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気がつけば私はまた扉の前、
違う扉の前ではない、
いつも同じうんざりするほど見慣れた扉の前

一番最初に振り出しに戻ったあの日と同じ…

ゼロからやり直せと神様が私の頭を押さえつける。
あの人はいつも同じことを言う。

あぁ 貴方の愛は氷のように冷たい

何度となく繰り返した実践ののちに私は気がつく。

また同じ扉の前に戻ってきてしまっていることに…。
最初は愚かしくも気づかなかった。

きっと1つ1つ扉を開けて今見ているのは次のステップへ移る為の新しい扉なのだと思っていた。


でもある日私はたゆまぬ信仰の中で気づいてしまった。

扉にうっかり私がつけてしまった指輪の傷が同じ扉であることを物語っていたあの日…

幾つもの試練を乗り越え少しずつでも歩を進めていると信じ切っていた私…

でもそれは大きな勘違い…

人生は大抵 おめでたい勘違い

気がつけば私はまた同じ扉の前、
扉にはくっきりと指輪の傷跡…。

そして黙ってその扉を開け同じ迷路の中…

そしてとりとめの無いリフレインは続く…

『ゼロからやり直せ』
と神様が私の頭を押さえつけて扉の前まで押し戻す。

でもこの扉の指輪の傷を知っているのは私だけ…

この一向に見込みのない円環活動の中の苦悩を貴方はちっとも解ってくれない、

私はまるで二十日鼠のように円い車輪の中を駆けて駆けて駆け巡る…。

でもそれがなんだっていうの??

私はどこへも辿りつけやしないわ!

あぁ

神様もっと私を愛してください。
神様
わたし貴方に愛されたいの!

私をもっと可愛がって

貴方の娘クリスティーン(基督の娘)になるわ

だから私をもう苛めないでったら!

貴方の愛は火のように鋭くて痛い

貴方の愛には試みしかない。

だからいつも私は闇の中でかかとをくじく…。

貴方に愛されたくて私は病気になりそう…

あぁ神様

貴方の愛は氷のように冷たくてよく切れる…

貴方は私を古い人形のようにつかんで振り回す。

春の日差しのような愛は無く与えられるのは柄の無いナイフ…
素手でそれを必死で捕らえる私…

私の傷口からはもう血は流れない…

そして気がつけばまたあの日と同じ扉の前

貴方は私の頭を押さえて言った、
『そろそろ指輪を外したらどうだね』

扉の傷跡のことなんか神様にはとうにお見通しだ。

そしてまたラビリンスへの旅立ち…

でもきっといつかまた立ち返るのはこの指輪の傷のある扉の前…

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