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小説 短編集

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家族の姿や微かな恋模様を描いています。サクッと読める物語を集めました。隙間時間のおともに。
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記事一覧

短編小説)地平線

 いるはずもないふたりの姿を、放課後のグラウンドで走る人たちの中に探す。  霜がとけてぬ…

仲町鹿乃子
3か月前
30

短編小説)ぐるぐるマフラー

「人って、一日に十分でも一人になる時間が必要だと思うわけよ」  実家の玄関に仁王立ちする…

仲町鹿乃子
3か月前
29

短編小説)八月の金魚ハンター

「代官山あやかし画廊の婚約者」9/15発売              ×     「わたしと隣…

仲町鹿乃子
7か月前
8

「代官山あやかし画廊の婚約者」×「文鳥シリーズ」のコラボ短編

「文鳥ですが転生しました!」 この物語は、「文鳥ですが守ります!」「文鳥ですが守りたい」…

仲町鹿乃子
8か月前
13

 セルフパロディ             「わたしと隣の和菓子さま」

2022年6月富士見L文庫さま(KADOKAWA)より 「わたしと隣の和菓子さま」を発売していただきま…

仲町鹿乃子
8か月前
11

短編小説)雨待ち

 大学の図書館の窓から見える空は、今日も雲ひとつない青さだ。  梅雨入りしたというのに、…

仲町鹿乃子
8か月前
6

◇ショートショート◇ 「二十歳の約束」

 彼が来た。  十年前より、少し恰幅のよくなった体で。 「やぁ、久しぶり。元気そうだね」 「あなたも元気そうね」 「あの日の約束を覚えてくれていてありがとう」 「こちらこそ。あの約束があったから、わたしは今まで頑張ってこれたの」  彼がわたしを眩しそうな顔で見る。 「ぼくもだよ。きみに再会できたときに恥ずかしくないように頑張ったよ」 「あのとき、わたしたちは二十歳だった。世間では、二十歳といえば……って、よく言われていて。友人たちも、いいきっかけだからって次々にトライし

六月は、雨の匂いがする。                 ~Episode1 涙

女らしくない女、だって。 察しの悪い女、だって。 がさつな女、だって。 デリカシーのない女…

8

短編小説)近所人とわたし

 誰でも、身の危険を感じる言葉の一つや二つを浴びた経験は、あるんじゃないかって思う。  …

6

短編小説)free way

 高速道路に乗ってから、車は順調に流れている。ウィークディの昼間に、ひとりで車に乗ってい…

9

短編小説)茜色の空と雨上がりの虹と

 篠田(しのだ)家の四兄弟が、そろいもそろって優秀なのは、近所ではもはや常識だった。  …

12

エネルギー

 学校からダッシュで本屋に寄って、そのまま走って家に帰る。  玄関に鞄を投げ置いたまま…

6

三月物語~この先、300メートル

 高校卒業を翌月に控えた二月のある日、忽然と幼なじみの住田(すみだ)一家が消えた。消えた…

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三月物語~ハルとわたし

  土曜日の午後二時。緑道沿いのカフェは、ほぼ満席だった。わたしと恋人のハルこと佐田 晴人《さた はると》は、無言でカフェオレを飲んでいた。  すると、突然、隣の席のカップルが揉めだしたのだ。 「なに、それ! 東北の大学に進学するなんて、聞いてないし」 「言えなかった。受かるなんて思わなかったんだ。自信がなかったんだよ」 「受かる自信がない? デートできないほど勉強していたくせに、なによその弱気は」 「それに、遠くの大学を受けると言えば、きみが悲しむと思って」 「内緒にされ