昨日、Twitterでこんな投稿を見かけた。
シンガポールに5年住んで、その国土の狭さをよく知っている私にとって、この数字は驚愕ものだった。シンガポールの面積は725.1㎢。東京23区(626.7㎢)よりちょっと広いかな程度のサイズ感。そんな小国が、米国の2倍、日本の30倍以上の対策費を投じて、COVID-19(新型コロナウィルス)に立ち向かっているという!(数字は2/27時点)
シンガポールは東南アジアのハブなので、アジアで感染症が流行すると、大きな影響を受けがち(例:2002~2003年に流行したSARS)。今回のCOVID-19も、かなり早い段階で感染者が出始めた。市民の間で動揺が広がるのも早かった。そして、それに対する政府の反応も、早かった。旧正月明け直後の1月27日には厚労省的な組織から、手洗いうがいの励行など市民が「何に気をつければ良いか」について案内が出された。
2月8日には、首相のリーシェンロンからのスピーチという形で、国民へメッセージが出された。
2月27日に冒頭のtweetを見かけ、シンガポールの状況を思い出した私は、ふと思いだして、このスピーチを全編再生した。そこには人々を励まし、ともに立ち向かっていこうというメッセージを発するリーダーがいた。このスピーチを聞いて、私はとても、勇気付けられた。
落ち着いた口調で力強く語るスピーチを聞いて、勇気をもらいつつ、私は、自分が少なからず不安を抱いていたことに、気が付いた。
27日午後に「来週から3月いっぱい、全ての学校を休校に」というニュースが流れた。それを受けて、子持ちの友人知人が騒然とし始めた。私も無意識のうちに影響を受けて、精神的に不安定になっていたようだ。
スピーチを聞いて、私は軽く涙ぐむほど感動した。そして、この言葉をもっと読み込みたいと思った。探してみたら、スピーチスクリプトは首相官邸ホームページで全文公開されていた。文章で読んで、改めて、励まされた。落ち着いて、私は私のできること=日常生活を大切にして、いつも通り、健康第一の生活を送ろうと割り切ることができた。
自分の理解を深めるため、ざっと日本語訳をつくってみた。やっぱり良い文章だった。こんな良い言葉をひとりじめしておくのはもったいないと思って、Facebookで公開した。誰もシンガポールの首相のスピーチなんて興味ないかな……と思っていたら、複数の友人が「素晴らしい内容なので、翻訳も含めてシェアしたい」とコメントを寄せてくれた。北海学園大学で英語を教えている内藤先生は、要約までつくってくれた。どうやら、このスピーチのよさは、シンガポールに縁がない人にも伝わるものらしい。せっかくなので、誰でも読める場所に日本語訳を置いておこうと思って、このnoteを書いている。
ここまで我慢強く読んでくれたあなたが、もし英語を勉強しているなら、ぜひYouTube動画を見てほしい。全編字幕付きなので、リスニングに自信がなくても大丈夫。シンガポールの組織名や人名等の固有名詞はあるので、そこらへんは適当に飛ばしてしまおう。
以下、私がつくった日本語訳。シンガポールを知らないひとにも意味が通ることを最優先して編集してあることを理解したうえで、お楽しみください。
こんなnoteも書いてます