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春画の手足は美しい

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春画の手足をじっくりと見たことがあるだろうか?春画の手足は美しい。当時の絵師たちは手足にこの世の美しさを重ねて表現していた。そんな手足を紹介していきます。
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#江戸時代

春画の手足は美しい・其の三 -触れると同時に触れられる-

春画の手足は美しい・其の三 -触れると同時に触れられる-

春画の手足は一方通行ではない。一方が触れるとき、それは同時に触れられている。互いの関係が手足のつながりの中で脈打つように行き来する。

登場人物たちの関係や感情の動きは春画の手足にもっとも表れる。手足や指先を見れば、そこに動き続ける「物語」を感じる事が出来るだろう。

 上図:歌川国芳(1798~1861)「当世小紋帳」より|のけ反る女を引き寄せる男。この手足を中心に互いはバランスを取る。つながる

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春画の手足は美しい・其の二 -かかとを持つ手、持たれる足-

春画の手足は美しい・其の二 -かかとを持つ手、持たれる足-

現代ではみんな靴を履く。しかし昔は違う。江戸以前は男も女もだいたい裸足に草鞋、草履、下駄などを履いていた。つまり、足を見せる。だから、足を魅せる。和服から露出する部位は顔と手と足。この三種の神器を駆使し、己をアピールする。

足の持ち方一つ取っても、その所作には美意識が表れる。勿論、持たれる足にも。

上図:喜多川歌麿(1753頃~1806)「絵本小町引」より|さすが歌麿。とにかく絵の完成度が高い

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