コロナ禍で投資を始めた人へ
私たちは普段、「代り映えのない」「単調な毎日」を繰り返しているだけ、と思っています。
例えば最寄り駅に行く際に、大通りに出たらほぼ毎回ファミマがある交差点を右に曲がる。これが日常だとすれば、
なぜかその日だけは遠回りになる商店街の中を歩いて、そのとき偶然、書店で投資信託のムック本を見つけて、普段ならそんなモノ手に取らないのに、たまたま手に取って・・・という風に「ワタシは投資と出会ったんです」という人を、私は知っています。
投資と出会う「きっかけ」は実にさまざまです。
・ボーナスが出たから
・友人に勧められたから
・本を読んだから
・マネーセミナーを受講したから
・コロナ禍に遭遇したから
ここ最近で、最も大きな要因となったのが「コロナ禍に遭遇し・投資に興味を持ち始めた」というケースでしょう。
私は資産運用の相談業を営んでいますが、新型コロナウイルスが蔓延すれば、誰も投資になど興味を持たなくなり、マーケットは低迷し続けるだろうと思っていました(そして、私の予想は見事に外れることになります)。
コロナ禍は、友だちと遊んだり、職場の同僚と時を過ごすという「日常」を奪った張本人です。誰にとってもまさに不意打ちの出来事でした。
職場から遮断され、友人、親族とも会えなくなり、多くの若者が「ぽっかり空いた時間」と「閉ざされた空間」という、ミスマッチな状態に置かれます。
実は新型コロナウイルスが蔓延した2020年から22年にかけて、多くの人が、
・投資 初心者
・証券会社 おすすめ
・イデコ メリット
などとネット検索していたことが各種データによって裏付けられています。
パンデミックによって、意外にも「お金回りのこと」を気にし始めたわけです(その頃から、大手ネット証券で20代、30代の新規口座開設が急増します)。
それと同時に、投資ビギナーはYouTube動画に殺到しました。投資を始めるにはまず、何に投資するかを決めなければならないためです。
無料で、しかも短時間で、要点をピンポイントで解説してくれる動画コンテンツは、投資の分野で瞬く間に広まりました。
誰もが手軽に投資信託のことや、積立投資のしかたを学べるようになったのは画期的といえるでしょう。しかしその一方、投資のリスクについて、その内容が十分に伝わっていなかったり、即物的な効果を(投資に)求める人が増えたのもまた事実ではないでしょうか。
―即物的な効果とは?―
すぐに結果を求める消費者マインドのこと。
上記、決して否定的に言っているわけではありません。たとえば鎌倉に行ってしらす丼を食べれば、その味をすぐに確かめたいはず。新しいドライヤーを使えば、その効果が即確認できます。3泊4日のベトナム旅行に行けば、良かったか否かはすぐに分かります。
お金を払って何かを買えば(消費者感覚として)その効用はすぐに確認できると期待します。ところが、投資と呼ばれる行為は、効果がすぐには表れないのです。
意を決して100万円分の投資信託を購入しても、それは時間差なしに150万円になったりはしません(逆に意を決して買ったのに、80万円に減ったりすることもあります)。
「コロナ禍が始まってから積立投資をしているけれど、ワタシは順調に利益が出ていますよ」という人もいることでしょう。確かにこの4年ほど株式市場は好調で、収益がプラスという人は多いと思います。
しかし、わずか4年程度の時間のことです。
まだコト(投資)は始まったばかり。
誤解を恐れずに言えば、(投資という行いの)本当の効き目は微塵も出ていません。だいいち、まだマーケットの本格調整という洗礼を受けてはいません。
投資は、日常生活から乖離した、いっぷう変わった行いなのです。なぜなら、投資とは超「時間差行為」と云えるためです。
今、ひよっ子。・・・・・・・時間・・・・・・・ 20年後?
↑
投資を始める ・・・・・・・・・・・・・ 資産が育つ
「えっ、20年も?」と思われる人もいるでしょう。お気持ちは分かります。しかし、投資 = 時間差行為と捉えれば、時間の「差」が大きければ大きいほど、投資の実りは大きくなるわけです。
これは単純かつ大切な法則です。一般に長期投資の「長期」は10年を指しますが、人生時間に照らし合わせると「20年」がよりふさわしい時間の帯だと思います。
注意点としては、特定の株式を選び、それを20年持つのではなく、A会社もB会社もC会社も、数多の株式会社の集合体である「市場」を持ち続けるという考え方です。
個々の会社の成長の度合いは、それが長期になればなるほど分からない。「だから人の営みの集合体であるマーケットの成長に(なるだけ長く)お金を置いておこう」という考え方です。
この感覚に慣れるのは決して簡単ではありません。ですので投資は一筋縄ではいかないのです。
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