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【読書感想文】『ととのはたけと、うたれちゃったしか』

 こんにちは。今日は家事の合間にテレビ(アマプラ)を観たり、漫画を読んだり、本を読んだりしています。夏休みなもんで、インプットデーです。

 その中の一冊、2022年7月16日に発行された絵本

『ととのはたけと、うたれちゃったしか』

について少し感想を述べたいと思います。

 この本は左開きの絵本パートと、右開きのエッセイパートとの2つから成っている本で、絵本の方は上記のタイトル通りで、はたけやまなぎさんがその文章の作者です。

 表紙と挿絵は、ここnoteでも活躍されているはんこイラスト作家のharu_sanこと、白幡美晴さんの心温まるはんこイラストです(ここから先は「はるさん」と呼ばせていただきますね)。

 絵本の作者は、実ははるさんの甥御さんで、内容の方は、生き物と共にある暮らしの中の実感がこもった、濁りのない目を通して書かれたお話、という印象を持ちました。特に大きな展開やカタルシスがあるわけではないのですが、それがかえって「暮らし」を感じさせました。

 絵もお話に沿って描かれていて、おかげで言葉がすっと心に入ってきます。土や緑、空や水、植物や動物たちがとても美しく丁寧に描かれていて、少年のピュアな心に寄り添います。

帯を外してみました
裏表紙

 そして反対側の右から開くと、絵本の作者のはたけやまなぎさんのお祖父さん、畠山重篤さんのエッセイ「"生きもの好き"少年記」があります。結構まとまった長さがあって内容も読み応えがあり、これが本当に素晴らしかったです。

 昔、子供の頃に心を躍らせて読んだ『シートン動物記』や『ファーブル昆虫記』を髣髴させるような、生き生きとした生き物の観察記になっていて、読んでいてとてもワクワクしました(山歩きの中の動物の糞の話とかは、ちょっと『ゴールデンカムイ』も思い出すかも)。

 犬やウサギを育てる話も良かったけれども、私は特に野生の鳥を飼うシーンに惹きつけられました。読んでいて、映画『ケス』で、主人公の少年が、拾ってきたハヤブサを育てるシーンが思い出されました。

 あとはなんと言っても釣りの話。これを読んでいて「釣りに行きたい!」とムズムズしない人はいないのではないか!……と一瞬思いましたが、それは言い過ぎだったかもしれません(そんな、面白いように本当に釣れる?ってつい思っちゃって……)。

 全体を通して読んで、改めて思うのは、海と森は繋がっているんだな、ということ。そして、本当に体験したことというのはこんなにも力強い文になって現れるんだな、と思いました(畠山重篤さんの文章が特別に面白いのかもしれません、同じ体験しても私ではこうは書けないでしょうから)。

 最後に。これはぜひ、生き物好きのジナーンにも読ませたいと思います。

帯の後ろ

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