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未経験には墓跡に名前を掘ってほしくない

Eテレをつけっぱなしにしていたら、デーモン閣下がでてきた。

小学校高学年向きの番組だったけど、はじめてデーモン閣下と対面した娘は、閣下に申し訳なくなるくらい、泣いた。

わたしがデーモン閣下が悪者でないと理解できたのは15歳くらいだった気がする。泣くのも仕方ない。

人は見かけによらない、というのはよくあることだけど、そういうのはたいてい、優しそうな人が怒るとすごくコワイとか、誠実そうに見えてめちゃくちゃ女好きとかで、わりと想定内であることが多い。

友達がTinderで婚活をしていて、ひとりのイケメンくんとマッチングし、ふたりで食事に行くことになった。イケメンのプロフィールには「彫刻家」と書かれていて、アーティスティックな友達のツボにハマったらしい。
後日、その友達と飲みに行くことになって、わたしはそのイケメン彫刻家の話に期待していた。

店について、友達は注文するより前に、
「ソイツ、墓跡掘りだった」、と言った。

墓跡掘りってよく分からないけど、聞くと墓跡に名前とかを掘ったりする職業らしい。
『墓跡掘り』と検索すると、求人サイトがでてきて、「墓跡の彫刻業務、未経験歓迎!」とでてきた。

「自分が死んだとき、未経験には墓跡に名前を掘って欲しくないよね」とわたしが言うと、
「未経験はまず修行とかするんでしょ、たぶん」と、友人がハイペースで梅酒を飲みながら真顔で言った。

友人は、イケメン墓跡掘りくんと何度か飲みに行ったみたいだったけど、そのうち会わなくなってしまっていた。墓跡掘りくんが気になってたわたしはちょっとがっかりした。

Tinderには、「墓跡掘り」って書いたほうがイイよって伝えたかった。イケメンの墓跡掘りは見かけによらない感が、スゴイ。


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