新卒でコピーライターになった Y子さんにインタビュー
記者 より
今回は、コピーライターとして働くY子さんにインタビューをさせていただきました!
Y子さんは、広告を総合制作する会社のコピーライターとして新卒で就職。
入社当初からプロジェクトチームに参加し、現在も活躍の場を広げています。
来年の4月で3年目をむかえ、忙しい毎日を送っているY子さん。
コピーライターの仕事をしていく中で、スキルアップには近道はないことや、組織にいるからこそのメリットなど、ライターを目指す人にとって興味深いお話をY子さんから聞くことができました。
未経験からライターを目指し学び始めて見たものの、
「実際に働く自分がイメージしにくい」「本当に仕事としてやっていけるかな?」
そんな不安を持つチャレンジ中のライターさんに、ぜひ読んでいただきたいです!
1 “言葉の仕事” に魅力を感じたから
___数ある職業の中で、なぜコピーライターになろうと決意したんですか?
実は、大学ではずっとグラフィックの勉強をしていました。
最初はデザインが好きで入ったし、周りの子もグラフィックデザイナーなどデザイン職を目指している人が多かったんです。
そんな中で私は、広告を学ぶゼミをとっていました。ゼミの中で、広告として企画を考えたとき、手を動かして何か作るっていうよりかは、言葉から入ってアイディア出ししたり、言葉で企画していったりする方が楽しいなと感じるようになっていったんです。
就職活動はグラフィックデザイナーで受けていたんですが、やっぱり“言葉から企画を考える仕事”の方がやりたいなと思い、コピーライターを募集している会社も受けることに。
でも実際は、デザインよりコピーライターを募集する企業の方が少なかったので、入れたら良いなという気持ちで、手当たり次第に応募していた感じです。
先生には「せっかく4年間デザインを学んできたのに勿体ない」と言われました。
___周りにもコピーライターを目指す人はいなかったんでしょうか?
私みたいにデザイン学科からコピーライターを目指す人はいなかったですね。そういう人はコピーライターを目指す養成学校に入ったり、文系の文学学科や英文学科の人が目指したりしてました。
だから、私はわからない中でやっていたし、デザイン学科で学んだことしか活かせないけど、活かせることもきっとあるだろうと思いながら進めていましたね。
___不安にはならなかったんですか?私なら不安になっちゃいそうです…
それは不安でしたね。受けても受けても採用までたどり着けなかった。とにかく地獄でした。
ポートフォリオは、授業でやったデザインや自分で好きに作ったデザインで、企画のときに案出しした言葉などは載せてはいたけど、コピー専門のポートフォリオではなかった。一緒に面接を受けていた隣の男子学生は、コピーライター養成所に行っていたみたいで、コピーだけのポートフォリオを持ってきていたし……。
今いる会社は、心からやりたいと思える「広告のコピーを考える」会社で、唯一自分の理想に近かったんです。なんとか最終面接まで進むことができて。面接の対応もすごい良いなと、自分の働く意欲や性格と合うなと感じて。それでなんとか就職することができた。ご縁があって本当に良かったなって思っています。
2 いろんな経験を積む1年目
___入社当初は未経験同然だと思うんですが、研修期間などはあったんでしょうか?
1年目はトレーナーの先輩との仕事が多く、2年目からはひとりでやる仕事や別の先輩コピーライターとの仕事も増えていきました。
私の会社は、代理店とやっていく大きな仕事もあれば、折り込みのチラシなど小さな仕事もあって、広告全般をやる会社なんです。仕事の大小はあるけど、いろいろと1年目からやらせてもらっていましたね。
1年目だからこの仕事ってことはなく、とにかくこなしていく。担当というよりかは、1つの案件をチームで進めていく感じです。なので、入社して6月辺りからは3案件同時並行していました。もちろん1年目だから、やれることは限られていましたけど。
専任のトレーナーが私についているんですが、そのトレーナーはコピーディレクターで、私はいちコピーライターとして関わっていました。
___コピーディレクターとは?
コピーディレクターとは、コピー全般を統括する人のことです。
ディレクターが最初にコピーの方向性をざっくり決めた後、私みたいなコピーライターがコピーを考えます。
その考えたコピー案をディレクターに集約させて、「このコピーは良いね」とか「このコピーはもう少し違う考え方もできるんじゃない?」とか、ディレクターが良いコピーを選んだりアドバイスしたりしながら進めていきます。
3 大切なことは市場調査
___初めての仕事は覚えていますか?
覚えてますね。最初の仕事は、某コーヒーショップの家庭用コーヒー豆の店頭ポップでしたね。
ある高級スーパーのコーヒーコーナーで家庭用コーヒー豆を販売するために、店頭ポップのキャッチコピーを考える仕事。これは年間通しての企画なんですが、実は今もずっと担当しています。
事前にテーマが書かれたオリエンシートをもらって、指定されたキーワードをもとに作るんですけど、それが難しい。ブランド独自のキーワードがあって、ブランドらしさを軸にしながら考えていくんです。
___始めに、リサーチみたいなことはするんですか?
最初は、ディレクターの人といちばん大きなスーパーに行って市場調査をしました。
某コーヒーショップはおしゃれなイメージだけど、スーパーに来て実際に手に取る人は普通の主婦が多い。
そういう人に買ってもらうためのキャッチコピーってなんだろうね?みたいにターゲットを考えていく。どういうタイプの人にはどういう言葉にした方が「おいしそう」「飲んでみたいな」って買ってもらえるのか。
___そういうリサーチは店舗にアポイントは取るんですか?
これはアポイントは取ってないですね。スーパーに行って周りやお客さんを見て、どんな人がどんなものを買っているか?そういう考えるところから始めました。
___仕事依頼を受けたら店舗リサーチするという流れなんですね。
もちろん、がっつりリサーチャーを頼んでするみたいなこともあるけど、それは代理店がやったりすることが多い。私達はあくまでも制作会社なので個人でやれることをやります。
だから各自店頭行って見ることもありますしね。
4 “追いつくために” から “こうしたい” へ変化
___今までで印象深く残っている仕事は?
1年目の秋に初めてひとりで動かした、ショッピングモール会社の広告の仕事は印象深いですね。
モール内に貼られる広告物と新聞の折り込みチラシを、年間通してメインコピーライターとして担当してもらいたいと言われて。春夏秋冬それぞれの季節に合わせたツールを作るんです。
ディレクターもついていたんですが、あくまでも確認作業、チェックするだけ。
コピーを書くのも、得意先に出向いてコンセプトや提案してほしい課題の説明を聞いたり打ち合わせしたり、いわゆるオリエンに行くのも私の仕事。もちろんデザイナーを一緒に連れて行くけど、初めてひとりで動かす仕事を1年間ずっとやらせてもらったのは思い出深いですね。
___1年目ですごい!
でも、やっぱり最初はわからないことが多くて、デザイナーにもディレクターにも迷惑をかけていました。
1年間根気良くやって、だんだん慣れていったんです。
これまでは追いつくためにやっていた感じでしたけど、ライターとしてこうしたい、やりたいことをやっていける流れになってきたのはこの仕事からが大きいですね。
___一連の流れを学べたのが大きかったんですね。
そうですね。いろんなツールも多かったので、例えばチラシの人にはこれが伝わりやすいとか、店内ポップだったら一瞬しか見ないからこの方が良いとか、そういうことも学べましたね。
5 消費者の反応も身近な人の反応も私を動かすエネルギー
___うれしい瞬間ってどんなときですか?
それこそ、今やっている鉄道会社の広告の仕事で反応があったときはうれしかったですね!
電車の中吊り広告なんですが、Twitterとかで「○○○(鉄道会社名)がおもしろいことやってる!」って、コメントを見るとうれしい。
ちゃんと見てもらって、写真を撮るまでの行動を起こせたんだ!
___つまり、人の気持ちを動かしたってことですもんね!
あとは、身近な人の言葉もうれしいです。
取引先の人が「今回のデザインチームよかったです。今後も一緒にやって行けたらいいですね。」と言ってくれると、次の仕事に繋げることができたんだと思える。
一緒に仕事をしている、いちばん近い存在の先輩や上司に私のコピーを「これおもしろいじゃん!」っておもしろがってくれるだけでうれしい。いちばん身近な喜びですね。
6 特別なことより普通の感覚を
___Y子さんが考えるコピーライターに必要な要素とは?
コピーライターとして必要なのは、「普通の人がどういう感覚で広告を見ているか?」ってことをどれだけ考えられるかだと思います。
たとえば、コピーを考えるとき。
いろんな方向でいろんな視点でやっていくけど、最終的にそれをどんどん削ぎ落としていく。いちばんシンプルで伝わりやすい言葉や、シンプルすぎてもダメだから一般の人が「ん?」って興味を持ってもらえるような言葉にする。
ライターやグラフィックってデザイン系の特殊な仕事だけど、個性を出した方がいいとか尖がった表現をした方がいいとか、そういうことは全くなくて。
とにかく、
「いちばん普通の消費者の目線で感じることを言葉にできるかどうか」
「普通の人の気持ちをどれだけ理解できるか」
これが、いちばん大切かなって思っています。
もちろん仕事だから、得意先の人の意見を踏まえてやらなきゃいけない。だから難しいところもあるけど、その商品を買ってもらう、好きになってもらうことがいちばん大切。見る人はどういう目で見るのかな、普通の人の気持ちが大切って思うようになってきたかな。
___なるほど。すごいですね〜!勉強になります!
でも、それがいちばん難しいんです。
当たり前のことを当たり前にやるみたいなことだから。
___たとえば、その普通の感覚を研ぎすますために日常でやっていることってありますか?
SNS、クチコミ、をよく見るかな。
一般の人の本当の素直な気持ちはどんな感じなのかな?を意識します。
雑誌のキャッチコピーも結構ぶっ飛んだものもあるからおもしろいんだけど、それよりかは一般の人のクチコミやSNSの方を重視しています。
___具体的にはどんな物を見るんですか?
InstagramやTwitterですね。ハッシュタグで検索して見たり、あとはAmazonのレビューを見たり。本当に普通の人が一般的に使うツールを結構見ることが多いです。
7 今はとにかくコピーライターを極めたい!
___それでは最後に、Y子さんの目指す将来像を教えてください。
とにかくコピーライターとして消費者に届くコピーを書きたいです。
ゆくゆくはディレクターになっていろいろやりたいっていうよりかは、とりあえず今はいちコピーライターとして何ができるか。
言葉でもグラフィックでも、この案件をどうおもしろくできるかをちゃんと考えられるライターになりたいと思っています。
動画やCMの企画も考えられるライターになりたい。
マルチにできることに越したことはない。コピーライターとしてのライタースキルも上げながら、企画全体のことも考えられる頭も育てていきたいですね。
編集後記
ライターを目指す経緯が周りと比べてイレギュラーだったこともあり、就職活動は決して平坦なものではなかったY子さん。
ライターは時に校正のお仕事もあるとのこと。
品名や価格に間違いはないか?表現は適切か?などの文字を確認する以外にも、消費者が使うときに必要な情報は足りているか?のような、数をこなして身につけて覚える仕事もあり、神経を使うそうです。
文字に責任を持つ仕事。
それがコピーライターなんだと感じました。
入社前から「うちの会社はスキルアップにはいちばん良い会社だと思うよ。」
先輩からも常にいろんなアドバイスをもらえることは、喜びでもあり良い環境だとY子さんは言います。
大きい会社にいるからこそ、1年目でもとにかくいろんな仕事をやらせてもらえる。
広告の総合制作会社だからこそ、広告のあらゆる媒体を学べる。
こんなことが企業に所属するメリットなのかもしれませんね。
逆境を乗り越えて夢を掴んでもなお、まだまだスタート地点に立っただけと、人一倍努力し目標に向かって進化し続けるY子さんの姿勢は、どんな世代にもパワーを与えてくれました。
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