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3月1日、夜を歩く

久しぶりに外を歩いた。しかも夜。寒いと思ったら寒くない。あぁ、もう3月か。ふと、自分が日々忙しなく生活していることに気がつく。そうだ、今日から毎日文章を書こう。そう思った。

歩いていると、いろいろな考えが浮かぶものだ。仕事に追われている日中には考えられない、多くのことを考えることができる。そして、感じることができる。もうこんなにも夜が寒くないだなんて知らなかった。いつから夜は寒くなくなったのか。冬はもう終わったのか。春が来ているのか。些細な変化だけれど、それを見逃しながら生きている。そんな日々が続いている。こういう日々を過ごすのはダメだと思う。そう思うのに、ずるずる何かに追われ、日々が過ぎていく。だから、今日から毎日文章を書こうと思った。どこかで行動しなければ、今の毎日がずっと続く。働くことで消耗し、何かをやる意欲が起きなくなる。そうなる前に、動かなくてはならない。

歩きながらとりとめもないことを考えた。やはり、今一番の懸念事項はここ数カ月でかなり太ったことだ。そう、私は太ったからこそ夜に散歩をしている。少しでも体を動かし、痩せようと思ったのだ。体重は測っていない。ダイエットのためにFitbitを買い、体重計も買ったにもかかわらず、数回乗って、測るのをやめた。最悪な数字を見るのが怖いからだ。見るなら気持ちがよくなる数字がいい。だから、そろそろ痩せてきたかな? というタイミングで満を持して体重計に乗るのだ。そうして、○○キロという以前の私の体重が表示されるのを見る。気分がよくなる。その日のために、今私は夜の道を歩いている。

少し歩いて自宅へ戻り、階段を上る。2階や3階ではない。もっと上の階まで上る。途中、ふっとお風呂のいい匂いがしてきた。誰かがちょうど入浴中のようだ。いい匂いであると同時に、見ず知らずの赤の他人が入っているお風呂を想像し、いくばくかの気持ち悪さも感じた。すぐさま上の階に上る。すると、タバコの臭いがやってきた。こちらはすぐに不快に感じた。階がたった一つ違うだけで、まるで天国と地獄のような、人間の生活の営みの面白さがある。ここにはたくさんの知らない人が生活していて、それを感じ取ることができる。東京で古いマンションに住んだことがなかった私は、こういった経験をしてこなかった。

去年の10月に引っ越してきて、今はようやく4カ月がたったところだ。まだ知らないこと、わからないことがたくさんある。引きこもっていた冬眠の時期はそろそろ終わりを告げようとしている。冬眠の間、余分についた肉を削ぎ落とすため、春になったら外に出る。そうして、この街のことを、このマンションに住む人たちのことを少しずつ知ることができるだろう。まだスタートラインに立ったばかり。これから外の世界が楽しみだ。

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