【堺シュライクス】市村将吾 突き抜ける釘は打たれない
熱狂の中で
メンバーが大幅に変わった堺シュライクス。開幕戦に並んだスターティングラインナップで去年も在籍していたのは大神康輔と折下光輝の2名のみ。
その他の選手たちは熾烈なポジション争いを勝ち抜いてここに名を連ねた。
そのうちの1人が捕手の市村将吾。今季堺には捕手が4名在籍している。様々な個性を持った選手たちがいる中、この日のメンバーに選ばれた。
開幕戦のくら寿司スタジアム堺には500人を超える観客がやってきた。
新しくチアリーディングチームも結成され、試合前から盛り上がる中、市村は冷静だった。
同点の7回裏、ここまで1安打に抑えられていた06ブルズの先発・古田青依から小田原将之がライト前に弾き返す。打席の市村は前の打席を思い返していた。
「甘いボールが前の打席できたんですが、それを仕留めきれなくて」
次は仕留める、2球目だった。狙ったボールとは違ったが「打てる」と思ったコースにボールが来た。体が反応した。
「練習の時よりも強く振りぬけた」とヒーローインタビューで語った一振りは、左中間への二塁打となった。
この試合、打ってはこのタイムリーヒット、投手陣を1失点でリードし守り抜いて見せた。
バッテリーとの呼吸
「この日に向けて徹底的に情報収集して試合に臨みました」
先発の中村総一郎は5回に無死満塁のピンチを背負う。7番の原野功太郎の併殺の間に1点を奪われるが、そのあと8番の奥田一弘を四球で歩かせたのち、9番の堅木康生を三振に切って取りピンチを最少失点で切り抜けた。
「中村とは仲もいいのでよくコミュニケーションを取ってリードできたんじゃないかなと思いました」
8回から登板した沢田将聖にも「正直沢田さんの調子は良くなかったんですが、これまでのリードが効いていて、このバッターはこうやって打ち取る、というのがしっかりできました。プラン通り。文句なしの出来でした」
24時間野球のことを考える
市村のバッティングについて試合後改めて振り返ってもらった。
「試合前に置きティーをいろんな方法でやっているのですが、これがハマったかなと思っています。いろんなコースを想定しながらやっているので、今回のように想定していないボールでも打ち返せたのかなと思います。自分がいいと思って信じていることはやり通したいです」
「BIGBOSS(北海道日本ハム)が『突き抜けた釘は打たれない』と言ったように、なにかひとつでも突き抜けるものを作りたいと思っています」
得意なことは打撃。この日の打順は9番だったが、打順も上げたい、そう思っている。
「キャッチャーには自分より若くて肩も強い松田(倭都)がいます。自分は背も低いし、脚も速くないし、守備もまだまだ課題があります」
ここからどんなシーズンにしたいかを聞いてみた。
「活躍するためにも、NPBへ行くためにも、24時間野球のことを考えていたいです。そして一つのことを突き抜けてやっていきたいです」
自分の高みへ、理想へ、市村の野球漬けの日々が始まった。
(文・写真 SAZZY)
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