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コロナをチャンスに変えた企業の取り組み実践集 ~スペイン風邪からの気づきの続編~

こんにちは、お金が入るでかねいりです。

以前noteの記事の中で「スペイン風邪から疑問に思った事⇒『新型コロナウイルスとスーパーマリオの関係』」というものを書かせて頂き、その中で「withコロナ期間は、通常では起こらなかった変化・起こせなかった変化を起こす事ができる期間」という事をお伝えしました。

今回は、その実践事例についてご紹介できればと思います。

緊急事態宣言中、オンラインを通じてではありましたが、30名ほどの経営者にお会いしました。それに加え、この環境下で経営者がどのようなことを行っているのかという情報取集を新聞・雑誌・ネットなどで注目をしていました。それらの中から、これはと思った実践例をお伝えできればと思います。


■ある清掃業の経営者のお話

清掃

その企業は、マンションなどの日常清掃を手掛けおり、従業員として、多くの高齢者のパート社員の方々が所属しています。

この新型コロナウイルスの状況と言えども、もちろんマンションに住む方々の生活は続きます。そうした背景もあり、取引先であるマンション管理会社からは継続的に仕事をおこなってほしいという依頼が来ていました。

しかしながら、仕事を継続するということは、従業員である高齢者の方々を感染のリスクにさらすことになります。非常に難しい判断です。

この経営者は悩みに悩んだ結果、こう決断したのでした。
それは「我々の仕事は、世の中の人々の生活のインフラを支える仕事である」という理由から運営を継続するということでした。
「生活のインフラを支える」ということは、医療やガス・電力の仕事と同様の役割を担っているということ。
自分たちの仕事はそれだけ社会にとって必要な重要な仕事をしているからこそ継続してサービスを提供していく必要があると考えたのです。
そのことを従業員に伝えたところ、従業員の方々の気持ちが前向きになり、より一生懸命働いてくれるようになったということでした。


■ある花屋のお話

花屋

緊急事態宣言があり、外出自粛で花を買いに来る人が減っている現状があります。一方で、そういった状況の中でも売れている花屋があります。

なぜ、その花屋は売れているのか?
まずその花屋では、男性に花が売れています。
どうやって売っているかというと「外出自粛になり、家にいる事が多くなり、奥さんと一緒にいる時間が増えましたよね。たまにケンカになることもあるかもしれない。そうしたときは、ぜひ奥さんにお花をプレゼントしてください。」と。

その話を聞き、私も実際に花を買って帰ってみました。
すると、妻は、ちょっと照れ臭そうでしたが、喜んでくれました。

そこで気づいた事がありました。
花を選ぶときに自然と妻の事を想像して、どんな花が喜ぶか考えている自分がいました。
また、渡したときに喜んでもらえただけではなく、その後、部屋に花が飾られることによって、部屋の雰囲気が和らぎ、明るくなりました。
そんな花の価値に気づくことができました。
裏を返せば、今まで気づいていなかったんです。

何が言いたいのかというと「私は何を買ったのか?」という事なんです。
私が買ったものは「花」ではなく、「妻が喜び、部屋の雰囲気が明るくなる事で、家族の関係が良くなる事」を買ったのであり、その事をその花屋さんが教えてくれたのです。
これが新型コロナでも売れる考え方なのだと感じました。


■ある温泉旅館の経営者のお話

温泉旅館

その旅館の経営者は、約15年前に先代の経営を引き継ぎました。
この経営者は、やさしく純粋な想いを持った方で、「地域でNo.1の旅館を目指す」というビジョンを持っていました。

一方、経営を引き継いでからの約10年は、小さな成功と大きな失敗を繰り返す非常に大変な時期でした。その中で、この経営者は、自分の想いが先行し過ぎて、従業員にその想いを押し付けていたことに気づきました。

そこから、自身の行動を変え、その行動を継続したところ、従業員が付いてきてくれるようになったのです。その後、旅館甲子園という旅館従業員の日本一を決める大会で優勝するまでに至りました。

しかしながら、その旅館も、緊急事態宣言となり、営業が停止となりました。そこで、この経営者は、何を考え、何を行ったのか?
「できる事を精一杯考え、そこに向けて全力を尽くそう」と考え、緊急事態宣言が明けて、お客さまがいらっしゃったときに、「この旅館はやっぱり違う」と思ってもらえるように接客のレベルをもう1段上のレベルに押し上げるようと考えました。そして、従業員とそのための接客方法を一緒に考え、それをもとにロールプレイングを繰り返し行いました。また営業面では、新たに物販をスタートさせました。地元の名産を活かしたお弁当などの販売を始めました。

その経営者は「新型コロナの最大リスクは、収束したときに、自分たちが何もかわらなかったことだ」と言っていたことが本当に印象的でした。


■日本電産の代表取締役CEOの永守さんのお話

小型モーターの製造メーカーとして、1代で1兆5000億円の企業をつくりあげた永守さん。

永守さんの経営ポリシーは「猛烈経営」
人の倍働けば、会社はうまくいくという考え方で、これまで成功を積み上げてきました。いわば、仕事第一主義、仕事中心主義とも言えます。

しかし、今回の新型コロナの影響により、考え方が変わったと永守さんは言っています。どういう風に変わったのかというと「命第一主義」。何よりも従業員さんたちの命を守ることが大事なんだと気付いたという事でした。

「命第一」の観点から、永守さんがこれまで全く信用していなかった「テレワーク」に踏み切ります。永守さんとしては、管理をせずに、成果が出るということを全く信じていませんでした。永守さんからすれば、これは、大転換中の大転換。それがこの新型コロナで行ったのです。

そして、実際にテレワークを実施したところ、今までよりも成果をあげる社員が出てきました。
その社員に永守さんが話を聞いたところ、「会社への通勤時間がなくなったので、そこでお客さまに電話をたくさんする事ができ、それが結果につながったと思います」と。
それを聞いた永守さんは、自分の考えが間違っていたことに気づいたというお話をされていました。そして、この新型コロナによって、このような大きな気づきが50個くらい出てきたと。目からうろこがたくさん落ちたということでした。


■ある印刷会社の経営者のお話

印刷

この印刷会社は、印刷不況と言われる中でも業績を伸ばしていました。

一方で、この新型コロナの影響により、受注していたものがキャンセルになるということが多く発生し、売上が減少。

そうした中で、この経営者は、この状況下の中で、何をすることが中長期的に会社を良くすることなのかということを悩みに悩んで考えました。

そこで、まず考えたのが、発注されている企業やお客さまも大変な状況であるという事を想像しました。そして、通常であれば、キャンセル料を請求するのですが、そのお客さまのことを考え、キャンセル料を請求することをやめました。

また、それだけではなく、印刷物の価値とは何のかを考え、一番困っているであろう飲食店のお客さま向けに「宅配を始めました」というチラシの作成・印刷を100部無料で提供するという事を始めたのです。

印刷物の価値は、情報が欲しい人に必要な情報を届けられること。「今、その情報を届けたい人たちの助けになりたい」そう考えたのです。

その経営者が、「本当に何をやるべきなのかということを何度も考え、何度も迷ったけれど、中長期の視点に立ち、何が経営として大切なのかを考えて決断した。」という話がとても印象的でした。


■まとめ

これらの経営者に共通しているひとつの考え方は、「中長期の視点で会社を良くしていくために何ができるか?」を深く考えて、実行していることでした。

そのポイントは「中長期の視点」と「できない理由・やらない理由ではなく、どうすればできるかを考える」という点だと思います。

この環境下で、一方でよく聞いた話が「中止・延期」という言葉です。確かにこの状況では致し方がないことではあります。

しかし、上記の経営者の方々は、そこに留まらず、ただ中止・延期するのではなく、その上で何ができるか、何をすれば良いのかを中長期の視点で考えることをされていたという点が大きな違いだと感じました。そして、この差が、収束後により大きな差になっていくのではないかと私は考えています。

今回伝えきれなかった実践事例については、またお伝えできればと思います。


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