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連載小説『エミリーキャット』

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(2018年・8月~現在も連載中)画商の彩は誰もが認めるキャリアウーマン、優しい年下の彼と婚約中。 然し本当は人知れず幸せよりも生きづらさに喘ぐ日々を送っている。彩はある日、森奥… もっと読む
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#ビューティフル・ワールド

小説『エミリーキャット』第66章・Missing

まるで折れ釘のように首と頭を倒して高層マンションを見上げているうちに、その窓々が春の日射…

小説『エミリーキャット』第54章・heads or tails?

401号室は水を打ったような鎮けさで彩は自分が息をしてもその呼気が極度の静寂の中で大きく…

小説『エミリーキャット』第36章・ブルー・ベルの泪

森へ入りどんどん歩くうち彩は徐々に嘘のように気持ちが凪いでくるのを感じたが、今更後戻りも…

小説『エミリーキャット』第35章・魔少女の誘惑

『ちょっとちょっと、人間のままで野原を駆け回りたかったのに』 と彩は言ったがもう小鳥の囀…

小説『エミリーキャット』第34章・マジック

食事が終わって彩は通された2階のゲストルームの浴槽に浸かり天井を眺めたまま、ぼんやりとし…

小説『エミリーキャット』第33章・ハロー・アゲイン

木曜日は学習会が行われる時がある。その為、いつもは午前中から外商部は外へ出るのだが、月に…

小説『エミリーキャット』第32章・Mirage

まだ火曜日…と彩はドレッサーの前でため息をついた。 いえ、もう火曜日、もう火曜日になったのよ、憂鬱な月曜日は過ぎ去った、 明日になれば水曜日、すでに中日(なかび)だわ、 金曜日までもうあと少しよ、 と彩は鏡の前で自分を鼓舞した。 鏡台は本来、化粧や素膚の手入れをする為の場であるが、彩の鏡台は机の部分が比較的ゆったりと広い為、ついそこで手帳を開いたり手紙を書いたり、珈琲を飲んだり簡単な食事などもしてしまうことがあった。 洋式のドレッサーではあったが、 使っていない時には鏡に後か