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【概念】ジョブ・クラフティング④~前提と効果の関係性~

ジョブ・クラフティングの概念の理解シリーズ第4弾です。
前回は、ジョブ・クラフティングの3つのアプローチについて説明してきました。
3つのアプローチについては、以下の記事をご参考にしてください。

今回は、ジョブ・クラフティングがもたらす効果について説明していく。

いきなりだが、こちらの図をご覧いただきたい。

こちらは、Wrzesniewski & Dutton(2001)が提唱しているモデルであり、ジョブ・クラフティングを実践するための前提となるニーズと実践がもたらす効果の関係を表している。

図の左にあるように、ジョブ・クラフティングを実践するためにはまず、モチベーションが必要となる。ジョブ・クラフティングは主体的な実践であることから、個人のモチベーションが前提となることはイメージがつくと思う。

モチベーション

【仕事のコントロールと仕事の意味へのニーズ】とは、人間は何かをコントロールしたいとする欲求を持つことを前提にしている。
みなさんは、仕事をしている時、「自分の思うままに業務をこなしたい!」と思ったことはあるだろうか?そのような思いが仕事のコントロールへのニーズである。また、仕事の意味へのニーズは、仕事を自分にとって意味あるものにしたいとする欲求のことを指す。

【肯定的な自己イメージへのニーズ】とは、自己を肯定したい、他者から肯定されたいとする欲求である。
みなさんは、「自分のことが好き、または好きになりたい!」「他者から認められたい!」と思ったことはあるだろうか?そのような思いが肯定的な自己イメージへのニーズである。
Wrzesniewski & Dutton(2001)は、「人々が就いている仕事が、このような自己の肯定的な構築を困難にしている場合、その状況を改善しようとする動機を持つ」と述べている。
つまり、自己のイメージや他者からのイメージが低い仕事に就いている人ほど、このような欲求が生まれると言われている。

【他者との人間的なつながりへのニーズ】とは、他者とのつながりを築こうとする欲求である。人は、自分の仕事の意味を再構築するために、職場で他者との関係性を築こうとすると言われている。
みなさんは、「仕事の人間関係を良くしたい!」と思ったことはあるだろうか?アドラーは人生の悩みのほとんどは人間関係というように、人間関係で悩んだことはあるのではないだろうか?
そのような欲求が、他者との人間的なつながりへのニーズである。これはあくまでネガティブな人間関係から生まれる欲求とは限らず、職場で他職種と関係性を築くことで、仕事に対する見方が広がることも含んでいる。

以上3つのニーズは、満たされていない職場にいればいるほど欲求が高まるとされている。

これらのニーズを前提として、3つのジョブ・クラフティングを実践する。
その結果、仕事のデザインが変化する、または仕事における社会的環境が変化する。そして、最終的に仕事の意味に変化をもたらしたり、仕事のアイデンティティに変化をもたらすとされている。

仕事の意味の変化、ワーク・アイデンティティの変化が生じた後は、再度ジョブ・クラフティングの動機が高まる。一度変化することができれば、それが成功体験にもなり、新たな欲求が生まれることが想像できる。

このような、好循環によって仕事に対する主体性が生まれ、やりがいを感じるようになる。

説明が長くなったが、以上がジョブ・クラフティングの前提と実践と効果の関係性である。
難しい内容ではあるが、できるだけかみ砕いて理解しやすいように説明している。
私もまだ理解途中であるため、わからないことや質問があれば、お気軽にコメントをしていただきたい。

みなさんもまずは3つのニーズに目を向け、何が満たされていなくて、どんな欲求を持っているのか、自分自身と向き合いながら、潜在的なニーズに気付くことから始めてみてはいかがだろうか。

もしもわかりやすい、勉強になったと感じていただけたら、「スキ」または「フォロー」をしていただけると幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。

参考文献
・高尾 義明,森永 雄太(2023).ジョブ・クラフティングー仕事の自律的創造に向けた理論的・実践的アプローチ.白桃書房
・Wrzesniewski, A. & J. E. Dutton (2001).Crafting a Job: Revisioning Employees as Active Crafters of Their Work.Academy of Management Review. 26(2): 179-201.



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