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ぺこぱぽこぺぱぴこぱこぺ

さて、今日も人生のHPを更新するかセクシ-ビ-ムで!!!

と、意気込んでみたところでなにもない。
ナシ。なんというか、忘れてしまった。
割と順風満帆といった具合に生きている今(9月24日記)となっては綺麗サッパリ一切合財総ざらい忘れてしまった。

何をってこうしてnoteに記録をしていない、この間の語られなかった部分の私の日常AtoZを。

オ-ノ-(肩をすくめるジェスチャ-)

自分のあまりの記憶のなさ、そして学生生活の最後の夏休みだというのに実家で出されるカルピスのような思い出の薄さに驚きを隠せない。わたしがこんなにも楽観的な人間じゃなければ、危うく自分の人生の意味を見出せず舌を噛みきって死ぬところだった。楽観的で助かったな〜。ま、私もいずれは朽ち果て骨となるのであながち間違ってもいないんですが。

かくして今日もしょっぱいことばかり考えてしまうわけだけれど、そんな気持ちと肌寒さを和らげるためにも、ドトールに入ってコーヒーを浴びてやろうと決意する。
大貧民学生なので1番安いブレンドをください♪って恥ずかしげもなくCメジャーな口調で頼んでから、(あ、もしかして今の私、はちみつとか黒糖とかの入った甘いのをたっぷり飲みたい気分じゃないの?)ってことに気づいたけれど、時すでに遅しfeat.案ずるより産むが易しとばかりに、湯気の立った香り高いブレンドは既に目の前に。
ドトールの店員さんのあまりの手際の良さに一瞬ぐっと身体を硬くするが、大人なのでなるべくそれを態度に出さないようにしてサッと手に取る。すると、井戸の奥底のような黒くて暗いその液体の表面に天井の光が反射して、私のくすんだ眼球まで届く。私は、それだけでもう、一気に幸福な気持ちになってしまった。コーヒーカップから匂い立つ湯気が、うす暗い店内に午後の親密な空気を作り出しているせいだろうか。

さあさあ熱いうちに飲むぞと意気込みながら席に座り、コーヒーを一口すすったのと同時に舌を火傷、と同時に(あ、そういえば今日何も食べてないな)と思い出し、と同時に(なんだかこれじゃあ、私がコーヒーに片思いして振られた人みたいだな)と思った。自分の人生の中では、私、いつでも感情と行動のマルチプレイヤーとして生きている。

私が感情と行動のマルチプレイでコーヒーを味わっていると、隣の席に座っている大学生が「あっ!このバンド、ベースボーカルじゃん!!」と大きな声で話していて、それがとてもダサかった。ダサくて、そういうダサい部分を好きになれそうだった。こういう会話を私も重ねてきたわけだけど、そういう日々のこととかすっかり忘れている。

誰にだって語るに足る物語があるはずだ。その証拠に、私が失くしてしまったと思いこんでるものたちは、今こうしてコーヒーカップの中でひとつ、またひとつと蘇り、淡い光を放ちはじめている。
人生のふとした瞬間にこういう救いのようなものは、必ず潜んでいる。そう信じてやまない私は、それを絶対に見逃したくなくていつも目をかっぴらいてるから万年ドライアイだ。
そうして色々思索しながら、香り高い液体に満ちたカップを十分に眺め、コーヒーを飲み干す。ずいぶん眺めていたせいか、猫舌の私にもちょうど良い温度になっていた。

時を戻そう。

今日は久々に大学に行って、健康診断を受けたり、とそょかん(図書館)で卒論の参考文献を漁っていたわけだけれど、製氷機の出口のように人がざくざくと溢れていたはずの大学のエントランスも、すっかり人が少なくなって、なんだか建物としてのエネルギーみたいなものさえ少し失ってしまったように思えた。
図書館で久々に学生証をリーダーに通したら、学生証のなかの私と目が合う。たった3年数ヶ月しか経っていないのに、学生証の中からこちらを見据える18歳の時の私のことが遠い存在のように思えてくる。18歳の時の私が、どこにも焦点があってない黒い硝子玉のような目をしているからだろうか。
その私の目を見つめていると、(川谷絵音が「私以外私じゃない」って歌ってたけど、あれほんとう?)(私でさえも私じゃないことだってあるんじゃないですか?)(私の延長線上にあるのは、必ず私なんですか?) そうやって蓮舫顔負けの舌鋒鋭い疑問が浮かんでは消えてく。私は、シロツメクサの冠を作るのが本当にうまい女の子のことを神様のように信仰していたあの日の自分の延長線上に今の自分がいるわけではなくて、あの日の私は永遠にあそこで生き続けていると信じてやまない。そのときの私は、きっと永遠にそのときにいるのだ。

ああ、わたし、気づいたら22歳になってしまいました。
お父さん、わたし、思春期にゴリゴリに野島伸司のドラマを見て育ったおかげで木に止まった蝉におしっこをかけられても怒りより悲しみの方が先に来てしまう弱い人間になってしまったんです。
お母さん、わたし、EXILEに憧れていたであろうクラッチバックを持った色黒の男に通りすがりに罵声を浴びせられたら、その出来事を三年経っても忘れられないような恨みがましい人間になってしまったんです。
お父さん、健康診断受けたら体重少し増えてました。
お母さん、卒論が全然進みません。

あぁ卒論が全然進みません!!!
私はこの1ヶ月近くなにをしていたのでしょうか。なんというか、忘れてしまいました。記憶にございません。
やっぱり割と順風満帆といった具合に生きている今(9月24日記)となっては、都合の悪いこと丸ごと綺麗サッパリ一切合財総ざらい忘れてしまったんです。

ふと、隣の席に目をやれば、先ほどまでスマホ見せ合ってた大学生の座っていたところに、パチパチとPCで作業するサラリーマンのお兄さんがいる。
わたしも頑張るときがきた。

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