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居酒屋のぶと古都アイテーリアの変遷――『異世界居酒屋「のぶ」』の世界がどう変わっていったか、ざっくり振り返る


進捗どうですか?
マイストリート岡田です。

2021年7月8日に、約2年ぶりの新刊となる『異世界居酒屋「のぶ」七杯目』が刊行されました!

本作は2018年にサンライズ制作でアニメ化され、2020年にはWOWOW制作でドラマ化されました。

コミカライズは3シリーズ進行中で、スピンアウトストーリーの『異世界居酒屋「げん」』も展開中です。

詳細はこちらの公式サイトをご覧ください。


『異世界居酒屋「のぶ」』とは


 京都の裏路地に店を開いたはずの居酒屋「のぶ」は、なぜか正面玄関が異世界に繋がってしまっていた。
 突如現れた異国風の居酒屋に、古都の住人たちは吸い寄せられ、冷たいエールとして“トリアエズナマ”が話題となり、オデンやカラアゲなど見たことも聞いたこともない料理に魅了されていく……。

 原作小説は「七杯目」がシリーズ最新刊となります。
 本編のコミカライズはヤングエースにて連載中で、現在は小説版の「四杯目」が描かれています。

 不思議な異世界の居酒屋「のぶ」に集まった人々は、タイショーである信之や、看板娘のしのぶと親しみ、古都の居酒屋として「のぶ」を受け入れていってくれます。
 時が巡る中で「のぶ」の様子も古都の様相も変わっていくのです。

 ここでは原作小説「六杯目」までを読んでいる人を対象に、初期から現在まで、作中で約2年経過していく中で何がどんなふうに変わってきたのかを整理していければと思います。

※ここからは、ストーリーのネタバレが若干含まれます。
 本編を6巻まで読んでいる方を対象としています。
 まだ読んでないよ~という方は、これを機会に原作小説を一気読みしてください!


 電子版は1~3巻が半額になるセールを開催中!!!



「のぶ」と古都の歩み


■1巻 1年目冬~初夏

●居酒屋「のぶ」 異世界にある古都アイテーリアに繋がる。

●古都の三大水運ギルドが揉めていたが、「のぶ」でうなぎを食べたことをきっかけに、ゴドハルトが漁業権を得ることで和解する。

● “トリアエズナマ”が御禁制の「ラガー」ではないかと嫌疑がかかる。

●市議会議長バッケスホーフが“トリアエズナマ”を取り締まろうとやってくるが、ゲーアノートにより秘密裏にラガーを密輸したことを暴かれ、議長の座を追われる

●御禁制品だった「ラガー」の流通が許可される。

●先帝・コンラート四世の機転により、北方三領邦との会議が成功。帝国と戦争を始めるつもりだった北方三領邦と和睦を結び、帝国に帰属させる。


■2巻 1年目夏~秋

●薬師・イングリドが弟子のカミラと共に古都へやってきて、薬屋の開店準備を始める。

●遊び人風の男・アルヌが常連に。イングリドと酒飲み仲間となる。

●信之の元いた、料亭〈ゆきつな〉で働いている板長・塔原が居酒屋「のぶ」を訪れる。信之に「守破離」を説く。

●「魔女」の噂を聞きつけた聖王国の大司教・ロドリーゴが古都を訪れる。「魔女狩り」は実は「魔女捜し」で、学僧院時代の同期だったイングリドとの再会を喜んだ。

●居酒屋「のぶ」を訪れた吟遊詩人・クローヴィンケルが、信之のだし巻き卵を食べて感嘆する。

●吟遊詩人を目指していたアルヌだったが、クローヴィンケルに諭されたことで諦めをつける。その後、爵位を継ぎサクヌッセンブルク侯爵となる。

●古都の市参事会議長にマルセルが就く

●元傭兵のリオンティーヌが「のぶ」で働くことに。


■3巻 1年目冬~2年目春

ハンスが衛兵を辞め、「のぶ」へ料理人見習いとして就職する。

●東王国の王女摂政宮・セレスティーヌ・ド・オイリアが古都を訪れる。

●水運ギルドのマスターであるラインホルトとゴドハルトが、市参事会議長・マルセルと共に、新たな水路の浚渫について話す。貴族が徴収している河川通行税を回避するための策だった。

●現帝国皇帝・コンラート五世がお見合いのために古都を訪れる。その際にひょんなことから彼は恋を知り、偶然の重なりでお見合いは成功。王女摂政宮・セレスティーヌ・ド・オイリアは、コンラート五世と婚姻を結ぶ

●敵対国である東王国の摂政宮を皇妃にした帝国。セレスティーヌは両国の政略に挟まれる形になるのは必至だったが、東王国の〈幼王〉ユーグにより、王室籍を外されることで板挟みは避けられた。


■4巻 2年目春~夏

連合王国から渡ってきたとされる豆が大豆だと判明。連合王国の西部で、大豆栽培と醤油造りが行われていることが明らかに。

●ローレンツの工房は聖王国からレンズの研磨機を購入。レンズの研磨事業に乗り出す

●帝国西方の大商会・ビッセリンク商会の御曹司・ロンバウトが古都へやってくる。フーゴの作った眼鏡に感激し、商談を持ちかける。

●侯爵アルヌがロンバウトに、水路の浚渫事業についての図面を見せる。古都の北から海まで繋がる水路に古都の未来を見た人々の計画が始まる

●衛兵のニコラウスがエレオノーラの水運ギルドへと就職する。

●連合王国の西部の街ナ・ガルマンから、ヨダ・コーザという男が「のぶ」を訪ねてくる。彼が醤油を作っている張本人だった。

●ベルトホルトとヘルミーナに双子の赤ちゃんが生まれる。


■5巻 2年目秋

●古都の代表作物である馬鈴薯(カルトッフェル)を、アルヌとイーサクの提案で〈やみつき馬鈴薯〉として売り出すことに。

●老舗宿屋である〈四翼の獅子〉亭の副料理長・小リュービクがスランプに陥る。

●徴税請負人などの税務に関わる勅任監察官にオットー・フォン・グリンメルスハウゼンが就く。税の取り立てに関する業務が丁寧になる。

●衛兵の新人、巨躯のイーゴンと会計係のヒエロニムスが居酒屋「のぶ」を訪れる。

●居酒屋「のぶ」を訪れた〈四翼の獅子〉亭の料理長・大リュービクが、信之の料理を食べ、「古都らしい料理ではない」と言われる。

●〈四翼の獅子〉亭副料理長・小リュービクは、信じるべきものが自らの舌だと気づく。帝国全土へと招待状が配られる〈晩餐会〉に向けて、ハンスを厨房のサポートとして準備を進める。

●ロンバウトの父・ウィレム手引きで〈晩餐会〉が大々的に開かれる。帝国南部の豪商ゼーゼマン商会や、大公国のバクーニン商会など、数々の承認、銀行家、聖職者、貴族が集まった。〈獅子の四十八皿〉の仕掛けなどで、「古都が交易の中心になる」とアピールした。


■6巻 2年目冬

●アルヌが、銀行家ザムゾン・シルバーマンに鯖の塩焼きを食べさせることで、古都に新たな運河を通す“未来”を理解させ、融資を取り付ける

●水運ギルドのラインホルトが造船所の建築を始める

●北方の国からオーサ姫と〈槍〉のウルスラが古都へやってくる。結婚の前祝いを〈四翼の獅子〉亭に頼むが、それが「略奪婚」だった。

●略奪婚のためにグロッフェン男爵バルタザール率いる河賊が集まっていた。禍中にいるオーサ姫を救うため、侯爵アルヌは兵を率いて〈四翼の獅子〉亭へ突入する。

●略奪婚の首謀者は、アルヌを略奪せんとするオーサ姫だった。〈銀の虹〉の姫君との一騎打ちの末、アルヌはオーサ姫と結ばれる

●ラインホルトが大金を支払い、以前ゴドハルトに渡した運河漁業権の勅許状を買い戻す。


■7巻 2年目冬~3年目春

古都に新たな運河を開削する、という計画は広まり、労働者が集まっていた。侯爵アルヌを中心に、市参事会、水運ギルドなど多くの人々が関わる大事業となっていた。
 それゆえに、河川通行税で利益を得ていた河賊やそれらをまとめる貴族は面白く思っていないようで……。


 特に名産もない、帝国の鄙びた古都……と思われていたけれど、人々の思いによって、様々な人々が集まってきており、様々な物流の拠点となる可能性が出てきているのです。

 居酒屋「のぶ」の中だけに留まらない、異世界の異文化交流や街の発展が描かれていきます。これがシリーズの魅力でもあります。

 街の変化に注目しつつ、読み返してみるのも面白いかもしれません。

『異世界居酒屋「のぶ」七杯目』好評発売中!



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