墓垢(墓場のアカウント)
「いつまで携帯さわってるのよ!」
ナナミが僕からそれを取り上げて壁に投げつけた。
「あっ!!」
驚き慌てて拾い上げたスマホの液晶にヒビが入っている。
ああ。僕の買ったばかりのスマホが。
しかし僕はできるだけ冷静さをよそおった。ここで感情を出してはいけない。
「乱暴なことするなよ。」
そう言うとそれが、さらにナナミの癪にさわったらしかった。
「仕事以外、家でも外でも、寝る直前ですら、ずっと触りっぱなしじゃない!話しかけてもろくに返事もしてくれないし。もううんざり!」
と叫んでナナミは泣き出した。
ここから先は
2,621字
¥ 100
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?