒みが強くなる
皮膚が薄くなり見た目の乾燥肌も強くなる

症状を落ち着けようとステロイド軟膏を塗る

より皮膚が薄くなる

*①〜*④の影響で炎症や痒みが強くなり見た目の乾燥肌も強くなる

「そのうち良くなる」とステロイド軟膏を塗る

そうです<解説1>のループ・繰り返しなんです

さらにたちが悪いことは
ステロイド軟膏を連用していると

皮膚が薄くなる場所がひろがって
より広範囲にステロイド軟膏を使用する様になります


例えば下の写真
赤く炎症と痒みを持った場所青いステロイド軟膏を塗るとします

画像2

<例1>
の様に炎症がある赤い部分だけにぴったりステロイド軟膏を塗るの難しいですよね

ほとんどの方が
<例2>
の様に炎症の範囲の外
肌トラブルのない場所にまでステロイド軟膏を使用
してしまいます

理由2【解説2】

<例2>の様な塗り方をする
        ↓        
肌トラブルのない場所の皮膚にもステロイド軟膏を塗る

肌トラブルのない場所の皮膚が薄くなる

*①〜*④の影響で炎症痒みが強くなり見た目の乾燥肌も強くなる

症状を落ち着けようとステロイド軟膏を塗る

肌トラブルのない場所にまで塗ってしまう

ステロイド軟膏を使用する範囲がどんどん広くなる

症状はひどいし他の改善方法がないため
ステロイド軟膏の使用がやめられない

そうなんです お客様が私の質問に答えていた

「今の方が症状が酷いです」
「今の方が使用範囲が広いです」


になるのは理由2の【解説1】【解説2】の影響なんです

では実際の例を見てみましょう

2017中野塾①.001

上の背中の写真をご覧ください
ステロイド使用中』の写真は症状がまだらですよね
(ステロイド軟膏を最初に使用した時はこんなに広範囲じゃなかったそうです)

なぜでしょうか?

背中の湿疹・痒みにステロイドを使用

だんだん塗る範囲が拡大

一人暮らしのため自分の手の届く範囲にステロイド軟膏使用
(使用部位の皮膚が薄く敏感になる)

手の届く・ステロイドを使用した範囲が悪化

なかなか良くならずステロイドの使用範囲も拡大

症状良くならずステロイド軟膏を止めるきっかけを失う
(手の届くステロイドを使用した部分がまだらに症状が酷い)

やめられない

ということなんです


症状の改善がはっきりしないのにステロイド軟膏を長期使用すると

そもそも症状の悪化が
□ 自分のアトピーや肌トラブルの悪化なのか
□ ステロイド軟膏の影響の悪化なのか
□ 自分のアトピーや肌トラブルとステロイド両方の原因なのか
なにがなんだかわからない
皮膚症状をより複雑にしてしまい改善にも時間がかかります

さらに
ステロイド軟膏使用中止によるリバウンド(症状悪化)のため
なかなかステロイド軟膏をやめられない(以下記事参照)

といういや〜な悪循環に陥ってしまします

悪循環に陥る前に

以下の記事を参考に使い方にご注意ください

ステロイド軟膏は適切に使えばとてもいい薬です
私も使う事がありますし私の子供に使うこともあります

ステロイドが悪いんじゃなく『使い方』が大事なんです
悪者扱いせず仲良く上手に付き合いましょう!
もちろん使用せずスキンケアですむ様にする事が最善です!

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