【他社本紹介】『モチベーション革命』はなぜ中国で人気なのか?

昨年、弊社に素晴らしく仕事のできる版権担当Sabrinaが入社しました!(嬉しい!)中国出身、日本在住歴は10年以上のトリリンガルです。Sabrinaは、年間100冊を超えるビジネス書を日本語で読むのが趣味。中国で日本の書籍を紹介するSNSを運営しており、弊社の書籍も何度か紹介してくれて、投稿すると15万いいね!が付くなど、謎のバズりをみせております。中国五千年の力、恐るべし…。
今回は、Sabrinaが中国で紹介して反響のあった日本の書籍を1冊ご紹介します。

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Hello! 版権担当のSabrinaです。先日、『モチベーション革命』(幻冬舎)を私の中国のブログで紹介したら、多くの中国の人から「この本はどこで買えますか」、「お金を払うので、日本のアマゾンで買ってくれる?」などの問合せがありました(かんき出版の書籍じゃなくてすみません)。

近藤麻理恵さんのtokimeki整理収納、やましたひでこさんの断捨離など日本発の実用書は、中国で爆発的に売れています。これまでに比べ中国の書店で、日本の実用書の翻訳書が増えてきたように感じます。日本独特なものに対する考え方が、豊かになってモノがあふれてきた中国人にウケたからだと思います。

しかし、『モチベーション革命』という本は違います。
実用書ではありません。著者の尾原和啓さんは、マッキンゼー、リクルート、Google、楽天など13社を経て、現在はIT批評家として活躍されている方です。本書は若者に向けたモチベーションマネージメントを説いたビジネス書です。なぜ中国人が読みたくなるのでしょう?

モチベーション革命』では、日本の昔の「肉食系」世帯を今の「草食系」の世帯と比べながら、最初から豊になっている若い人の人生の生きがいや、「お金」より「楽しい」「良い仲間」がやりがいのポイントになっていると指摘します。こういった「草食系」の人は、「肉食系」の人の価値観と違って、ただただ仕事をしてたくさん稼ぐということより、好きなことを重視するそうです。

中国の90年代生まれ(20-30歳)と00年代生まれ(10-20歳)の若い子は、ちょうど中国が急成長し、豊かになってきた時代に生まれた子どもたちです。まだ一人っ子政策が行われていた時期なので、6つの財布(両親、母方の祖母父、父方の祖父母)の持ち主です。これらの世帯の中には、人口が多く競争力が激しい中国では、他人よりもっとお金持ちになっていい生活をしたい人もいるのですが、それよりも自分の好きなことをしたい、あるいは、好きでなければ給料がよくてもやらないと思う人もかなり多いです。
以前「最近の若者は、いやだと思ったら、その日の仕事がまだ終わってないのに、その場で“辞める”と言って去っていくんだよね」という話を中国で聞いたことがあります。まさにそれです。

それを裏付けるようなTikTokがありました。ちょっと面白いので翻訳してみますね。年齢層別に会社を辞める理由が書かれています。

60年代生まれ:離職?(離職という選択肢さえ知らない)
70年代生まれ:なぜ離職するのですか?(離職したくない)
80年代生まれ:他社の給料の方が高ければ離職する(現実的)
90年代生まれ:ボスが私を叱れば離職する
95年代生まれ:私がボスを気に入られなければ離職する
00年代生まれ:ボスが私の話を聞いてくれなければ離職する

2000年生まれの子は、「ボスは誰なのか?」が大事なようです(笑)。

お金より、好きなことをしたいけど、受験に特化した学力偏重の詰込み教育(応試教育)で育ってきたので、「じゃあ、自分が何をやりたいか」となると、迷うことになる…。『モチベーション革命』の最後に、いかに自分の好きなこと、自分の「偏愛」を見つけていくかについて書かれていました。
まさに、多くの中国の若者が探していたものです。これが中国人が『モチベーション革命』に興味を持つ理由だと思います(この本は早く中国で売るべきです!売れます)。

今の30代中国人留学生は、若いころ日本に留学した際に、日本の総合大学へ進学して経済学部や商学部などで勉強して、大きな会社に入って総合職で働くことを目指していました。
最近の10代、20代の留学生は、美術系大学に進学して、アートやデザイン、撮影などを勉強する人がだいぶ増えました。将来はいい企業に勤めるという30代の考えと違って、好きなこと、興味を持つことを学んでキャリアを積んでいくという傾向のようです。年代で考えに差が出ますね。

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ちなみに、私がかんき出版の本で面白いと思ったビジネス書は『3000年の叡智を学べる 戦略図鑑』です。孫子の兵法からGAFA、戦争戦略からビジネス戦略、古代から現在まで38の戦略をかわいいイラストと一緒に、とても分かりやすくまとめた1冊です。

「日本人の描くイラストはかわいい!」と中国の出版社が口を揃えて言います。本書のイラストはレゴのような感じでとてもかわいいです。

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そして、複雑な戦略をイラストと図解でシンプルにわかりやすくまとめていて、読みやすさも抜群です。これはまさに、日本人の独特な配慮ですばらしいと思います。楽しくいろんな戦略を勉強できる1冊です。
昨年の12月に発売されたばかりですが、3度目の重版がかかりました!amazonの在庫が切れてしまい残念です…。お急ぎの方はKindleをぜひ。紙で読みたい方はもう少しお待ちください。

孫子の兵法や、毛沢東、そしてテンセント社の中国の事例もありますので、中国でもきっとよく売れる本だと思っています。これからどんどん中国の出版社に勧めようと思います。←これは私の仕事の話。

機会がありましたら、また中国で注目されている日本の書籍をご紹介します。再見!


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