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「お客さまは神様か?」~ある経営者の話から考えたお客さま第一主義~

こんにちは、お金が入るでかねいりです。

多くの企業が大切にしている「お客さま第一」という考え方。経営理念として掲げている会社も多くあります。
一方で、うまく浸透できている会社は多くないと感じています。
それだけこの考え方の浸透が難しいということを物語っていると思います。

今日は、お客さま第一という考え方の浸透についてある経営者のお話をもとに考えたことをお伝えできればと思います。


■お客さまは神様か?

数名の経営者の方々と一緒に食事に行く機会があり、その中で「お客さま第一をどう浸透させているか」という話題になりました。

ひとりの経営者の方が、「社員が『お客さま第一=お客さまは神様』と勘違いをしてしまうケースがあって、そこをどう理解してもらうかということに苦労している」とお話されました。

それに対して、「何でもかんでもお客さまの言いなりになるということをお客さま第一というように考えている社員はうちも多い」とその他の経営者の方々も共感されていました。一方で、そうではないということを理解してもらうことが難しいという話に。

その中で、ひとりの経営者の方が次のようなお話をされました。

「うちでは、何でもかんでも言ってくるような顧客は、最悪の場合切るようにしている」と。

うちの従業員を良いように使っているくるような顧客がいる。上得意顧客になると、多く発注しているんだからいいだろうとだんだんわがままになるケースがあるが、うちではそうしたことを良しとしないようにしている。売上の大きな顧客だったとしても、うちの従業員をそういったように扱う顧客がいたら切るようにしている」ということでした。

■お客さまが言ってくることを断ることがお客さま第一になる?

お客さま第一ということを考えると、「お客さまの言ってくることを断る」、「お客さまとの関係を切る」ということは真逆の考えのようにも思えますが、自社の従業員を苦しめるような顧客は顧客ではないという考えは、とても示唆に富む考え方であると感じました。

この経営者が示してくれていることは、「お金を払ってくれる人=お客さま」ではないということ。「自社が大切にする顧客は誰か?」ということを定義して、それを社員に示しているのだと思ったのです。

たしかに考えてみると、何でも言ってくる顧客の言うことばかり聞いていると、他の顧客への対応が薄くなる、もしくはできなくなるということが起こります。それは、果たしてお客さま第一なのかということです。

たくさん発注をしていることを考えると、確かに大事にしなければならない顧客ではあるのですが、それによって自社の従業員を苦しめてしまうほどであれば、良い顧客とは言えません

それに対して、この会社では、そういった顧客はうちの顧客ではないと定義している

顧客を切るという話をされていた経営者がさらに言っていたことは、「そうした決断を会社がすることで、従業員が「お客さま第一=お客さまが神様、お客さまの言うことを何でも聞く」ということではないということを認識するようになっていった」と言っていました。

■顧客を切る決断の基準とは?

一方で、「顧客を断る・切る」という判断・決断はとても難しいものです。

私がその経営者に「その最終決断は社長がされるんですか?」と聞いたところ、

「役員クラスでもその判断に迷うことがある。やっぱり売上が欲しいからね。だから、私が最終的に決断するようにしている」とのことでした。

そして、次の言葉がとても印象的でした。

「社員をお金には代えられない」

いくらたくさん発注してくれているからといって、何でも許されるわけではない。売上と社員を天秤にかけたら、間違いなく社員を取る

そういった、その経営者の考えが如実に表れていた言葉でした。

経営コンサルタントの小宮一慶氏は、お客さま第一の中でも、次のような顧客がいた際は真っ先に切るべきだという話をしています。

それは「迷惑をかけるお客さま」。まわりの顧客に対しても、従業員に対してもです。

この経営者の話から考えたことは、お客さま第一を浸透させるためには、自社なりの定義をしていくことが不可欠ということ。一般論でのお客さま第一では、なかなか浸透しない。うちの会社だとどうなのというところに落とし込めているかどうかがカギになるということだと認識を深める機会となりました。

お客さま第一の浸透の参考にして頂けると嬉しく思います。

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