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引き千切られて作られるチーズ

モッツァレラは不思議な食感を持ったチーズです。
初めて食べたときは、本当にチーズかと疑いました。

できたての寄せ豆腐のようでもあり、
つきたての餅のようでもあります。

一般の熟成チーズの過程を経ることはありません。
そのためフレッシュチーズに分類されます。

まったくクセがなく淡白な味わいが特徴です。
他のチーズのように塩気もありません。

ナポリを中心とするカンパニア地方特産のチーズです。
とくにナポリのピッツァには欠かせません。

水牛の乳から作られるので、まるで雪のように真っ白です。
真っ赤な完熟トマトとの相性は、色彩も風味も抜群です。

モッツァレラチーズとトマトを薄くスライスして、
交互に並べて盛りつけるとじつに色鮮やかです。

そこにオリーブオイルをかけて塩を振り、バジルを添えます。
「インサラータ・カプレーゼ」という料理です。

モッツァレラの語源は、「モッツァーレ」です。
イタリア語で「引き千切る」という動詞です。

辞書には「モッツァーレ・イル・カーポ」と文例が載っています。
「首を刎ねる」という意味です。

何とも物騒に思われますが、たいへんわかりやすい表現です。
たしかにモッツァレラを作るときは大きな塊から切り取ります。

決して首を刎ねるわけではありませんが、
引き千切るように作られます。

モッツァレラが丸みを帯びているのはそのせいです。


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