タラちゃんに嫌われたくなくて、 馬も人間も、

タラちゃんと暮らし始めてほぼ12年。 何代目かの前のオーナーからアビューズを受けて、トラウマのあるタラちゃんは、人に心を開くのに少し時間が掛かりました。 (結構)
さて、16歳になったタラちゃんと、仕事が忙しいとかまけていたかねちゃんの間でここ数年不具合が起こりました。

運動不足のタラちゃんがコーリック、言わゆる腸捻転を2年続けて起こしたことです。 
馬にとって腸捻転は命取りです。

自分の癌との闘病生活と、その後の仕事の状態の復活作業等でタラちゃんに余り構っている時間が有りませんでした。

まだコマンドは覚えてる。
かねちゃんの言う事を聞く姿勢は40パーセント。
ムチで叩きたくない!
痛い程も叩かないけど やっぱりなるべくなら叩きたくない!

舐められる。

やらない。

右回りはなんの問題も無くやってくれるのに、左回りをやってくれない。

バーブルコマンドで殆ど何でもやってくれるタラちゃんが、左回りをやってくれない。

何日か右回りだけで 運動を終わらせる。

満足感は35パーセント。

でもやらないよりはマシと言うしかない。

何度もその様な運動を繰り返しながら思った。

苦手を克服しないと、また何か不具合はやってくる。

体のアンバランスが起こす腸捻転や、柔軟性の効かないための怪我等。

心を鬼にして、

太めの麻のロープを振り回す。

でもやっぱり左回りはやらない。

もう一度心を鬼にして、おしりに当てる。

それでも弱すぎて動かない!

気合いを入れて、合図をした後、最後のエネルギーを振り絞って麻のロープを振り回し、
お尻を叩く! もう一度叩く。

回った!

案の定、下手くそ!

何度も回り切れないで、っっかかる。

へたくそながら 懸命に早足から、駆け足まで出来た。

自分が可愛くて、

嫌われたくなくて、

勝手に納得して、

理由付けして、

中途半端で、

何とか満足させようとする、罪な指導は ゼロに等しい。

その後に、本当の喜びはやって来ない。
昔ドラッグを学校でやってしまった女の子の母親が仕事でいなかった時、かねちゃんが学校に呼び出された事がある。
彼女は美しく、若い。
お巡りさんは馬鹿みたいにまるっぽ嘘だと分かるような話を、信じる素振りをして、説得したつもりの
茶番を見せた。
大人なんかちょろいと思われた事はかねちゃんには手に取るようにわかった。
マジで緩い説得は、誰の為にもならないし。
その人は馬鹿にされるだけで、リスペクト等される訳も無いのだ。

さぁ、明日から、また練習だね。

タラちゃん!

愛しているからこそ、強く厳しくしなければ行けない瞬間が有る。

瞬間で有ればある程、それは嫌悪を育まない。

繰り返しのあやふやや、
終わりの無い小言のような不満から、 本当のリスペクトと幸せは来ないと実感した。
タラちゃんと、かねちゃんは今日、とっても幸せだった。

皆にも幸せになって欲しい。



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