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スラム街再開発の成功事例:アメリカの都市開発手法

こんにちは!

幼少期の想い出

私が育った街は、駅前に大きな工場があり、街には労働者があふれており、17時を過ぎると労働者が街に出てきて、いたるところでビールケースを積んだ上にベニヤ板だけをのせた角打ちが始まっていました。

しばらくすると、喧嘩がはじまり、治安が悪いと言えばそうですが、今振り返ると街に活気があったように感じます。お祭りなんかもすごく盛り上がり、お神輿をかつぐイレズミが入った男たちの威勢のいい声は今も楽しい記憶です。

ある日、工場の移転に伴い、しばらく広大な空き地の期間がありましたが、大手不動産デベロッパーがその跡地を購入して、大規模な再開発を実施しました。

大きな商業施設と大規模なマンション、行政機関も移設したりして、新しくこの街に住む人がでてきたりして、活気の色が変わり、おしとやかな賑わいで新しい街に生まれ変わりました。この開発は民間主導で行われましたが、世界には行政主導で同じような都市開発を実施しているケースもあるようです。

少し調べてみたのでメモを残しておきたいと思います。

市主導の都市開発

都市開発の資金調達方法は多岐にわたりますが、アメリカで注目を集めているのが税増収分融資 (Tax Increment Financing, TIF) を活用した再開発モデルです。この手法は、都市の再生やスラム街の再開発において特に効果を発揮しています。

アメリカの具体的な事例として、ニューヨーク市のハドソンヤード再開発プロジェクトとフロリダ州タンパ市の再開発プロジェクトを取り上げ、その手法と効果について詳しく解説します。

ハドソンヤード再開発プロジェクト(ニューヨーク市)

ニューヨーク市のハドソンヤード再開発プロジェクトは、3.5億ドルの市債を発行し、再開発によって生み出される税収を用いて返済するモデルが採用されました。このプロジェクトは、ニューヨーク市がかつての鉄道ヤードを多目的用途に再開発するものであり、オフィスビル、住宅、商業施設、公共空間を含む大規模なプロジェクトです​ 。

このエリアに事業参画している三井不動産HPより

この再開発プロジェクトは、税増収分融資 (TIF) の一環として行われました。TIFは、再開発地域での地価上昇によって得られる税収増加を活用し、初期投資を回収する手法です。ハドソンヤードでは、再開発によって得られる新たな税収をもとに市債を返済し、プロジェクトの資金調達を実現しました。この手法により、ニューヨーク市は大規模な都市再開発を進めることができました​ 。

タンパ市の再開発プロジェクト(フロリダ州)

フロリダ州タンパ市もTIFを用いた再開発プロジェクトを成功させた事例として知られています。タンパ市のコミュニティ再開発組合 は、TIFを活用してスラム地域の再開発を行い、地域の経済成長とインフラ整備を同時に実現しました​。

タンパ市の再開発プロジェクトでは、特定地域の地価上昇による税収増加を再開発資金に充てることで、持続可能な開発を推進しました。これにより、地域の魅力と価値が向上し、住民の生活環境も改善されました。再開発地域では、新たな住宅や商業施設が建設され、公共インフラの整備も進められました。特に、ユニークな文化エリアや緑地の創出により、都市の魅力が一層高まりました。

税増収分融資 (TIF) の利点

TIFの最大の利点は、再開発プロジェクトの初期投資を再開発地域内で生み出される税収で賄える点にあります。これにより、政府や自治体は新たな税負担を市民に求めることなく、大規模なインフラ投資を実現できます。また、再開発による地価上昇は、地域全体の経済活性化にも寄与します。

さらに、TIFを活用することで、民間投資を呼び込みやすくなります。再開発地域のインフラ整備や公共空間の充実は、企業や投資家にとって魅力的な投資先となり、さらなる経済成長が期待できます。

この市債って誰が買うの?

理屈は、よく分かりました。そして、
ハドソンヤードの市債は、ムーディーズがAa2、フィッチがA+、S&PがAA-の格付けを付与しました。主な購入者は、個人投資家や機関投資家で、ゴールドマンサックスやラミレス&カンパニーが共同主幹事を務めました。

なんか少しクラウドファンディングっぽい感じがしますが、その発行元が市であり、そこに格付け機関が正当に評価をするのであれば、応援的な面でもお金儲け目的でも資金が大量に集まりますね。

この誰か権威のある人や組織が、その資金調達方法を評価するってところがすごい大事な気がします。

日本でも、

実は、似たような話が日本にもあります。

横浜市の「みなとみらい21地区」が似ており、海を埋め立てて新しい商業・業務地区を開発し、その結果得られる地価上昇による税収を地域のインフラ整備や公共施設の建設に充てました。

似ているんですが、みなとみらいのケースだと、じわじわっとしか開発できないですね。そういう意味では、このTIFモデルであれば、投資家から市債を投資て先行して資金が入り、インフラを整備して土地代があがったところで売却して返せばいいので、すごく金融的に優れたモデルですね。

日本でも今後の成長に期待した先行投資ができる環境が整っているところでは応用できると開発スピードが加速して面白いかもしれないですね!

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