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経費は領収書?レシート? 経営と無関係な人でも面白く読める!『会社をつぶさない社長の選択』

タイトルの「社長」を見て、「私には関係ないな」と思った方。
ちょっと待ってください!
本書は、まず目次に目を通してから読むか否かを決めるのがおすすめです。

お気づきになりましたか?
目次がすべて「A VS B」となっていますよね。
社長でないサラリーマンやフリーランスの方でも、「あれ、これはどっちを選べばいいんだろう」と考え始めてしまったのではないでしょうか。
片方は知っている、あるいは思いつくけれど、もう片方の手もあったのか!知らなかった!
と思った人も少なくないのではないかと思います。

そう、本書は、知りたいことを勉強するのではなく、「こんなやり方があるんだ」「こういう考え方もあるんだ」と思いつきもしなかったことを学べる本
会社を経営していなくても、知識の拡充や頭の体操的に読める本なんです。


著者の松岡靖浩氏は、税理士事務所の代表を務める企業再生の専門家。
「倒産はさせない」がモットーである松岡氏の、500社以上のサポートをしてきたノウハウの結晶が本書です。

ネタバレしてしまうと、これらの「A VS B」は、どちらが正解ということはありません。
ケースバイケースで、こういう場合はA、こういう場合はBと説明してくれます。
それもマニュアル的な説明ではなく、根拠や理由、考え方をわかりやすく解説してくれるので、経営素人でも「なるほど!」と腹落ちします。

たとえば、本記事のタイトルの「領収書とレシートどちらをもらうか」というVSは、このような回答になります。

基本的には領収書でも大丈夫です。
しかし、何に使ったのか怪しいと思われるようなものであれば、調査が入って疑われてしまうので、最初からレシートで堂々と費用計上したほうがいいのではないでしょうか。

71ページより

おまけに「個人事業主の場合は……」と会社経営をしていないフリーランスのケースに言及してくれることもあり、副業が叫ばれる昨今、誰が読んでも損はしない構成です。

松岡氏は、本書の「おわりに」で次のように語っています。

経営者やこれから起業を考えている方には、最低限の知識武装をしてほしいと思います。

安全性を担保することは非常に重要です。なぜかというと、たとえ選択を間違えても、致命傷になっていきなり倒産するようなことを減らせるからです。軌道修正をすれば、また新たにやり直しがききます。

経営者に向けて書かれているように見えますが、経営をしていない人に対しても、示唆に富むメッセージではないでしょうか。

著者が言う「安全性の担保」には、当然「最低限の知識武装」が含まれています。
でも、自分と関係のないこと(つまりこの場合は経営)について、なかなか勉強しようとは思わないものですよね。

その点、本書は「A VS B」から入るので、「自分ならどっちを選択するだろう」と考えることから始められ、クイズ感覚で知識がすっと頭に入ってきます
つまり、著者の言う「最低限の知識武装」が無理なくできるんです。

「経営について勉強する!」と思うと心理的なハードルが高くなりますが、冒頭の目次を読んで、「自分が社長ならどうするかな~」と考える項目がもしあったら、ライトな気持ちで手に取ってみてください。
「安全性の担保」がいつの間にかできているかもしれません。

(文=安岐はづき)

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