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【一級建築士】作図スピードが上がらないワケは、つまり・・・?

こんにちは、かねっつです。

ココナラでは、一級建築士設計製図の添削を始めました!

本日もnoteをご覧いただきありがとうございます!

『先生!!作図が速くならなんです!!!!(汗)』

私が講師をやっていて毎年必ず担当受講生さんから聞かれる相談のひとつです。とくに初受験者の方や、日頃鉄筋コンクリート造に触れていない(描き慣れていない)人が多い悩みかと思います。
ですが、この悩みの原因は明確に分かっていて、自分自身が気づいていないだけです。

今回は、なぜ作図スピードが速くならないのか?どうしたら1秒でも速く作図スピードが速くなるかを、私なりにまとめたいと思います。

※この無料記事を読み終えるのに、約16分かかります。


■あなたはいくつ当てはまる?作図スピードが遅いとは?

私が一級建築士受講生だった時代と、これまで講師として担当させていただいた受講生さんの様子から、私が思いつく作図スピードが遅くなる原因を大きく分けて5つにまとめてみました。

□作図手順が確立していない(あやふや)

□作図時にエスキス用紙を見ながら作図している

□シャーペンを持ち替えている回数が多い

パーツ練習不足

□そもそも作図練習不足。そして、時間配分を意識していない

皆さん、いくつ当てはまりましたか?
1つでもチェックが入っている人は、作図スピードが遅くなっている原因です。中には「え?そんなものが原因なの?」と思う項目もあると思いますが塵も積もればです。たった1分のタイムロスが、合否を大きく分けると言っても過言ではありません。

■少しでも作図を速くするためには

これらの原因は、少し工夫をすることで解決することができます。前述してみたチェックリストの解決方法をお伝えします。

1.作図手順が確立していない(あやふや)

資格学校によって作図手順が違うため、一概に『これ』という作図手順はありませんが、受講生さんであれば通学している資格学校が教えている手順を完璧にマスターすることが大事です。各資格学校さんは、これまでの試験内容や受講生のアンケートを基に、描きやすい手順を構築し毎年更新しています。初めて受講される方は、まず資格学校が教える手順を素直に受け入れることが合格への近道です。
対して、既受験者さんは自分の中で作図しやすい手順を、ある程度確立していると思います。それでも自分にしっくりこない場合は、担当講師や同じ受講生教室の受講生さんと相談したり、X(旧Twitter)などSNSを利用して同志たちと情報共有しすると、いろんな意見を取り入れるとよいです。少しギャンブルな方法かもしれませんが、初心に戻って資格学校の作図手順を1からやってみるのも十分ありです。

いずれにしても、ベースは通学されている資格学校が教える作図手順を習得することです。そして作図に慣れてきたら少しアレンジを加える※など試行錯誤してみましょう。

※アレンジを加えるというのは、ベースの作図手順における段階を変えたりする。例えば、文字だけを一気に描き終えることをやめて、室ごとに文字と什器を一気に仕上げるなど、あくまでも資格学校の作図手順はそのままで一工夫してみるという感じです。

完全独学の方は、YouTubeを参考してみるとよいです。最近では資格学校のみならず、現役一級建築士の人も2時間以内の作図手順をノンカットで投稿しています(中には、資格学校の手順そのままで作図している人も…)。

まずは見よう見真似で何枚か作図して、やりづらいところは修正していく…というやり方がオススメです。

2.作図時にエスキス用紙を見ながら作図している

思い当たる節がある方は、絶対に無くすべきです。
初受験者、既受験者限らず、壁や開口部(建具や窓)を描くときに自分のエスキスが頭に入っていなかったり、自分のエスキスを仮線で作図用紙に転記する作業(以下、エスキス写し)が薄い線だと、エスキス用紙をじっくり見てしまう傾向が多いです。これを解決するためには、エスキス写しを少し濃いめに転記することが重要になります。
エスキス写しが終わったら、エスキス用紙はもう見ません。ただひたすら壁・開口部を作図をするのみです。これだけでタイムは約15分縮まります。

3.シャーペンを持ち替えている回数が多い

まず先に、試験においては0.5と0.7のシャーペンがあれば問題ありません。
問題は、どのタイミングで使い分ける(持ち替える)のかが重要です。

私のやり方で一例を挙げてみます。
まず最初に作図する通り芯→面積表→柱・躯体の線までは、0.7のシャープペンシルしか使いません。断面図作図で文字や寸法値に入るとき、ここで初めて0.5に持ち替えます。まずこれが1回目です。
断面図が終了したら、再び0.7に持ち替えて法令関係の作図に入ります。これで2回目です。このパートで0.7の役目は終了し、文字〜什器、寸法値に入る段階で0.5に持ち替えます。
この流れで持ち替えるのは、たった3回だけです。原因の①で記述した、作図手順があやふやだと、持ち替える頻度が多くなります。
筆記用具の持ち替えというのは意外とタイムロスになってしまいがちです。もちろん、シャーペンを持ち替えるということは、持ち替える前のシャーペンを探すという手間も増えるわけなので、相当なタイムロスに繋がります。
少し余談ですが、消しゴムを使ったり、消しカスを取り払うためにブラシに持ち替えたりすると余計に遅くなります。消しゴムは極力使わないことは勿論ですが、シャーペンの持ち替えは極力少なくすることが、作図スピードを上げる秘策のひとつです。

▲作図の段階はあくまで一例。
各々が描きやすくシャーペンを頻繁に持ち替えない手順を確立することが大事

4.パーツ練習不足

私が思うに1番重要な原因だと考えています。パーツというのは、『階段の描き方』『トイレのレイアウト』などを総称して、【ある程度の】基本のカタチが決まってるものを指しています。【ある程度の】というのは、自分の決めた柱スパンや階高などによって変わってくるパーツもあるため、その都度柔軟に対応していく必要があります。

少し具体例を挙げます。
利用者用階段(バリアフリー対応)を計画するとき、1番オーソドックスなのは、7m×4mで計画した階段です。この階段は、階高が4mであれば段数が26必要となる階段で1番作図しやすい大きさの階段です。これがいわゆる基本のカタチが決まってるものです。
ではこの階段の大きさはそのままだとして、階高が4mから4.3mになったとします。すると、26段では段数が足りず、不整合になってしまいます。その時の対応として、踊り場に1段追加して28段にする対応が必要になります。
また他にも、柱スパンが7mから6mに変わり、7m×4mの階段が計画できなくなった場合、安易に踏面を狭くしたり、蹴上を上げることは好ましくないため、折り返し部分に2段踏面を追加したり、1.5回転にするなどで対応していきます。

このように、基本のカタチだけでは対応が難しい場合、何か一手間加えて臨機応変に対応していく必要があります。そのためにも、【ある程度の】基本のカタチをマスターしていく必要があるのです。算数の問題やスポーツと一緒で、基本ができていないと応用問題が解けないのと同じです。

資格学校に通っている受講生さんは、学校からのテキストに各部パーツの資料集が掲載されています。また学校によっては、電車内でも使いやすいようにコンパクトになっているパーツ練習帳のような教材もあります。それらを活用して、フリーハンドでも良いので感覚を掴んでみてください。パーツ練習帳がない場合は、5mm方眼紙が印字されているA4サイズのものを印刷して活用してみてください。
ここで注意点なのは、パーツ練習は、必ずスケール感を持って練習することです。パーツ練習はスケッチではありません。目的は、作図のときに手が止まらないように、基本のカタチを手に覚えさせることが目的です。フリーハンドで十分ですが、マス目も意識して少しでも本試験の作図に近い状況で6mや7mスパンの中で練習してください。特にトイレのレイアウトは、スパンによって便器の配置が大きく変わったり、バリアフリーWCの計画を変えていくなど、とても重要な練習になってきます。使いづらい便器の配置であれば印象度として減点になることもあります。必ずスケール感を持った練習にしてください。
独学の方は、市販で売られているテキストにはパーツ練習ができる教材が少ないので、試験元が公表していたり、過去問集を取りまとめているテキストを参考にして同じように練習してみると良いです。教材はAmazonでも購入すことができます。

パーツ練習のコツや、私が作成したオリジナルの練習教材は、別の販売noteで後日投稿予定です。そちらの投稿もお楽しみに…!

↓各パーツ練習の記事は下記からチェックしてみてください!

(Coming Soon・・・)

5.そもそも作図練習不足。そして、時間配分を意識していない


【自己学習を制する者は、本試験を制す!!】

私が今、咄嗟に創り出した言葉ですが、一級建築士に限らず合格するためには、この言葉通りだと思います。どれだけ学校で習ったとしても、自分で積み重ねて練習しない限り、自分の力にはなりません。
しかし、社会人となると勉強時間を確保するのも難しいのが現実です。その場合は、無理して時間を確保せず、段階ごとで切り上げる練習方法がオススメです。例えば、今日は『通り芯から壁、開口部』までのタイムアタック、次の日は『断面図から作図完成』までのタイムアタック…と自分で決めると無理なく練習できます。区切る段階は人それぞれだと思うので、どのタイミングで区切るか、試してみてください。

作図の練習時間も取れて、作図もたくさん出来ているのに作図スピードが上がらない人は、各段階の時間を意識していない傾向があります。

例えば、『エスキス写しを何分で終わらせるか?』自分で目標時間を立ててみましょう。仮にエスキス写しの目標時間を、20分に設定したとします。1回目は17分、2回目は15分、3回目は15分という結果になったとき、3回の平均は約15分です。そこから、目標時間を20分から17分に下げてみようと戦略を立てていきます。
資格学校に通っている方は、学校が定めている目標時間があります。正直言ってその時間は、『遅くても〇〇分』という時間設定です。ですから、講師の私としては、学校目標時間マイナス5分は狙ってほしいです。20分という目標時間というのは、言い換えれば学校が決めている【Ded Time】です。練習を積み重ね、慣れてきたらその時間を超えないように練習するのではなく、自分の【Ded Time】を超えないように練習しないと、いつまでも作図スピードを早めることはできません。
作図完了までの総時間、3時間以内(2時間30分以内)だけに捉われず、各段階ごとの時間配分にも注意してみると、いつもより約20分近く作図スピードが速くなります。

■作図は早いうちに描け

ことわざに、

【鉄は熱いうちに打て】
何事も時期を選ぶことがたいせつで、人間も純粋な気持ちを失わない、若いうちに鍛えるのが肝心であることをいう。

イミダス

ともあるように、何事も最初が肝心です。学校では、講義の回数が増えるごとに、作図よりも課題文の読み取りや、エスキスに時間を使うようにカリキュラムが立てられていますので、作図の練習というのは、講義が始まった前半にやっておかないと練習不足になってしまいます。
前述でもお伝えしていますが、社会人の方は特に時間確保が難しいです。上手く計画を立てて、早めに作図慣れをしておきましょう。


最後まで、ご覧いただきありがとうございました!

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